エジプトの抗議運動: "独裁者"は命令せず、命令に従っている
Michel Chossudovsky
Global Research、2011年1月29日
全国的な抗議運動に直面した、ムバラク政権は崩壊しかねない... エジプやアラブ世界はどうなるのだろう?
"独裁者達"は命令はせず、命令に従っているのだ。これはチュニジアにも、アルジェリアにも、エジプトにも当てはまる。
独裁者というものは、決まって政治的傀儡だ。独裁者は決断しない。
ホスニ・ムバラク大統領は西欧経済権益の忠実な使用人だ。ベン・アリもそうだ。
抗議運動の対象はエジプト政府だ。目的は、傀儡師ではなく、傀儡を追放することだ。エジプトでスローガンは"ムバラクを倒せ、政権を倒せ"だ。反米ポスターは皆無だ... エジプトや全中東で最も重要で破壊的なアメリカの影響は、ほとんど報道されぬままだ。
舞台裏で動いている外国勢力は抗議運動から免れている。
抗議運動によって、外国による介入の問題が十分に取り上げられない限り、本格的な政治的変革は起こるまい。
エジプト政府に常に暗い影を投げ掛けてきた、重要な政治的存在である、カイロのアメリカ大使館は、抗議運動の標的になってはいない。
1991年、湾岸戦争の真っ最中、エジプトに破壊的なIMFプログラムが押しつけられた。これはアメリカに対する、数十億ドルというエジプトの軍事債務の取り消しと、参戦とを引き換えに実現したものだ。それによって生じた食料品価格の規制緩和、見境の無い民営化と、大規模緊縮政策は、エジプト国民の窮乏化と、エジプト経済の不安定化をもたらした。エジプトは模範の"IMFの弟子"として称賛されていた。
チュニジアのベン・アリ政権の役割は、20年以上もの間にわたり、国家経済を不安定化させ、チュニジア国民を窮乏化させたIMFの経済的劇薬を実施することだった。過去23年間、チュニジアの経済・社会政策はワシントン・コンセンサスによって決定されていた。
ホスニ・ムバラクもベン・アリも権力の座に留まれたのは、彼等の政権が、IMFの絶対的命令に服従し、命令を効率的に執行していたからだ。
チリのピノチェトや、アルゼンチンのビデラ、ハイチのベビー・ドクから、ベン・アリやムバラクに至るまで、独裁者達はワシントンの手で就任してきたのだ。歴史的に中南米では、独裁者達はアメリカが支援する一連の軍事クーデターのおかげで就任してきた。
今日、彼等は国際社会による監視下での"自由で公正な選挙"で就任する。
抗議運動への我々のメッセージ:
実際の決定は、ワシントン DCで、アメリカ国務省で、ペンタゴンで、ラングレーのCIA本部で、H Street NWにある世界銀行とIMFの本部で行われている。
"独裁者"の外国権益との関係こそ取り上げられるべきだ。傀儡政治家は追放すべきだが、"本当の独裁者"を標的にすることを忘れてはならない。
抗議運動は、政治権力を本当に握っている連中に取り組むべきなのだ。運動はアメリカ大使館、欧州連合代表団、IMFや世界銀行の派遣団を的にすべきだ。
ネオリベラル経済政策という計略が捨て去られることによってのみ、意味ある政治的変革が確保される。
政権取り換え
万一、抗議運動が"投資家"、国外債権者や国際金融機関によって行使される圧力を含め、外国勢力の役割に取り組み損ねれば、国家主権という目的は実現不可能だ。その場合、起こるであろうことは"政権取り換え"という矮小なプロセスであり、それは政治的連続性を確実にする。
"独裁者"は、権力の座に据えられ、権力の座から追われるのだ。彼等が政治的に信用を失い、もはやアメリカのスポンサーの権益に役立たなくなると、多くの場合、政治的な敵対勢力連中から登用した新たな指導者によって置き換えられる。
チュニジアで、オバマ政権は既に態勢を整えている。"民主化プログラム"(つまり、いわゆる公正選挙の実施)で主要な役割を演じるつもりなのだ。政治危機を、フランスの役割を弱め、北アフリカにおける自らの立場を強化するための手段として利用することも狙っている。
"チュニジア街頭における抗議運動の高まりを素早く判断したアメリカ合州国は、チュニジアやその他の国々で、自分の有利な立場を押しつけようとして、民主的改革を強く求めている。
中東担当のトップ、アメリカ特使ジェフリー・フェルトマンは、アザイン・アル・アービディーン・ベン・アリ大統領が1月14日にその地位を追われた後、チュニジに入国した最初の外国人官僚だが、彼は速やかに改革を呼びかけた。火曜日に、自由で公正な選挙だけが、北アフリカの国家の追い詰められた指導部の信頼性を強化し、高めることができると彼は語った。
他のアラブ政府との対話において、"我々はチュニジアの教訓を必ずや活用できるだろうと私は期待している"と、国務次官補代理フェルトマンは補足した。
騒然とした権力移行時にアメリカの支援を申し出るため、彼はこの北アフリカの国に派遣され、チュニジア閣僚や市民社会団体幹部と会談した。
水曜日にフェルトマンはパリに出張し、フランスの首脳と危機について議論し、新チュニジアに対する国際的な支援をアメリカが主導しているという印象を強め、旧宗主国フランスに損害を与え...
