ザスパクサツ群馬→ 開幕から11試合勝ちなしと苦しんだ群馬は5月7日(日)に行われた12節の熊本戦(A)で待望の今シーズン初勝利を手にした。1対1で迎えた後半50分に大卒ルーキーのFW高井が劇的な決勝ゴールを記録。人数的にはそれほど多くなかったが、はるばる熊本まで駆け付けた群馬のサポーターのゴールが決まった瞬間の盛り上がり具合は凄まじいものがあった。苦労してつかんだ末の今シーズン初勝利だった。
12試合目にしてやっと勝ち点「3」を獲得できたが通算成績は1勝10敗1分け。借金は膨れ上がっている。借金を返済するのは相当に難しいので今シーズンは「J2に残留すること」を最優先に戦わざる得ないが、見通し自体は決して暗くない。残留圏となる20位の山口との差は「5」のみ。21位の讃岐との差は「4」のみ。群馬と同じように「1つ勝つのも相当に大変」というチームが今シーズンもJ2にはいくつかある。
初勝利を手にしたことで森下監督の去就に関する話題はひとまず落ち着くだろう。平常心で采配を振るうことが出来るようになると思うが、顔ぶれを見ると1勝10敗1分けで最下位に沈むような戦力ではない。いろいろなことを変えすぎたことが仇となって開幕から11試合未勝利と苦しんだが、当然のことながら、ここから巻き返して残留圏内に浮上することは十分に考えられる。初勝利で流れはガラッと変わるだろう。
12試合を終えた時点で7得点/25失点。どちらもリーグワーストとなる。攻撃も守備も問題は少なくないが、「タレント不足」を否定するのは難しい守備的なポジションと比べると攻撃的なポジションはまずまず充実した顔ぶれである。中でもゴールデンルーキーのFW高井にかかる期待はやはり大きい。11試合で4ゴールを挙げているが、チームの総得点が「7」なので1人でチームの半分以上のゴールを決めている。
MF江坂(大宮)ならびにMF瀬川祐(大宮)と比較されるが、同じアタッカーでもタイプは異なる。FW高井は全ての能力が標準以上で自ら仕掛けてシュートチャンスを生み出すことができるタイプである。周りのレベルが高くなればなるほど良さが引き出されるタイプに思えるので、数年先、J1の舞台で活躍している可能性が最も高いのは3人の中ではFW高井なのでは?と思う。ここまでは看板に偽りなしの活躍と言える。
カギを握るのは大卒2年目のMF山岸祐だろう。開幕当初はボランチで起用されていたが、最近は1トップでプレーする機会も増えている。ポジションが定まっていないが、サイズがあって、かつ、テクニックもある。群馬は1.5列目や2列目系のアタッカーが充実していることを考えると「MF山岸祐は最前線に置くのがベター」と言えるのではないか。失点数を劇的に減らすのはなかなか難しい。攻撃陣がカバーしたい。
ジェフ千葉→ アルゼンチン出身のエスナイデル監督が就任した千葉が採用する「極端に高い最終ライン」は大きな話題になっている。キーパーのGK佐藤優が大きく飛び出してきてボールを処理するシーンは1試合の中で何度も見られる。10節の千葉 vs 徳島で起きた「ボールボーイ騒動」も千葉の高すぎる最終ラインが遠因である。ここまで4勝4敗4分けで14位。不満足な成績と言えるが、話題になること自体は悪いことではない。
12試合で13得点/16失点。失点数はリーグワースト6位タイなので「J1復帰」を狙うチームとしては多すぎる。キーパーのGK佐藤優は広範囲をカバーする仕事を託されており、素晴らしい飛び出しからギリギリのところでタックルでボールをクリアしたり、ヘディングで跳ね返す場面がたくさんあるが、やはり、GK佐藤優が大きく飛び出したことが仇となってロングシュートを決められる場面がすでにいくつもある。
7節の群馬戦(H)でFW高井に決められたロングシュートが典型例と言える。最近は90分を通して執拗にロングパスで裏のスペースを狙ってくるチームが増えているが、1試合の中で何度かは動き出す選手とパスを出す選手の呼吸があって決定機を作られる。格下と思われるチームが相手で千葉がゲームを支配している状況であるにもかかわらず、アバウントなパスから一定以上の確率で決定機を作られてしまう。
3節は名古屋に勝利して、10節は徳島に勝利しているが、7節の群馬戦(H)と11節の讃岐戦(A)はドロー。12節の金沢戦(A)は1対2で敗れている。順位が下のチームとの試合で勝ち点を取りこぼしているのは気になるところである。一か八かのプレーがたくさんあるので安定した戦いを続けるのはかなり難しい。「千葉の方が戦力的には上」と判断して割り切った戦いを選択するチームとの試合は難しくなることが多い。
今後も勝ったり負けたりを繰り返す展開になるのでは?と考えられるが、今シーズンの千葉が残している各種のスタッツは興味深い。1試合平均の奪オフサイド数は5.8回でJ2最多となるのは誰にでも予想できる話であるが、相手チームの1試合平均のパス数が300.9本というのもリーグ最少。また、相手チームのパス成功率が55.5%というのもリーグ最低。千葉戦になるとシンプルな攻撃を仕掛けてくるチームが多い。
一方、ボール支配率は62.3%でリーグ2位。パス数はリーグ2位、パス成功率はリーグ3位、CK獲得本数はリーグ1位なのでパスに関するスタッツを中心に上位に顔を出すスタッツはたくさんある。高卒ルーキーのMF高橋壱の活躍は予想以上と言えるが、FWラリベイが12試合で2ゴールのみと低調。エスナイデル監督のスタイルに合った選手とは言えないが実力があるのは間違いない。FWラリベイにかかる期待は大きい。
・【J2】 自動昇格争いの展望 (前編) ~中心となるのは横浜FC・湘南・名古屋・松本山雅・福岡か!?~
・【J2】 自動昇格争いの展望 (後編) ~東京ヴェルディ・徳島ヴォルティス・京都サンガなども可能性あり!?~
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