■ 第2戦東アジア選手権の第2戦。日本は、<4-5-1>。GK楢崎。DF内田・中澤・今野・駒野。MF鈴木・中村憲・遠藤・山瀬・安田。1トップで田代。
日本は、前半18分に、左サイドのDF駒野のクロスをニアでFW田代がつぶれると、その裏でフリーになっていたMF山瀬が右足で決めて先制。その後は、中国のサイドアタックに苦しむが、前半は1対0で折り返す。
後半は、中国のラフプレーに苦しめられるが、落ち着いて対応し、無失点で完封。1対0で勝利した。
■ 試合をコントロールした日本日本は、前半の終盤を除くと、終始、試合をコントロールした。MF安田の飛び出しからGKと1対1になったシーンや、FW田代の幻のゴールなど、チャンスの数も多かった。
後半は、中国のペースが急激に落ちたこともあって、危ない場面も少なく、カウンターから何度もチャンスを作った。中国が前がかりになったことと、CBにスピードがなかったこともあって、思うようなスピードのある攻撃が可能となった。
レフェリーが示したロスタイムは、「5分のみ」だったが、あと5分くらいあれば、確実に日本が追加点を奪えていただろう。
■ 絶対的な存在になりつつある山瀬FW前田ら怪我人が多いこともあって、初めて1トップを採用した岡田ジャパンだったが、思いのほか機能した。トップ下のMF山瀬がキレのあるプレーと思い切りのいいプレーでチームをけん引し、決勝ゴールを奪った。
1トップ下に求められるのは、「前線に飛び出す意識」と「自ら突破する能力」の2つだが、今の日本には、山瀬以上にその能力を備えた選手は存在しないだろう。欧州組では、MF中村俊やMF松井といった選手も控えるが、今の岡田ジャパンのトップ下に求められる仕事を山瀬以上にこなすことは、まず無理だろう。
山瀬も怪我の多い選手であるが、コンディションが良好であれば、誰が入って来ようとも、もはやスタメンから外す理由は見つけられない。
■ 奮闘する田代ここ2試合で連続スタメン出場を果たしたFW田代は、非常にタフに戦った。前半は空中戦を制し、後半は裏への飛び出す意欲も見せた。残念ながらオフサイド判定だったが、見事なミドルシュートもネットに突き刺した。
鹿島ではマルキーニョスがいて、次に田代が控えるという序列なため、完全なエースというわけではないが、東アジア選手権で田代の良さを再発見した。空中戦の強さだけでなく、相手DFを振り切るスピードと、ダイレクトパスで味方を活かすセンスの良さも光る。
日本代表チームにとっては、無理なスケジュールも祟って、不運な要素も強いが、田代はこの大会が飛躍するステップになりそうだ。
■ ダブルボランチの落ち着きこの試合では、終始、中村と鈴木のダブルボランチが採用された。アウェーということもあって、押される展開が予想できただけに、現実的な采配ともいえるが、これは一定の成果を得た。
これまでの4試合を振り返ってみると、1ボランチのメリットよりも、むしろデメリットの方が目立っていた。両サイドバックも頻繁にオーバーラップするため、鈴木啓太1人で広範囲をカバーすることになって、彼への負担が増大していたが、ダブルボランチで中村憲が下がり目になったことで、鈴木の良さも発揮されるようになった。
確かに、理想は1ボランチで攻撃的な枚数を増やすことができればいいと思うが、オシム監督も語っていたように、今の日本には、なかなか1ボランチをこなすタレントがいない。当面は、ダブルボランチの方が、攻守ともに安定感を生み出せそうだ。
■ 今野のセンターバック起用驚きの要素も強かった今野のセンターバック起用は、非常にうまくいった。岩政が怪我ということもあったのか、中澤の相棒に今野を抜擢した岡田采配がはまった形となった。
北朝鮮戦でDF水本が苦戦したことも要因だったのか本職以外の選手を起用してきたが、今野のつなぐ意識が、相手の二次攻撃を封じ込める大きなファクターとなった。
さらには、前半に今野がDFラインのやや前目でボールを受けて、ビルドアップをスムーズに進めようとしていた点も見逃せない。これは、ダブルボランチの一角の鈴木啓太の後方への献身的なサポートもあって、DFラインとボランチの間でイレギュラーさを生み出し、中国のプレッシャーを弱める効果を発揮した。
■ 安田の使い道残念ながら、怪我で退場した安田だったが、この試合はいい飛び出しもあったが、北朝鮮戦ほどのインパクトは残せなかった。途中出場とスタメンという違いもあったが、前半は左サイドバックの駒野とプレーエリアを消しあう形となり、2人が連携して崩すようなシーンはなかなか見られなかった。