西欧諸国は、北アフリカ地域におけるイスラム過激派に対する防壁と見なし、失脚したチュニジア指導者を長らく支持していた。
2006年、当時のアメリカ国防長官ドナルド・ラムズフェルドは、チュニスで演説し、チュニジアの進展を称賛した。
アメリカ国務長官ヒラリー・クリントンは、1月13日ドーハでの演説で、アラブの指導者達に対し、国民により大きな自由を認めるか、それとも過激派が状況につけこむ危険を冒すのかと警告して、素早く介入した。
"アメリカ合州国が、極めて迅速に、勝ち馬に乗ろうとしていることは明らかだ..." " AFP:チュニジア暴動の結果が具現化するのをアメリカが支援(強調は筆者による)
ワシントンは新たな傀儡政権を見事に就任させられるだろうか?
それは、チュニジアの内政問題におけるアメリカの陰険な役割に取り組む、抗議運動の能力に大いに依存している。
帝国の決定的な力は言及されていない。辛辣な皮肉だが、オバマ大統領は抗議運動支持を表明した。
オバマ大統領は民主主義と人権に献身しており、そもそもアメリカのおかげで就任した独裁者を追放するという反対派の決意を支援しているものだと、抗議運動をしている多くの人々が信じこまされるだろう。
野党指導者達の協力
独裁主義的傀儡政権の崩壊を見越して、主要野党や市民活動団体の指導者達と協力しておくことは、ワシントンの計画の一部であり、世界の様々な地域で行われている。この協力作業は、全米民主主義基金(NED)やフリーダム・ハウス(FH)を含む、アメリカを本拠とする財団によって、実施され、提供を受けている。FHもNEDも、アメリカ議会、外交問題評議会 (CFR)やアメリカ財界と結びついている。NEDもFHもCIAとのつながりがあることが知られている。
NEDはチュニジア、エジプトとアルジェリアに積極的に関与している。フリーダム・ハウスはエジプト国内のいくつかの市民社会団体を支援している。
"外国の政権を転覆させるための秘密資金援助工作におけるCIAの役割が発覚し、CIAから財政的支援を受けている、政党、運動、雑誌、書籍、新聞や個人が信用を失う結果となった後、レーガン政権によってNEDが設立された. ... 超党派の寄付として、二大政党も、AFL-CIOやアメリカ商工会議所も参加し、“民主主義の推進”という旗印の下、海外における政権打倒運動への公然とした資金援助を、NEDが引き継いだ。(Stephen Gowans、一月 ≪ 2011 "What's left"
アメリカがムバラク政権を過去30年間支持する一方、アメリカ国務省やペンタゴンとつながりを持ったアメリカの財団が、市民社会運動を含む敵対的政治勢力を積極的に支援してきた。フリーダム・ハウスによれば"エジプトの市民社会は、活気があると同時に、抑圧されてもいる。極めて規制された環境下で活動しながら、エジプトにおける市民的、政治的権利拡大に専念する何百もの非政府組織が存在している。" (フリーダム・ハウスのプレス・リリース)。
辛辣な皮肉だが、ワシントンは、残虐行為を含めムバラク独裁政権を支持しながら、とりわけFH、NED等の活動を通じ、政権を非難する連中を支援し、資金提供しているのだ。
若い世代の賛同者達を力づけるためのフリーダム・ハウスの活動は具体的な成果を生み出しており、エジプトにおける新世代プログラムは、現地でも、国際的にも注目を集めている。あらゆる市民社会団体からのエジプト人客員研修生は[2008年5月]、アメリカ国務長官、国家安全保障顧問や、議会の著名議員との会談を含め、ワシントンで前代未聞の注目を浴び、認められている。コンドリーザ・ライスの言葉によれば、研修生は"エジプトの未来の希望"だ。
