■ 必ず出てくる新監督のカラー3月にハリルホジッチ監督が日本代表の監督に就任したがここまで3連勝。当然、「親善試合の結果で一喜一憂する必要は無い。」と言えるし、また、3連勝したからといって、浮かれている人は選手にもスタッフにもサポーターにも誰1人いないと思うが、日本代表が大きく変わろうとしていることは誰しもが感じただろう。当然、細かい部分では改善点がたくさんあるが、新監督の滑り出しとしては極めて順調と言える。
監督が交代になると選手選考もゼロからのスタートになる。当然、「この選手は誰が日本代表の監督になっても代表に召集されるだろう。」という選手も何人かはいるが、ほとんどの選手は流動的。ザッケローニ監督はFC東京のMF高橋秀や磐田のDF伊野波などを重宝して、アギーレ監督は名古屋のMF田口や神戸のMF森岡などを代表に抜擢したが、必ず監督のカラーは出てくる。このあたりは面白いところである。
これは日本代表に限った話ではなくて他国の代表も同じだと思うが、過去の日本代表に話を限定すると、オランダ出身のオフト監督は無名の存在に近かったMF森保を日本代表に大抜擢してレギュラーとして起用した。加茂監督は横浜フリューゲルスで師弟関係だったMF山口素を代表に抜擢して攻守の中心に据えた。また、トルシエ監督はユース代表の頃から指導してきたDF中田浩など若手選手をフル代表に引き上げた。
■ ポジション争いが面白いのはボランチ「よく知っている選手を抜擢するパターン」と「自分の目指すスタイルに合った選手を見つけ出して抜擢するパターン」の2つあるが、ハリルホジッチ監督がどういうタイプの選手を好むのか?どういうタイプの選手はあまり好まないのか?についてはまだはっきりとは分からない。今後、代表メンバーが発表されたり、代表の試合が行われるたびに少しずつハリルホジッチ監督の好みも明らかになっていくと思われる。
「横一線からのスタート。MF本田圭やMF香川も含めて誰も特別扱いはしない。」と公言しているので、「どのポジションもレギュラー争いは熾烈」と言えるが、特に面白いのはボランチのポジションである。今回はMF長谷部、MF山口蛍、MF谷口彰、MF柴崎岳の4人のボランチを召集したが、3月末の親善試合のときはMF今野とMF青山敏を召集しており、5月の国内合宿のときはFC東京のMF米本を召集している。
MF米本は先日のリーグ戦で怪我をして戦線を離脱しているので、6月の2試合は怪我のため出場するのは難しい状態だった。怪我が無ければ選ばれていたのか否かは監督以外には誰にも分からないが、ハリルホジッチ監督はFC東京の試合を視察することが多くて、J1のリーグ戦だけで早くも5試合。GK権田、DF太田宏、DF森重、FW武藤嘉もいるが、MF米本に強い関心を示していたとしても全く不思議はない。
■ タイプの異なる優秀なボランチ今回は先の4人がボランチとして選出されたが、3月末の親善試合のときはMF長谷部、MF今野、MF青山敏、MF山口蛍、MF柴崎岳の5人が選ばれており、国内組オンリーだった5月の合宿のときはMF山口蛍、MF米本、MF谷口彰、MF柴崎岳の4人が選ばれている。MF長谷部、MF山口蛍、MF米本、MF谷口彰、MF柴崎岳、MF青山敏、MF今野の7人は「ボランチの中で優先順位の高い選手」と言えるだろう。
やや意外に思うのは、5月の国内合宿にも、今回の親善試合&W杯予選にも、広島のMF青山敏が選ばれていない点である。3月31日(火)のウズベキスタン戦(H)で先発出場して先制ゴールを決めるなどいいプレーを見せたが、リーグ戦でも好調。中盤の底で質の高いプレーを続けているのでコンディション的な問題はなさそう。縦に速いサッカーをするには打ってつけの存在と言えるが、直近の2回は召集外になっている。
このあたりの詳しい事情は分からないが、ベテランの域に入ったMF長谷部がいい状態をキープしていて、若手選手の大きな壁になっている点がボランチの競争を面白くしている要素の1つと言える。ザックジャパンのときは「MF遠藤とMF長谷部に続くボランチがいない。」という点が問題視されたが、2013年7月の東アジアカップをきっかけにMF山口蛍やMF青山敏が台頭。MF柴崎岳も急激に力を付けている。
「ポスト・遠藤は誰なのか?」という点が盛んに議論された時期もあるが、先日のイラク戦や今シーズンのパフォーマンスを見る限り、「将来的にMF柴崎岳であれば同等のパフォーマンスが期待できるのでは?」という雰囲気になっており、MF長谷部、MF山口蛍、MF柴崎岳、MF青山敏、MF今野を中心とした競争はハイレベル。タイプの異なる優秀なボランチを擁している点が日本代表の強みの1つになりつつある。
■ ボランチの競争に入ってくるのは誰か?信頼できる5人の競争に割って入ることが期待されるのは川崎FのMF谷口彰とFC東京のMF米本である。会見のときにハリルホジッチ監督は「パワーのある選手」と表現したが、川崎FのMF谷口彰は182センチとサイズがあって、かつ、CBやSBなど守備的なポジションであればどこでもこなす。川崎FではCBでプレーするケースが多い中、ボランチとして召集しているので、潜在能力を高く買っていることが推測できる。
FC東京のMF米本は言うまでもなく高いボール奪取力が魅力。つなぎの部分など攻撃面は他のボランチ候補と比べるとやや劣るが、守備力に関しては1・2を争うレベルである。プロ1年目の2009年に当時はFC東京に所属していたMF今野からボランチのポジションを奪ったが、2度の大怪我を経験。これまではあまり日の丸に縁が無かったが、中盤の守備力アップに貢献できる選手なので期待しているサポーターは多い。
この7人以外では、当然のことながら、G大阪のMF遠藤も代表クラスの実力を持っている。年齢的な問題があるので、よほどのことが無い限り、ハリルホジッチ監督は召集しないと思うが、可能性がゼロとは言えない。国際経験が豊富な選手ではヘルタ・ベルリンのMF細貝もボランチ候補に入ってくる。今シーズンはやや苦しんだが、日本代表ならびにブンデスリーガで培ってきた経験値はやはり貴重である。
ボランチに限らず、今の日本代表には左利きの選手が少ないことを考えるとC大阪のMF扇原などは競争に入ってきてほしい選手の1人と言える。今シーズンのJ2でのパフォーマンスはあまり優れないが、184センチの高さと精度の高い左足のキックは魅力的。レフティにこだわるのであれば浦和のMF柏木あたりも候補の1人で、若手選手では名古屋のMF矢田が注目の存在。独特の感性を持っているパサーである。
さらに若いリオ世代のボランチの中では川崎FのMF大島僚と湘南のMF遠藤航の2人が筆頭候補。MF大島僚はパスサッカーをする川崎Fの中心人物の1人で、MF遠藤航はボランチの経験は浅いが得点力が高くてフィルター役になれる。ハリルホジッチ監督はかなり意図して若返りを進めているように思えるので、(当分の間は五輪代表の活動が優先されると思うが、)激しい競争に加わってもおかしくない能力を持っている。
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