検閲を推進するよう巨大ハイテク会社を恫喝するアメリカ政府
2021年7月17日
ケイトリン・ジョンストン
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インターネット検閲に対するバイデン政権の精力的活動について進行中の論争を巡り、誰もが認識していながら、口に出したくない重要な問題は、もし彼らが政府の要望に従って人々の発言を検閲しなければ、それら企業が、独占禁止法違反訴訟や他の規制によって、屈伏させられかねないことを、アメリカ政府とシリコンバレー・ハイテク企業両方が痛感している事実だ。
Covidワクチンに関して「誤報」を広めているかどで、禁止すべきアカウントのリストを政権がFacebookに提供したのをジェン・サキ報道官が木曜日に認めた後、彼女はオンラインでこのような資料を広める人々は、一つだけでなく、全てのソーシャル・メディア、プラットホームで禁止されるべきだと言って一層危険な賭けに出た。
「誤報提供は、一つのプラットホームだけでなく、他のものでも禁止されるべきだ」と金曜日、サキは報道機関に述べた。
Facebookのような企業についての考え方を報道機関に問われて、バイデン大統領はワクチンに関する投稿を、それらプラットホームが、十分検閲しそこねれば、彼らは「殺人」で有罪になると述べた。
ジェン・サキは、誤報を広める人々は、もし、あるもので禁止されたら他の/全てのプラットホームでも禁止されるべきだと示唆した。pic.twitter.com/SlNXJTXi0I
- jordan (@JordanUhl) 2021年7月16日
アメリカ大統領政権が、ソーシャル・メディアプラットホームで誰を検閲すべきか述べることの極めて重大な帰結的意味を衝かれると、サキは政権は人々を検閲しているのではなく、ハイテク企業に問題提起したに過ぎないと述べた。
「我々は何も削除していない」とサキは述べた。「我々は何も阻止していない。Facebookや、他の民間企業が、どんな情報が彼らのプラットホームにあるべきかについて決定する。我々が言いたいのは、ワクチンを受けないよう人々を導く情報があることだ、人々が結果として死につつある。我々は公衆衛生の問題として、問題提起する責任がある。」
厳密に言えば、サキはウソをついてはいないが、真実を話しているわけでもない。バイデン政権が、ソーシャル・メディア投稿を直接阻止したり、削除したりしていないのは本当だが、ソーシャル・メディア企業に、彼らが拒否できないゴッドファーザー風取り引きをもちかけているのだ。
何年もの間、アメリカ政府は、シリコンバレーの巨大ハイテク企業に、もし彼らが、ワシントンの指示通り、望ましくないコンテンツ検閲を大幅にエスカレートしなければ、好ましくない結果になることを極めてはっきりさせている。
2017年、ダイアン・ファインスタイン上院議員は、2019年、2016年のロシアの選挙干渉とされることで、彼らは更に多くの検閲を始めるか、さもないと、好ましくない結果になる、「あなた方がこれのプラットホームを作り、それらは誤用されている。だから、あなた方はそれについて何かをするべきだ。さもないと、我々がする。」と言って、ソーシャル・メディア・プラットホームを脅迫した、
2019年、ルイジアナ州選出のセドリック・リッチモンド下院議員は、同様な恫喝をして、彼が有害コンテンツとみなすものを、ソーシャル・メディア・プラットホームが独自に規制を始めた方が「良く」、さもないと政府が自身で対処すると言った。
彼らは、我々がきちんとやれないと思っており、我々がそれをするのを望んでいないのだから、彼ら自身が、そうする方が良い」とリッチモンドは述べた。「我々は速く、強力にやり、彼らに説明責任をとらせる。」
