■ 開幕から9試合でわずか1ゴールのみサガン鳥栖は9節を終えた時点で1勝7敗1分け。最下位の18位と低迷している。開幕3連敗を喫した後の4節の磐田戦(H)は後半47分に新加入のMFクエンカが劇的な決勝ゴールを決めて1対0で勝利。初勝利を手にした。5節の横浜FM戦(A)もスコアレスドロー。上り調子になったかに思えたが6節から3連敗。10節の大分戦(A)はカレーラス監督が休養。金明輝監督が代行監督を務めたが敗戦。これで4連敗となった。
サッカーでも野球でも「休養=監督交代」となるケースが多い。5月5日(日)にカレーラス監督の退任が発表されて5月7日(火)には金明輝監督の就任が発表された。金明輝監督は昨シーズンもシーズン途中で監督に就任してラスト5試合で3勝2分け。勝ち点「11」を獲得してチームをJ1残留に導いた実績がある。最終的には鳥栖や横浜FMなど5チームが勝ち点「41」で並ぶ形になったが金明輝監督が救世主になった。
2年連続で大変な状況で金明輝監督はバトンを受け取ることになったがカレーラス監督は9試合で1勝7敗1分け。不本意な成績でチームを去ることになった。9試合で11失点なので守備陣はよく頑張っているが9試合で1ゴールのみというのは考えられない成績になる。先のMFクエンカのゴールのみ。開幕前は日本代表のGK権田が抜けた守備陣が不安視されていたがGK大久保を中心に守備陣は奮闘している。
■ 1試合平均のシュート数はわずか5.33本極度の得点力不足に苦しんでいるがシュートの数が極端に少ない。9試合で放ったシュートは48本のみ。1試合平均のシュート数はわずか5.33本になる。ちなみに昨シーズンもシュート数は少なくて1試合平均のシュート数は8.24本。J1最少だったが2018年の数字をはるかに下回っている。シュート数が2桁に達したのは8節の松本山雅戦(A)の10本のみ。3節のFC東京戦(A)に至ってはわずか3本のみだった。
現代サッカーはポジションによって役割が分担されているわけではないが「フォワード陣がシュートチャンスでシュートを決められていない。」というよりは「そもそもとしてフォワード陣のシュートチャンスが極端に少ないのが問題」と言える。もちろん、ビッグネームが揃っているので独力でシュートまで持っていくことも期待されるが独力でシュートチャンスを作るのは現代サッカーではなかなか難しい話になる。
フォワードはFWフェルナンド・トーレス、FW金崎、FWイバルボ、FW豊田とビッグネームがたくさんいる。「チャンスメイクの出来る選手が不足している。」というのは昨シーズンから言われ続けてきたが、それでも、MF小野裕がいて、MF原川がいて、MF安庸佑がいて、オフにはMFクエンカを獲得している。個人的にはMF小野裕やMF原川やMFクエンカあたりは十分にチャンスメイクの仕事ができる選手だと思う。
なので、根本的な問題は「フォワード陣が結果を出せていないこと」でも、「チャンスメーカーがいないこと」でもないと考える。フォワード陣にタレントが揃っていることは言うまでもないが、チャンスメーカー系の選手にもタレントは揃っている。先のとおり、守備陣はGK大久保を筆頭に多くの失点を喫しているわけではないので「監督交代によって噛み合わせが良くなって浮上する可能性はある。」と考える。
■ フォワードの軸になるのは?一番の問題はフォワード陣に影響力の大きい選手が多すぎる点になる。カレーラス監督のラストゲームとなった9節の湘南戦(H)はルヴァン杯の4節の仙台戦(A)でスタメンで起用された選手が中心のメンバー構成になったがレフティのFW安庸佑が存在感を発揮。怪我の影響で出遅れていたFWイバルボが途中出場してまずまずのプレーを見せたのも収穫と言える。内容的にはそこまで悪い試合ではなかった。
カレーラス監督時代は全く結果が出なかったのでなかなかメンバーを固定できなかったがまずは「軸となる選手」を決めたい。FWフェルナンド・トーレス、FW金崎、FWイバルボの3人が「フォワードの軸候補」になるが、プレースタイルなどを考えるとFWイバルボを軸に据えるのがベターだろう。得点力の高い選手ではないが抜群のキープ力を持っており、周りの選手の良さを引き出すことに長けた選手である。
腹をくくってFWイバルボを軸に据えるのがベターだと個人的には思うが怪我明けの選手なので無理をさせることが出来ないのは不安要素の1つになる。また、レギュラーから外れて出場機会が減少することになった場合、FWフェルナンド・トーレスやFW金崎などの不満が爆発することも考えられる。2人とも影響力の強い選手であり、プライドの高い選手なので、彼らの扱い方も非常に重要になってくる。
■ 無念の途中退任となったカレーラス監督カレーラス監督は無念の途中退任となったがあまりにも難しいミッションを与えられ過ぎた。なので、気の毒に感じるところもある。昨夏にFWフェルナンド・トーレスが加入してからは「FWフェルナンド・トーレスありき」のチームになっており、アトレティコ・マドリーのときにチームメイトだったことが鳥栖の監督に就任した大きな理由だと思われるが、同じスペイン人の後輩とは言ってもやりにくかっただろう。
もちろん、FWフェルナンド・トーレスが期待通りの活躍を見せてコンスタントにゴールを決めてくれたら全てのことが上手く回ったと思うがなかなか結果を出せなかった。さらに、開幕前の時点では「バルサ・スタイルへの転換を図る。」とも言われたが、鳥栖というチームはポゼッションスタイルに向いた選手構成でも、ポゼッションスタイルに取り組んだ歴史を持っているチームでもない。明らかに無理があった。
今後はオーソドックスなサッカーにシフトチェンジすると思うがそもそもとして鳥栖のサポーターが「バルサ・スタイル」を望んでいたのか?はかなり疑問である。地方の小都市のクラブであり、身の丈に合った経営と身の丈に合ったサッカーでJ1昇格を果たして何年も連続してJ1残留を成し遂げたチームである。「鳥栖らしさ」を自ら捨てようとしたこと、そして、その判断を下した人たちは責められるべきである。
→ 2019/03/03 【J1】 サガン鳥栖のカレーラス監督の早期の解任はあり得るのか?
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