東南アジア(と中国)を標的にするアメリカ率いる情報戦争
2021年8月4日
Brian Berletic
New Eastern Outlook
抗議行動が香港からタイまで、そして今ミャンマーやマレーシアに広まった。Covid-19危機が始まるずっと前、この抗議は始まったが、背後にある原動力は、身勝手に、さもなければ人気がなかったはずの人為的な抵抗運動に、より多くの人々を引き込むため、現在の危機を利用しているのだ。
それぞれの国の抗議行動指導者は、公然と「ASEAN泉」あるいは「アジアの泉」と呼ぶものに言及し、この地域の抗議運動で共通のシンボルとスローガンを採用している。抗議行動指導者は、この地域の集団的運動を、数本の共通の柱に支えられた「ミルクティー同盟」と呼んでいる。
「ミルクティー同盟:Twitterが民主化運動活動家のために絵文字を作成」という記事でBBCはこう主張している。
この同盟は、香港と台湾の反北京の抗議行動参加者を、タイとミャンマーの民主化運動の運動員を一緒にまとめた。
「反北京」は覚えておくべき重要な点だ。
それぞれの抵抗運動の背後には、これらそれぞれの運動に対するアメリカ政府資金を含め、BBCが意図的に言及しない、いくつか共通のテーマがある。アメリカが中国を包囲し、抑圧しようと努めているのは秘密ではない。アジア中で「反北京」運動を支援するのは、明らかに、その戦略にかなっている。
アメリカを本拠とするソーシャル・メディア企業、Twitterが、会社方針として、この運動を支持し、推進すると決めたという事実は、即座に懸念するべきだ。Facebookや(Youtubeを所有する)Googleなど、アメリカを本拠とする他の大手ハイテク企業とともに、Twitterも、公然と、10年以上、アメリカ外交政策の目的推進を支援するため、アメリカ国務省と協力している。
2011年の「アラブの春」は、中東と北アフリカ中で、アメリカが画策した蜂起が先駆けになったに軍事介入のみならず、アメリカを本拠とする大手ハイテク企業が、それを支援する役割の純然たる例となった。
「アメリカの集団がアラブの蜂起促進を支援」という記事で、ニューヨーク・タイムズは、中東と北アフリカ中で、抵抗運動を構築し、解き放つ上でのアメリカ政府資金の役割を書いている。
記事はこう報じている。
ここ数週間のインタビューや、WikiLeaksが入手したアメリカ外交公電によれば、エジプトの4月6日青年運動や、 バーレーン人権センターや、草の根の活動家、イエメン青年リーダー、Entsar Qadhidなど、この地域を覆い尽くしている反乱や改革に直接関与する集団や個人の多くが、共和党国際研究所や、全米民主国際研究所や、ワシントンに本拠を置く非営利人権団体フリーダム・ハウスのような集団から訓練と資金を受けている。
ニューヨーク・タイムズは、中東と北アフリカ中で、訓練し、組織し、騒動を解き放つのを支援する上で、アメリカを本拠とする大手ハイテク企業の役割に言及している。
2008年、何人かのエジプト青年リーダーがニューヨークの技術会議に出席し、彼らは、ソーシャル・ネットワーキングとモバイル技術を民主主義を促進するために使う方法を教えられた。会議後援者の中には、Facebook、Google、MTV、米コロンビア大学法科大学院と国務省がいた。
当時の国務長官ヒラリー・クリントンは「技術会議」参加者の前で上映された事前録音されたメッセージで演説している。2009年に記録された一つの演説でクリントンは、こう主張している。
皆さんは、最近の技術的手段を、変化を促進し、運動を構築し、生活を変えるために使う青年市民活動家の前衛で、皆さんが世界中の故郷に帰った際、この会議が、皆さんが、お互いから学び、積極的行動と地位の向上のための新しいドアを開ける手段と技術を見いだす機会となるよう私は希望しています。
もちろん、中東と北アフリカ中に帰国すると、地域の経済危機の中、アメリカが資金供給し、訓練した、機器を与えた反政府派は、地域中で、アメリカが支援する政権交代の隠れ蓑役をさせるため、不満な人々を街頭に引き出した。