2019年「アメリカには憲法修正第一条があり、言論を規制する法律を成立させるのは気が進まない」とジェロルド・ナドラー下院司法委員会委員長がワシントン・ポストに述べた。「だが問題があるのだから、我々は対処しなければならない。」
「まず彼らに圧力をかけて、何が起きるか見よう」とナードラーは付け加えた。「私は言論を規制する法律は気が進まない。通常それは行き過ぎる。我々がそれをやるべきかどうか私にはまだ分からない。」
最後には、ハイテクCEOが議会に引きずり出され、次から次の民主党議員が、もし彼らが、民主党が誤報やヘイト・スピーチと見なすものを、より積極的に検閲し始めなければ立法や規制上の報復をすると、彼らを明示的に脅した。https://t.co/KBMZpFiSzL
-グレン・グリーンワールド (@ggreenwald) 2021年7月16日
バイデン政権が最近認めた後、グレン・グリーンワールドがTwitterに書いたように、これらハイテク企業の経営者は頻繁に議会に引きずり出され、彼らがアメリカ政府の意志に従って検閲しなければ、「立法、規制上の報復をすると脅されて」いる。2017年、主要インターネット・プラットホームの代表が議会に召喚され、「不和を煽動するのを防ぐ」という誓約を表明し、「企業理念」を採用する必要があると言われた際、我々はこれを見て、2021年中それを見続けている。
理由は変化するが、狙いは同じだ。時に、それは外国による選挙干渉、時に、それは国会議事堂暴動、時に、それは国内過激派、白人優越論者、時に、それはウイルスやワクチンに関する虚報だが、理由が何であれ、与えられる指示は同じだ。アメリカ政府の要望に従ってコンピュータ通信を検閲しろ。さもないと。
これらの恫喝は明示的に行われたが、実際そうである必要はなかった。このダンスの関係者全員、これらシリコンバレー・ハイテク企業にとって、事態を遥かに困難にし、それほど儲からないようにする能力をアメリカ政府が持っているのを知っている。政府は、罰金や、些細な規制から、AT&Tやスタンダード・オイルを分割したのと同じ方法で、オンライン・プラットホームを分割できる、通信品位法230条の保護撤廃や、全面的な独占禁止法違反訴訟に至るまで、広範な動きが可能なのだ。
既に、去年、FacebookとGoogleなどの企業が独占的業務のかどで有罪だという下院司法委員会の独占禁止法違反認定で、大規模な独占禁止法措置を実施する舞台が準備されており、それほど厳しくない、いくつかの独占禁止法違反訴訟が既に進行中だ。
それで今、世界中のオンライン言説が少数の独占的プラットホームに集められ、政府が益々厚かましく、それらプラットホームを、完全に破壊すると恫喝し、政府の命令にそって、言説を検閲するよう強いている。その結果、もちろん、アメリカ内のみならず、世界中の膨大な量の言説が、アメリカ政府に管理されている。それは途方もない量の言説支配で、本当の権力を理解する連中にとって、究極の目標を意味している。
我々の世界で起きることを決定する主要な要素は、資本による支配、政府による支配、資源の支配、武器の支配のいずれでもなく、言説の支配なのだ。他の全てのものは、言説の支配に続いて起きるのだ。言説を支配すれば、武器の行き先や、資本の行き先や、資源の行き先や、政府がすることを支配できる。本当の権力は言説の支配から始まるのだ。これを理解すれば、政府や富豪やメディアがなぜ、あのように振る舞うか理解できる。
一般市民を企業権力から守るために表向き独占禁止法が存在しているが、実はこの法律は企業権力と国家権力の連合を保証する道具になっている。飴は、何十億ドルもの金、そして、鞭は、辛い政府介入という恫喝だ。
明らかに、アメリカ政府は、政府の権益にあわせて、コンテンツを自発的に検閲する独占的企業があるのを好むだろうが、政府にとって、帝国に仕える独占的企業がないより悪い唯一のことは、帝国に仕えるのを拒否する独占的企業があることだ。だから、ここで発出される脅迫は「我々がお前たちに検閲しろと言う通りに検閲しろ、さもないとお前の企業は破壊され、言う通りにする企業に置き換えられるぞ。」というものだ。