フリーダム・ハウス http://www.freedomhouse.org/template.cfm?page=66&program=84 (強調は筆者による)
政治的はぐらかし。"独裁者"とおしゃべりし、"反体制派"ともお話しする
フリーダム・ハウスによる援助の下、エジプト人反体制派やホスニ・ムバラクに反対する連中が、2008年5月、国務省と米議会で、コンドリーザ・ライスに迎えられた。
2009年5月、フリーダム・ハウスの後援でワシントンを訪問したエジプト人反体制派の代表団のいくつかとヒラリー・クリントンは会見した。こうした高官レベルの会談はオバマのエジプト訪問前に行われた。
アメリカ国務長官ヒラリー・クリントンは、今日会見したエジプトの市民社会活動家団体の仕事ぶりを称賛し、民主主義に向かい、人権の尊重を一層示すことが、エジプトにとって有益だと語った。
フリーダム・ハウスの新世代プログラムが組織した二カ月研修の終了後、16人の活動家が、ワシントンで、クリントン国務長官と、中東担当国務次官補代理ジェフリー・フェルトマンに会見した。
研修生達は、アメリカ合州国政府が、エジプトの市民社会運動からは距離をおいているように感じていることの懸念をあげ、オバマ大統領に、来週のカイロ訪問時には、若い無党派の市民社会活動家と会見するよう求めた。彼等はまた、オバマ政権に、エジプトの市民社会活動に対する政治的、経済的支援の提供を継続し、エジプトの長年にわたる非常事態法の下で、厳しく制限されている非政府組織の活動の余地を拡げることを支援するよう要請した。
研修生達は、クリントン国務長官に、エジプトでは、市民権と人権を強化するためのはずみは既についており、現時点で、アメリカの支援が至急必要だと語った。彼等は市民社会運動が、エジプトにおいては、穏健で、平和的な“第三の道”であり、政権内の独裁主義的分子や、神権政治的支配を信奉する人々に取って代わるものであると強調した。(フリーダム・ハウス、2009年5月)
研修期間中、活動家達は、ワシントンで一週間過ごし、政治提言や政治運動について研修を受け、アメリカ民主主義の機能の仕方を見学した。研修後、研修生はアメリカ中の市民社会活動団体と引き合わされ、アメリカ側の同様団体の人々と経験を分かち合った。活動家達は、研修プログラムを... アメリカ政府の役人、国会議員、マスコミや、シンク・タンク訪問で締めくくる" (フリーダム・ハウス、2009年5月、強調は筆者による)
抗議運動で重要な役割を果たしているこれら反政府団体は、アメリカの権益に役立つことになっている。国務省と米議会への反体制派招待は、アメリカ民主主義という価値観に対する献身と忠誠の感情を植え付けるものだとされる。アメリカが自由と正義の模範として紹介される。オバマは"模範的人物"として、支持される。
ワシントン DCのエジプト反体制派のフリーダム・ハウス研修生(2008)
米国務長官ヒラリー・クリントンは、フリーダム・ハウスを通して訪問中の"自由と民主主義を推進するエジプト人活動家達とワシントンDC国務省での会談前に会談した。2009年5月28日"。
[二枚の写真を比較されたい。コンドリーザ・ライスが接見した2008年の代表団、2009年5月ヒラリー・クリントンが会談した2009年代表団。
シャルム・エル・シェイクでのヒラリー・クリントンとホスニ・ムバラク、2010年9月
ホスニ・ムバラクとおしゃべりをするコンドリーザ・ライス。"エジプトの未来の希望"
次の写真は省略(なぜか写真が巨大になるので。)オリジナル英語サイトでご覧ください。
フリーダム・ハウスに応対するコンドリーザ・ライス。左から四人目
傀儡師は自らの傀儡に対する反対運動を支援する
傀儡師は自らの傀儡に対する反対意見を支援する?