この試合のように中盤でも威力を発揮する安田だが、やはり左サイドバックでプレーしているところを見たい。怪我の程度は心配だが、問題が無いようなら、韓国戦は左サイドバックで起用してほしい。
■ 苦戦した内田右サイドの内田は、非常に苦戦した。中国代表の№8の選手は非常にいい選手で、スピードもあって、クロスの精度も高い好プレーヤーだったこともあって、マークしきれなかった。幸い、DF中澤のサポートもあって、なんとか無失点で済んだが、前半で交代させられていても全く不思議ではなかった。
後半は、少しずつ攻撃に絡むようになったためトータルでは及第点の内容プレーだったが、そもそも右サイドバックは、駒野や加地といった選手もいて、彼らを左サイドにコンバートしてまで、内田を起用しているのだから、及第点のプレーでは満足できない。
後半に、右サイドから中に切れ込んでスルーパスを出したシーンを見ればわかるように、ラストパスのアイディアの豊富さでは、駒野や加地を上回る。韓国戦では、岡田監督の期待に応えられるようなプレーを期待したい。
■ 驚くに値しない中国のラフプレーリードを許したこともあって、後半に中国の選手はラフプレーに走った。レフェリーが試合をコントロールできないことも相まって、試合終盤には日本の選手がピッチに倒れこむシーンが続出した。
ただ、これは全く予期せぬ出来事ではなく、大会前からある程度は分かっていたことである。重慶で中国代表と試合をすれば、どうなるかは誰にでも予想はついたことである。G大阪の安田は相手GKと衝突して、立ち上がれないまま、ピッチを去った。
この試合については、日本サッカー協会は、しっかりと中国代表と中国サッカー協会に抗議しなければならないし、その責任をもつ。試合をする以上は怪我は付き物だが、防ぐことのできる怪我は徹底的に防がなければならないし、こういうプレーを許していたら、日本サッカーのみならず、中国サッカーの発展も望めない。
日本代表の試合の観衆が減少している理由の1つとして、Jクラブのサポーターの代表への関心を失わせてしまった点が挙げられる。もし、レッズやガンバやフロンターレがこういう事態にあったら、相手クラブに対して、クラブをあげて猛烈な抗議を行うことだろう。
日本サッカー協会は、日本代表選手を守れるのだろうか?はたして、どういう行動を取れるのだろうか?
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>>> 埼玉・水色さん
どうもコメントありがとうございます。前田や駒野や安田や岩政らの怪我があって残念でしたが、内田と田代を3試合使えて、水本や橋本や川島、播戸といった選手をスタメンでテストできたのは、収穫でしょうか。ただ、この時期に大会を行う必要性は感じませんね。
>>> 部下Dさん
どうもコメントありがとうございます。日本相手だからなのか分かりませんが、これだけラフプレーが多いと、まともな試合はできませんね。「眠れる獅子」がいつまでも眠ったままなのが分かるような気がします。
内田については、よく我慢して使っていると思いますね。ただ、最後の仕掛けのアイディアの豊富さは加地や駒野以上で、現に韓国戦の山瀬とのワンツーのように、決定的なチャンスを作っています。あえて、ウイークポイントには目をつぶっているのでしょう。
本当に予想通り、中国は以前からラフプレーの多い国でしたが、サッカーと少林拳の区別がつかないのでしょうか?
ピッチの上ではクールに対応した選手です、後は協会が本当に中国に毅然と抗議をして、場合によってはEAFFやAFCを巻き込んでちゃんとした処罰を与えてもらうくらいの事をしないといけないでしょうね。
内田に関しては、本当にここ5試合の出来で言えば、加地や駒野に代えて起用する利点が無いですね。
前半の途中で加地が準備できたと聞いたときは、内田と交代だと思いました。
もしくは、この試合展開だったら、前半途中から、駒野を右SBに回して、安田を左SBに下げ、内田を右SHに上げる。CHに下げるか、左SHに遠藤を回すという方法もあったと思うんですけどね。
この大会の存在意義が今一つ見出せませんね・・・協会の対応次第ではますますサッカー離れが進む気が・・・
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