アメリカが、「アラブの春」をどれほど大きく広げようとしていたかの前兆は故ジョン・マケイン上院議員が明らかにしていた。The Atlantic誌の2011年の記事「アラブの春:「モスクワと北京を攻撃するウイルス」」でマケインはこう言っている。
一年前、ベン・アリとカダフィは権力の座から去った。アサドは来年政権にいるまい。このアラブの春はモスクワと北京を攻撃するウイルスだ。
ロシアが2015年にシリアに介入していなければ、シリアは倒れていたかもしれない。アメリカの代理過激派戦士は、イラン、更には、アメリカが既に長い間、両地域で強暴な分離主義をひき起こそうと進めていた、南ロシア、西中国へと動いていたはずだ。
ワシントンの「アラブの春」作戦の鈍化は、東ヨーロッパ、ロシア西部へ、中国周辺の東南アジアの更なる地域に火をつけようとする試みはゆっくりになった。マレーシア、ミャンマーとタイに傀儡政権を据える試みは、短期的な政治的譲歩や国内の軍事介入の組み合わせで、次第に鈍化した。
だが現在、「アラブの春」が地域戦争に変わる前のように、経済危機が、この地域に迫っており、ASEAN諸国政府のせいではなく、それを制御すべき能力もほとんどない危機による国民の不満は、アメリカが支援するに反対派に、しきりに利用されている。
ASEAN諸国政府の封鎖政策は不満を起こした。だが、これは危険な不安定化を引き起こすには十分ではないだろう。危機を悪化させるリスクは、それではなく、情報戦場でのASEANの失敗なのだ。
ASEANは情報空間を確保し損ねた。カンボジアとベトナムを除いて、ASEAN加盟諸国それぞれが、彼らの情報空間を、アメリカが支援するメディア・プラットホームとアメリカを本拠とするソーシャル・メディア・ネットワークに完全に独占されている。
FacebookとTwitterは、ここ数カ月、アメリカが支援する抗議行動を支持して、公然とタイとミャンマー両国の内政に関与している。ミャンマー軍が二月に権力掌握した後、TwitterとFacebookは、素早く新政府のアカウント削除に動いた。
例えばFacebookはこう主張している。
現在我々はミャンマー軍(「Tatmadaw」)と軍に支配される国営メディアやメディア組織をFacebookとInstagramで禁止しており、軍に関連する商業組織の広告も禁止している。
タイでは、Twitterは公式発表でこう主張しているする。
我々の調査は、タイ王国陸軍(RTA)と確実に結び付けられる情報作戦に加わっているアカウントのネットワークを暴露した。これらのアカウントは著名な政治的反対派に標的を定めて行動をするのに加え、親RTA、親政府コンテンツ展開に携わっていた。
「確実に結び付けられる」という言葉の使用は、Twitterが証拠を持っていないことを意味する。実際は、単に公式タイ軍アカウントによる投稿をリツイートしたり、いいねと言ったりしたアカウントを粛清したにすぎない。一方、Twitterは、そのプラットホームの公開乱用が、アメリカに支援される野党が、実際画策した、不審な行動を実行するの許すだけでなく、タイのTwitterユーザーにタイ不敬罪法を破るよう公然と奨励している。
2021年5月の声明で、Twitterは、タイ・ユーザーに、同社の規則は、タイの不敬罪法を認めていないと言い、タイ法律で告訴される人々に、無料の司法支援を提供する組織とリンクする特別なホットラインさえ提供している。これには、アメリカ政府に資金供給された「人権のためのタイ弁護士」と「iLaw」も含む。その狙いはタイの法律と、タイの法律が維持することを狙っている社会的安定の両方を傷つけることだ。
アメリカを本拠とするソーシャル・メディア・ネットワークは欧米のCovid-19政策や欧米製薬会社や彼らのワクチンに疑問を投じるアカウントを止めるのに敏速だが、同じネットワークは、特に中国シノヴァック・ワクチンにまつわる主張や、危機が健康と経済的影響を拡大するのを目指すニセ情報がASEAN中で山火事のように蔓延するのを可能にしている。
