武力紛争の性質を変えつつあるドローン
2022年11月13日
ウラジーミル・プラートフ
New Eastern Outlook
ここ数年遠隔操作無人機の使用が武力紛争の形を根本的に変えている。だが技術がその段階でまだ初期段階で、結果が印象的じゃなかったけれども、戦闘における最初の無人機(UAV)使用実験は第二次世界大戦中に行われたので、この手法は新しいと表現することはできない。それでも1960年代初期、アメリカは諜報活動のためにRyan Model 147UAVを使い始め、1964年にソビエト社会主義共和国連邦はHawk Tu-123を導入した。
ここ10年にわたりUAV技術は劇的に進展した。過去主に空中撮影や映画撮影に使われていたが、今や地上部隊の行動調整や、有人航空機や砲兵隊の射撃手の目標修正し、敵の防空体制や地上標的爆撃の識別を含め益々困難な仕事を達成している。現在UAVの主な製造業者・運用者にはアメリカ、イスラエル、トルコと中国があり、この部門はロシア、カナダ、ノルウェーとイランでもしっかり開発されている。
2020年のナゴルノ-カラバフ紛争はうまく活用した際の戦闘UAVの有効性を鮮やかに示し、この新たな現実は即座に軍事評論家に戦術概念の再考を強い、政府に防衛戦略を修正させた。最初はナゴルノ-カラバフ紛争で、次にウクライナ・ナチ政権に対するロシア特別作戦で何百もの軍装備品がUAVにより破壊され、今日局地的に限定された紛争における成功は、主にUAV攻撃に対する十分な防衛と使える戦闘UAVの数によって決定されることを明らかに示した。戦車やパイロットが操縦する航空機や砲兵隊などの通常兵器は次第にさほど不可欠でなくなりつつある。
キルギスタンとタジキスタン国境を巡る最近の紛争は戦闘におけるUAVの重要性が増大したこと明らかにした。武力衝突に関与する国はUAV製造業者と提携することがどれほど重要か理解し、トルコは中央アジア地域への主要供給元になった。例えばキルギスタンが2021年末に購入したトルコのバイラクタルTB2 UAVは間もなくタジキスタンとの戦闘における主要因となり、隣国がより良い武器設備が整っている事実を幾分か埋め合わせた。これらUAVはジャララバード空港で国家安全保障のためキルギスタン国家保安庁の国境警備部門により配備され、国防と安全保障を保証し、国境を守る上で重要な役割を果たしている。もう1つの最近の武器購入もキルギスタンが防衛目的を実現するのを助けた。2021年2月ロシアのS-300防空システムとロシア製Orlan-10無人機を購入した。2022年9月13日、最近の紛争が始まるわずか一日前、キルギスタンのサディル・ジャパロフ大統領は新たなUAV基地を開設した。
一方タジキスタンもトルコからバイラクタルUAV購入を決め、今年4月21日、アンカラでタジキスタンのシェラリ・ミルゾ国防大臣とトルコ国防大臣フルシ・アカルはUAV供給枠組み合意に署名した。アンカラ訪問中、シェラリ・ミルゾはバイラクタルUAV生産工場を訪問し製造業者バイカル・マキナ幹部と会談した。タジク・メディアは9月16日に起きて、41人の死をもたらしたタジク-キルギス国境での最近の武力衝突後、バイラクタルUAVが演じる役割に焦点を当てた。タジキスタンとキルギスタン間の国境紛争でトルコUAV使用が紛争に新たな次元を加えたとトルコ人研究者ケリムが認めた。
中央アジア国家間で再発する紛争と地域が直面する統合問題という条件のもと、この地域でトルコUAVビジネスは繁盛している。2020年12月トルクメニスタンはトルコのバイラクタルを購入する最初の中央アジア国家となり、その後間もなくウズベキスタンとカザフスタン両国もUAV購入に関しトルコと協議に入った。だが地域でのトルコのUAV事業は大いに危険かもしれないことが間もなく明確になった。地域でリスクに注目しているトルコのアナドル通信は地域でのトルコUAV使用にh広範な可能性があると見いだしている。地域専門家たちが中央アジアでのトルコUAV使用増加は、この地域でトルコの軍事的、戦略的影響力を強化する効果があるかもしれないと推測した。
トルコの他、近年の進展で明らかになった通り、イランもUAVの主要な生産国だ。Mohajer-6やShahed-136のようなイランUAVは特定軍事行動、特にシリア、イラクやイエメンでの紛争で極めて効果的と判明している。Shahed-136は、装置一機が20,000から50,000ドルという価格で、このクラスでは市場で購入可能な最も安いUAVの一つだ。イランUAVは予想よりずっと有効なことが分かり、多くの潜在顧客がイラン防衛産業対する考え方を再考するよう強いられている。
NATO加盟諸国は戦闘活動以外に諜報活動を含め敵国活動を監視する広範な目的でUAVを使用している。例えば、11月3日、パスリャンスカ・リヴァダ訓練拠点でのセルビア軍のManeuver 2022演習中、コソボとメトヒヤの「行政線」近くでセルビアの活動を監視するためNATOがUAVを使ったとセルビア大統領アレクサンダル・ヴチッチは主張した。彼はUAVが一回以上セルビア軍事基地上を飛行するのが見られており、数日前セルビアが、対UAV電子システムを使ってラシュカ軍事基地付近でこの装置を一機撃墜したと付け加えて、セルビアには領土防衛の準備ができていることを明らかにした。
戦闘に従事する軍事専門家の最近の評価によれば、戦場で効果的に使用するため(敵情観察、砲撃目標や手りゅう弾発射修正)各大隊に約20-30機のUAV、作戦中損失するものを置き換えるため追加予備が必要だ。予備電池や他のUAV部品にも要求が増大している。
上記状況から判断して、多くの異なった国々で、これら装置に対する需要が各軍隊で増加するのでUAVビジネスが成長し続けるのは明確だ。UAV自身の他に海上基地や輸送などの支援インフラに対する需要も増加している。
欧米諸国が生産するUAVは安価からはほど遠いため、他地域の類似した一層買いやすいモデルに非常に多くの需要がある。例えば、これまで数年間にイスラエルや、トルコやイランを含め多くの中東諸国がUAV製造を強化した。欧米の主要UAV製造業者さえ価格を引き下げるため他の国々と共同製造協定に署名し製造過程の外注を検討している。例えば最近ワシントンはインドのニューデリーでUAVを生産し他地域諸国に輸出するジョイント・ベンチャー設立への関心を表明した。
しかし、戦闘活動におけるUAVの使用増加は反対なしではすまず、近年国連の多くの専門家たちや、Stop Killer Robotsや、Article 36やヒューマンライツ・ウォッチ、アムネスティー・インターナショナルやControl Armを含め多くのNGOが現在の傾向に懸念を表明している。公共団体や宗教指導者による、それらの使用があまりに広範に広がる前に、自律型兵器使用を違法とする国際条約への要求もある。それはまだ提案以上の何ものでもないが、このような予防措置は既にこの技術がまだ使用されていない地域、主に中南米の20以上の国とアフリカの支持を得ている。
ウラジーミル・プラートフは中東専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/11/13/drones-are-changing-the-nature-of-armed-conflicts/
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