これは"政治的レバレッジ"、"反対意見のでっちあげ=manufacturing decent"と呼ばれているものだ。敵対的政治勢力を支配する手段として、独裁者も、独裁者に対する反対派も、支援するのだ。
ブッシュとオバマ政権になりかわる、フリーダム・ハウスや全米民主主義基金によるこうした活動によって、アメリカが資金を供給した市民社会団体の反対運動は、彼らのエネルギーを、ムバラク政権の背後にいる傀儡師、つまりアメリカ政府には、決して向かわないようにしているのだ。
これらアメリカから資金を供給された市民運動団体は、抗議運動の内部に埋め込まれた"トロイの木馬"として機能する。彼等は傀儡師の権益を擁護する。彼等は、草の根抗議運動が、主権国家の内政に対する外国による干渉というより広範な問題には決して触れないようにしているのだ。
フェイスブックとツイッターのブロガーはワシントンに支援され、資金援助を受けている
エジプトの抗議運動では、アメリカに本拠を持つ財団から資金援助を受けているいくつかの市民社会団体が、ツイッターとフェイスブック上での抗議運動を先導してきた。
"エジプトのキファーヤ(もうたくさん)運動の活動家達が、政府に反対する人々との「4月6日若者運動」の連合が、フェイスブックやツイッターというソーシャル・ネットワーキング・ウエブ・サイト上での抗議運動を組織したのだ。エジプトでは、火曜日深夜、ツイッターが遮断されているようだと西欧のニュースは報道している。" (ボイス・オブ・アメリカの「エジプト、痛烈な反政府抗議運動で動揺」を参照=原文は英語。)
上がアラビア語のキファーヤ、右から左に読む(意味は「もうたくさん」)
2004年、ムバラク政権に対する最初の行動の一つを組織したキファーヤ運動は、フリーダム・ハウスと連携している、アメリカを本拠とするInternational Center for Non-Violent Conflictによって支援されている。
キファーヤは、広範な支持基盤を持った運動であり、パレスチナや、地域へのアメリカ介入に対しても態度を示している。
フリーダム・ハウスは、中東と北アフリカでのフェイスブックとツイッターの促進・訓練に従事している。
フリーダム・ハウスの研修生達は、市民動員や、リーダーシップや戦略的計画立案の能力を習得し、ワシントンに本部を置く援助資金供与者、国際団体やマスコミとの交流を通した、ネットワーキングする機会という恩恵を受けている。エジプト帰国後、フェイスブックやSMSメッセージングを活用した政治改革を主導する等、革新的な取り組みを実施するために、研修生達はささやかな助成金を受けている。
http://www.freedomhouse.org/template.cfm?page=66&program=84 (強調は筆者による)
フリーダム・ハウスは、[2010年]2月27日から3月13日まで、中東と北アフリカ[様々な市民運動団体]からのブロガー11人に、二週間のワシントンD.C.での最先端ニュー・メディア研修ツアーを主催した。研修旅行では、ブロガーに対し、デジタル・セキュリティー、デジタル・ビデオ制作、メッセージ作成や、ディジタル・マッピングの研修を行った。D.C.滞在中、研修生達は上院のブリーフィングにも参加し、USAID、国務省や議会、アル・ジャジーラやワシントン・ポストを含む国際的マスコミ幹部とも会見した。http://www.freedomhouse.org/template.cfm?page=115&program=84&item=87 (強調は筆者による)
アメリカ上院、議会、国務省等々での会談も加えて、アメリカ政権がこのブロガー研修プログラムに対し、付与した重要性は、容易に読み取れる。
反対意見を表現するフェイスブックやツイッター運動の役割は、いくつかの市民社会団体と、フリーダム・ハウス(FH)、全米民主主義基金(NED)やアメリカ国務省とのつながりという観点から、慎重に検討する必要がある。
BBCニューズ・ワールド(中東で放送)は"アメリカは民主化を要求する団体に送金してきた。"と報じるエジプト人のインターネット・メッセージを引用している(BBCニューズ・ワールド、2010年1月29日)。秘密のアメリカ大使館文書を引用しているデイリー・テレグラフ記事によればこうだ(2011年1月29日)。
"エジプトにおける抗議行動は、ムバラク大統領に反対する、主に若く教育のあるメンバーを惹きつけているフェイスブック上の集団、4月6日青年運動によって動かされている。このグループには、約70,000人の会員がおり、ソーシャル・ネットワーキング・サイトを抗議行動を組織し、活動報告をするのに活用している。
WikiLeaksが公開した文書は、人権侵害に関して最も信頼できる情報源の一人と見なして、2008年と、2009年中、[カイロの]アメリカ大使館職員が、ある活動家を定期的に接触していたことを暴露している。" (強調は筆者による)
ムスリム同胞団
