■ 2015年は18ゴールを記録したストライカー2006年にC大阪でプロデビューを果たしたFW小松塁が2017年限りで現役を引退することになった。2011年までC大阪でプレーして、2012年は川崎Fに所属。シーズンの序盤で相馬監督との契約が解除されて風間監督になってからは出場機会が限られた。1年限りで川崎Fを離れてJ1復帰を果たした大分に移籍したが5試合で1ゴールのみ。2013年の夏にJ2昇格初年度ながら上位争いをしていた長崎に期限付き移籍した。
長崎で1年半プレーして2015年に北九州に加入すると2015年はJ2で41試合で18ゴール。20ゴールのFWジェイ(磐田)、19ゴールのFWムルジャ(大宮)に次いで得点ランキングで3位となる大活躍を見せたが翌2016年はケガの影響もあって33試合で4ゴールと不振。チームも最下位に終わってJ3に降格した。2017年はJ3でプレーしたが12試合でノーゴール。北九州との契約は契約満了となって去就が注目されていた。
印象的なのは、やはり、C大阪時代になる。2007年はJ2で32試合で12ゴール。FW森島康とのポジション争いを制してチームの得点源になった。翌2008年も32試合で16ゴールを記録。16ゴールというのはMF香川と並んでチーム最多タイだった。シーズンの終盤は夏に加入したFWカイオにポジションを奪われたが18ゴールを挙げた2015年に次ぐ自己2位のゴール数を記録。大型フォワードとして開花した。
■ クルピ監督が育てた選手の1人登録身長は変動した。187センチのイメージが強いが2011年に突如として191センチまで身長が伸びて190センチ超えを果たした。翌2012年は190センチに戻ってそれ以降は190センチで登録されるシーズンが続いた。いずれにしても日本人のフォワードとしてはトップクラスのサイズを持っていたが、よく知られているとおり、スピードがあって体格を生かした強引なドリブル突破が最大の魅力となる選手だった。
特に右サイドに流れてあまり角度のないところからシュートを狙ってネットを揺らすプレーが十八番だった。これだけサイズのある選手なので特徴があまり知られていなかった時期は高さを警戒する相手の意表を突いて持ち味であるドリブルでチャンスを作る場面が多かった。「クルピ・チルドレン」に数えられることはほとんどないが紛れもなくクルピ監督が我慢して使い続けたことで育った選手の1人である。
基本的な技術は決して低くなかったが優れているわけでもなかった。2008年の夏にMF乾が加入してからはFW小松塁が最前線に入って、その下にMF香川とMF乾が並ぶケースが多くなったが、シャドーの2人との関係は良好ではなかった。同じように187センチの長身でありながらパサー役としての能力も高かったFWカイオが2008年の終盤以降は1トップのファーストチョイスになったのは必然の流れだった。
■ 「空中戦は苦手」と思われがちだが・・・。「長身フォワードでありながら最大の武器はドリブル」という選手は意外と少なくない。近年の日本人ではFW小松塁がその代表格に挙げられるが実は空中戦も非常に強い。表1は2014年~2016年までの個人成績を示しているが、敵陣での空中戦勝率は2014年が58.9%、2015年が54.7%、2016年が49.1%。「50%を超えるCFは優秀」と言われる数字なので高さを生かした空中戦も大きな武器だったことが分かる。
しかしながら、キャリアを通して「身長が高いのに空中戦は強くない選手」と言われることが多かった。数字を見ると「大いなる誤解」であることは明らかであるが彼のプレースタイルを一番よく理解しているはずのC大阪のサポーターでさえ、誤認識している人は多かった。これだけのサイズがあって、しかも、身体的な能力も非常に高い選手なので空中戦に弱いはずはないがキャリアを通して誤解され続けてきた。
触れた通り、「スピードがあって体格を生かした強引なドリブル突破が最大の魅力」というのは間違いないが、「空中戦は苦手。スピードやドリブルを警戒しておけば大丈夫」というのは誤りである。
『「サイズがあるので空中戦が得意と思われがちであるが実は苦手。ドリブル突破が武器となる大型フォワード」と思われがちであるが実際には空中戦も非常に強い選手』というのがFW小松塁に対する正しい認識と言える。
表1. FW小松塁の個人成績 (2014年-2016年)
年度 | 所属 | 試合数 | 得点 | アシスト | 敵陣での空中戦 |
回数 | 勝率 |
2014年 | V・ファーレン長崎 | 30 | 4 | 1 | 158 | 58.9% |
2015年 | ギラヴァンツ北九州 | 41 | 18 | 8 | 424 | 54.7% |
2016年 | ギラヴァンツ北九州 | 33 | 4 | 4 | 318 | 49.1% |
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