■ 初戦はイングランドを相手に逆転勝利フランスで開催されているトゥーロン国際大会に出場しているU-22日本代表は初戦で3連覇中のイングランドと対戦して2対1で逆転勝利を飾った。前半38分にCKから先制ゴールを許したが後半2分にMF舩木翔のFKからDF大南が決めて1対1の同点に追いつくと後半23分にはMF伊藤達のクロスから右WBのMF長沼がヘディングシュートを決めて2対1と逆転に成功。GL突破に大きく前進する勝ち点「3」を獲得した。
今大会の日本はフルメンバーとは程遠い。DF立田(清水)やDF杉岡(湘南)やMF三好(横浜FM)といった五輪代表の主力を担ってきた選手の多くはコパ・アメリカに出場するフル代表に選出されており、初の五輪代表選出となった選手がMF田中碧(川崎F)やMF相馬(名古屋)など6人もいる。MF長沼(愛媛FC)やDF大南(磐田)やMF神谷(愛媛FC)などを除くと五輪代表での実績がゼロもしくは皆無に近い選手が大半になる。
今後はU-20W杯を戦っているU-20世代の選手も五輪代表の競争に本格的に絡んでくる。「東京五輪に出場するためには今大会で大きなアピールをしなければならない。」という選手が多くなるが、注目が集まるのはFW小川航(磐田)になる。内山JAPANのときは絶対的な存在として君臨。U-19アジア選手権に大きく貢献したCFも五輪代表になってからは結果を残せておらず。現時点ではCFの4番手や5番手あたりになる。
■ 及第点のプレーを見せたが・・・。五輪代表の最大の得点源になっているFW上田(法政大)、スピードスターのFW前田大(松本山雅)の方が序列は上になっており、このままだと東京五輪出場は難しいという状況になる。ポジション争いのライバルとなるFW上田とFW前田大がフル代表に招集されて不在の中、トゥーロン国際大会でゴールを量産して存在をアピールしたいが初戦のイングランド戦はゴールという結果を残すことは出来なかった。
出来としては悪くはなかった。守備面での貢献度は高くて、ボールのおさまり具合もまずまず。少なくない数のシュートも放っているので「及第点のプレーだった。」と言えるが、何よりも欲しかったゴールという結果は出せず。シュートチャンスの時に力が入ってしまってうまくミートできずにゴールの可能性がほとんどないシュートになってしまうケースが多かったこともあってあまりいい印象は残せなかった。
今回、CF系の選手としては他にFW小松蓮(金沢)が招集されている。彼も久々の五輪代表招集になるので結果を出したい立場。おそらく、2戦目のチリ戦ではFW小松蓮が1トップの位置でスタメン起用されるだろう。J2の金沢でJリーグ初ゴールを含む3ゴールを挙げているFW小松蓮がスタメンで起用された試合で存在感を発揮するようだと五輪代表の中でのFW小川航の序列はさらに下がることになる。
■ キャリアを狂わせたU-20W杯で負った大怪我FW小川航は高卒4年目になる。今シーズンも磐田で十分なプレー機会を得ていないので「伸び悩み」を指摘されるケースが多くなっているが、やはり、所属クラブで主力を張っている選手は代表でも落ち着いてプレーできるケースが多い。今回のイングランド戦ではMF田中碧(川崎F)がいいプレーを見せているが、FW小川航は今シーズンもルヴァン杯が主戦場。ルヴァン杯だけでは十分な成長は出来ない。
FW小川航のキャリアを狂わせたのはちょうど2年目に行われたU-20W杯の本大会のGLの2戦目のウルグアイ戦で大怪我をして長期離脱することになった点である。W杯の期間中にチームを離れることになっただけでなく、長い間、プレーすることは出来なかった。20才前後の時期は本当に大事なのでこの時期に大きなブランク期間が生まれると厳しい。世代のトップを走っていた選手も後続に抜かれてしまう。
10年前や20年前と比べるとJリーグも移籍が活発になって来た。数年前に育成型期限付き移籍という制度が出来たことで「期限付き移籍」を選択する選手は増えており、クラブ数もJリーグ発足時の10チームから55チームまで拡大。日本サッカー界の大きな問題点の1つだった「20才前後の時期に試合経験を積めなくて伸び悩む選手が多い。」という点は解消されつつあるが、当然、そういう選手がゼロになったわけではない。
「試合に絡めなかったとしても練習で成長することは出来る。」という考え方もあるが、どんな形であれ、試合に出続けた選手の方が成長しやすいのは確かなことである。もちろん、期限付き移籍先で試合に絡めるとは限らなくて、より悪い立ち位置になる可能性もあるが、FW小川航という「数年に1人レベルのストライカー」がここまで順調に成長できていないのは日本サッカー界にとって大きな損失である。
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