エジプトのムスリム同胞団は、ムバラク大統領への反対勢力中、最大の組織だ。報道によれば、ムスリム同胞団が抗議運動を支配しているという。
宗教政党に対し、憲法上の禁止はあるが、"無所属"としてエジプト議会議員になっている同胞団メンバーは議会最大のブロックを構成している。
とはいえ、同胞団は、この地域におけるワシントンの経済的・戦略的権益に対する直接の脅威となっているわけではない。西欧諜報機関には長年にわたる同胞団との協力の実績がある。イギリスの諜報機関を介したイギリスの同胞団支援は、1940年代にさかのぼる。元諜報機関職員のウイリアム・ベーアによれば、1950年代から"CIAは“ナセルを打倒できるという、同胞団の称賛に値する能力”ゆえに、ムスリム同胞団を支持し[資金を注ぎ込んでいた]。1954-1970、CIAとムスリム同胞団は、エジプトのナセル大統領に反対するために同盟しており、こうしたCIAとの秘密のつながりは、ナセル後の時代にも維持されていた。
結びの言葉
ホスニ・ムバラク解任は、ここ数年間アメリカ外交政策の計画上にあった。
政権取り換えで、意味がある政治的変化が起きたかのような錯覚を与えつつ、連続性を確保することができる。
エジプトに対する、ワシントンの狙いは、"抗議運動をハイジャック"し、ホスニ・ムバラク大統領を、新たな従順な傀儡国家元首で置き換えることだ。
ワシントンの狙いは、大国の権益を保持し、エジプト国民を貧困化させてきたネオリベラル経済戦略を維持することだ。
ワシントンの観点からすれば、政権取り換えの為に、もはやアメリカ帝国主義の全盛期のように独裁主義的な軍事政権を就任させる必要はない。左翼を含め、諸政党を取り込み、市民社会団体に資金援助をし、抗議運動に潜入し、国政選挙を操作することで実現可能なのだ。
エジプトにおける抗議運動に関し、1月28日のYoutubeのビデオ放映でオバマ大統領は語っている。"政府は暴力に訴えるべきではない"。より根本的な疑問は、その暴力の根源が何かということだ。
エジプトは、イスラエルに次ぐ、アメリカ軍事援助の最大の受益者だ。エジプト軍は、ムバラク政権の権力基盤だと見なされている。
"自由市場"改革と、中東の軍事化と相まって、20年以上エジプトとアラブ世界に押しつけられてきたアメリカの政策が、国家による暴力の根本的原因なのだ。
アメリカの狙いは、抗議運動を利用して、新政権を据えることだ。
民衆運動はエネルギーの方向を変えるべきだ。アメリカと"独裁者"との関係を明らかにすべきだ。アメリカの政治傀儡は追放すべきだが、"本当の独裁者"を標的にすることを忘れてはならない。
体制変革プロセスの排除。
ネオリベラル改革の解体。
エジプトとアラブ世界の米軍事基地の閉鎖。
本当に主権をもった政府の樹立。
Michel ChossudovskyによるGlobal Research記事
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Global Researchをご支援いただきたい。
Global Researchは、読者の皆様の財政支援で運用されている。
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記事原文のurl:www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=22993
元記事を評価される方がおられたら、Global Researchにご寄付頂きたいものだ。良い記事が、ただでまとめられるはずがない。それが続けられるはずがない
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フェイスブック、ツイッターによる革命だ!と、単純に快哉を叫べれば嬉しかろうが、そうは問屋がおろさない。帝国は周到。しっかりリスク回避策をしかけてある。日本ですら、自民党と民主党に棲み分けている兄弟もいる。
インターネット自体、そもそもアメリカ国防省によるプロジェクト。自分たちが作ったツールで、自分たちを崩壊させる軍隊など、世界に存在するまい。イランの核施設に放たれたワームのように、逆の使い方なら、もちろん、あるだろう。ウエブや、ブログを書いている人間の正体や、趣味、嗜好を追跡したり、通報したりは、日常茶飯事だろう。フェイスブックも、ツイッターも、軍ではなくとも、アメリカ発のソフト。
道理で、クリントン国務長官やオバマ大統領、「ネットを遮断するな」と発言するわけだ。下記2010年9月28日のPatrick Martin記事の様に、ネット支配対策も当然、考えている。
ビッグ・ブラザー・オバマ:アメリカ、インターネット・メッセージングをスパイ予定
日本の学生運動エリート諸氏にも、活動後しっかりアメリカ留学し、先生におさまっていた・いる人がある。内閣や都庁で幹部に居すわる御仁も。中国の有名反体制運動家もアメリカで生活していたりする。彼等にとって帝国は天国?