それは、まさに簡単に起こり得るのだ。Facebook、Google/YouTubeあるいはTwitterは、容易に、規制されて、機能不全にされたり、より小さい企業に分割されたりしかねず、次に、政府に、ずっと協力的な企業が、彼らにとって換わるのを許されかねないのだ。そもそも、シリコンバレー億万長者は、生きている最も道義的な人々からほど遠いので、彼らが帝国の意思に沿って振る舞うよう保証するには、この脅迫で十分なのだ。
これはアメリカに集中した帝国内で、様々な権力構造がお互いの利益を調整し、つなぎ止めておくための実に様々な種類の接着剤に過ぎない。もし、あなたが億万長者で、極めて膨大な富を支配したいと望むなら、既存支配体制に協力しなければならない。さもないと、支配体制内に入る許可を与えられず、体制中に入るのを許されなければ、即座に追いだされるのだ。
権力と協力するのは、権力に反対するより常に容易だ。それが意欲的ジャーナリストが帝国言説を推進する理由で、成金富豪が、結局、常に支配体制の権益に協調する理由で、実に多くの国々が、アメリカと協調する理由だ。
理論上は、市場と政府の抑制と均衡が、国民の利益になるよう、大企業同士を競争させておくことになっている。実際は、大企業は、結局、常に彼ら自身の利益のために、国民に対して協力するのだ。
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『ハラスメントは連鎖する 「しつけ」「教育」という呪縛』という本を読んだことがある。今は古書、とんでもなく高価だ。ハラスメント、受けた側も、更に他人に続けるのだという。
呆導番組、前半でコロナ蔓延無策を報じ、後半で五輪讃歌(サンドイッチ順序は様々だが)という統合失調症状態、見るに耐えないので、五輪讃歌部分は消している。支離滅裂番組を見ているうちに、視聴者も洗脳され、ええじゃないか安全安心を唱えて、続々街頭に踊り出すのではなかろうかと妄想する。折しも盆踊りの季節。
昨日のIWJ須川清司上級研究員インタビュー「『台湾有事』急浮上で各国の軍拡競争激化、長いインタビューだが実に興味深いもの。こういう重要な話題、大本営広報部は決して扱わない。コロナ蔓延の本当の原因が、厚労省感染症ムラによるPCR検査独占体制、クラスター対策という最初からの間違いに起因することを上昌弘氏が、外国人特派員協会に招かれて講演した。この講演は、特派員協会とIWJ両方がyoutubeに載せていた。ところが、理解しがたい理由で、IWJの番組は消された状態になっている。ケイトリン・ジョンストンさんが指摘する通り、巨大ハイテクを、政府が支配して、不都合な独立メディアへのいやがらせをしているとしか思われない。大本営広報部、タレントの不倫や離婚はしつこく報じるが、こうした重大な話題は完全にスルー。呆導隠蔽機関。
五輪音楽担当者の「とんでも自慢インタビュー」五輪関係者資質の象徴にみえる。一事が万事。韓国大統領訪日見送りの背後にも、とんでもない害行官言動があった。呆導番組に出て嫌韓言説を繰り返す害行官の劣化コピー。
<昨日の岩上安身によるインタビュー>岩上安身による東アジア共同体研究所・須川清司上級研究員インタビュー「『台湾有事』急浮上で各国の軍拡競争激化 日本列島は中国のミサイルを『吸収』する犠牲の島に!? 新INF条約を樹立することは可能か?」を配信しました!
<新記事紹介1>文在寅大統領が五輪での訪日、首脳会談見送りを発表! 背景に在韓日本大使館相馬公使の「マスターベーション」発言! まともな歴史認識も持たない政治家・官僚が極右発言を繰り返し、隣国を侮蔑して国際関係の信頼を破壊している!
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