この狙いは、恐怖、ヒステリー、更に、より重要なのは、怒りを煽ることで、アメリカが支援する揺れ動く街頭抗議への参加者を増やすのを支援し、更には、国家のエネルギーを、現在の危機克服から、地域の不安定化に向け直すことだ。
部分的には、Covid-19が理由で、さもなければ、ありそうもなかった、ASEANを不安定化し、中国を敵対的なアメリカ傀儡政権や不安定化された破綻国家で包囲するアメリカによる策略の機会が今存在している。だが部分的に、おそらく主に、ASEANが情報空間を確保し損ねたためなのだ。ASEAN政府が兵士を持たいない戦場で、戦争が荒れ狂っており、ASEANは敗北しつつある。
伝統的な国家安全保障の脅威に立ち向かうため、戦車、軍用飛行機、ヘリコプターや海軍艦艇などの軍装備品を購入で、ASEAN諸国は益々ロシアと中国に頼っている。だが成功裏に、自身の情報空間を防衛したロシアと中国は、同様に、ASEAN諸国が彼らの情報空間を防衛する手段を「輸出する」人的、技術的資源を持っている。「情報戦争」の形だけでなく、アメリカを本拠とする企業に対して、国産ソーシャル・メディア代替物を構築するのを支援し、ASEANの情報空間に対するこれら外国企業の独占を打破し、地域自身が、それを支配し、守る力を与えることが可能なのだ。
Brian Berleticは、バンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/08/04/us-led-information-war-targets-southeast-asia-and-china/
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NEOには、The US-Japanese Alliance Against China Risks World Warという穏やかでないが、真実を書いた記事がある。「対中国米日同盟は世界大戦のリスク」
PCR検査難民! 日刊ゲンダイDIGITAL
広島での重要部分読みとばし事件、信じがたいスキャンダル。
今朝の東京新聞によれば、読みとばした該当ページ「のり」のため開けなかったという趣旨のことが書いてあった。万一事実でも、誠意に欠ける話なのはかわらない。官僚連中、リハーサル、しないのだろうか。
RTにも、この話題が載っている。読みとばしを謝罪。
コメント欄に色々書かれている。Skyという人物は、こう書いている。痛烈!
He didn't ''skip'' by accident, he was trying to lick the bootheels of the west by trying to make people ''forget'' that the USA had any kind of culpability.
東京新聞朝刊「文化娯楽面」に相澤冬樹氏が五輪について寄稿しておられる。全く同意。
「命よりカネ」の五輪 お先棒担いだテレビ
経歴欄に、21年夏、同紙(大阪日日新聞)を退職。とあった。驚いて検索すると、フリージャーナリストとなり、ニュースレターを始められていたことが分かった。何と無料!早速講読させていただこうと思う。
日刊IWJガイドも、「読みとばし」について実に詳しく書いておられる。
<本日のタイムリー再配信>本日午後7時から、2016年収録「戦後史の謎を解く鍵は『核』にある! 原爆・原発・被曝の真実に迫る!岩上安身によるインタビュー 第637回 ゲスト 木村朗氏・高橋博子氏(2)」を再配信します!
【タイムリー再配信 963・IWJ_Youtube Live】19:00~「戦後史の謎を解く鍵は『核』にある! 原爆・原発・被曝の真実に迫る!岩上安身によるインタビュー 第637回 ゲスト 木村朗氏・高橋博子氏(2)」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured
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