アメリカ留学された、この国の官庁・政治家エリートの皆様は、エジプトの活動家諸氏とは違う、トロイの木馬でない、良いお仕事をしておられるのだろうか?
宗主国、この模範的属国は、ますます手放せない。
火山は頻繁に爆発するが、民衆は決して爆発せず、66年にわたり、黙々と莫大な戦争資金・みかじめ料を献上し、侵略基地を受け入れる世界に一つだけの国。戦闘機の飛行訓練、迷惑だと訴えても、はじかれる全体不幸社会。
この国に必要なものは、エジプトや、チュニジアと同じだろう。
- 体制変革プロセスの排除。
- ネオリベラル改革の解体。
- 沖縄と本土の米軍事基地の閉鎖。
- 本当に主権をもった政府の樹立。
だが実現するのは、平成の売国・壊国。TPP加盟、消費税増税、比例定数削減・憲法破壊。思想的・経済的な焼け野原、目の前に見える気分。
森田実氏のMorita Research Institute Co., Ltd.2011/1/30付け記事に下記文章がある。全く同感なので、そのままコピーさせていただく。
菅首相のTPPに対する態度は、1960年の日米安保条約改定に対する岸首相の態度に似ている。岸首相は国民に対してうまいことを言いながら、内実では力ずくで成立させることを決意し、そのとおり実行した。
菅首相は岸首相と同じ強権的な態度をとっている。
菅首相は、いまや危険な強権主義者である。かつて、1920年代から30年代にかけて西欧の社会民主主義者の多くはファシストに変身した。いまの日本で同じことが起きている。菅首相はじめ民主党内の元社会民主主義者が、従米、右翼、強権主義者に変節している。
TPPはアメリカ政府による日本の植民地化を完成させるシステムである。こんな危険なことはない。アメリカの支配のもとで僅かに残っている関税自主権まで放棄しようとしている。TPP参加は阻止しなければならない。
本来は、森田氏が参加された60年安保反対運動以上の運動が必要だろう。
ところで、フェースブックやツイッターを活用されている皆様は、アメリカや、民主党や自民党に招待されてはおられません?小生には全くお声がかからない。フェースブックも、ツイッターもわからない小生、ふと、思いついた次第。^_^;
豪腕政治家氏、命令はせず、命令に従っていたのだろうか?権力の座に据えられたが、不都合になって、権力の座から追われるのだろうか?
2008年8月18日に、F. William Engdahlによる、下記の記事を訳している。カラー革命なるものを動かしているアメリカNGOの策謀が描かれている。
文中に、NGOによるクーデター
という項目があり、中には、下記記述がある。
もはや協力的ではなくなったシュワルナゼの後継候補として、アメリカが承認したサアカシュヴィリが率いるグルジア自由協会に、アメリカ国務省は資金援助をした。自由協会は、「クマラ!」という組織を生み出したが、これは「もうたくさんだ!」という意味である。
今回のキファーヤ(もうたくさんだ)、瓜二つ。偶然の一致だろうか?
2011/2/11追記:
為清勝彦氏のBeyond 5 Sensesで、F・ウィリアム・イングドールの下記記事が読める。
本記事が言う「フェースブック、ツイッターを駆使した若者による革命なるもの、アメリカ仕込みであること」が、より詳しく描かれている。
エジプトの革命:「大きな中東」を創造するための破壊? 2011年2月5日
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