川崎フロンターレの2007年シーズンを振り返る。■ ACLへの参戦06年のリーグ戦で2位に入り、ACLの出場権を獲得した川崎Fは、リーグ戦とACLを平行して戦う過密日程となった。ACLに向けてGK川島を獲得し、ウイークポイントを的確に補強。充実した布陣でシーズンに臨んだ。
シーズン序盤は順調で、11節終了時点では2位につけており、ACLでの戦いの影響を感じさせなかった。MF大橋やMF村上といった移籍組もチームにフィットし、MFフランシスマールの離脱の穴を十二分に埋めた。
しかしながら、13節からの5試合で1敗4分けに終わると順位は7位まで転落。18節の神戸戦でFWジュニーニョの劇的な決勝ゴールで2対1と勝利し、5試合ぶりの勝ち点3を獲得したが、徐々に歯車はかみ合わなくなっていった。
■ タイトルへの挑戦初挑戦のACLだったが、グループリーグは難なく突破を果たす。最大のライバルと見られた韓国の全南に2連勝し、5節終了時点で早々と勝ち抜けを決めた。準々決勝のセパハン戦も終始、押し気味だったが、スコアレスドローの末、PK戦で敗退した。
決勝トーナメントから参加したナビスコカップでも、タイトル獲得のチャンスをつかんだ。準々決勝で甲府、準決勝で横浜FMを撃破し、チーム2度目のナビスコカップ決勝進出を果たした。その決勝ではG大阪に0対1で敗れたが、チームは貴重な経験を積んだ。
結局、リーグ戦は5位。思い出深いシーズンを上り調子で終えた。
■ アジアのベスト8ACLでは、日本勢として初めて決勝トーナメント進出を決定するなど、アジアの舞台で、フロンターレの強さを見せ付けた。準々決勝では準優勝のイランのセパハンと対戦し、強豪相手に互角以上の試合を見せた。結局、PK戦で敗れたが、チームはかけがえの無い経験をした。
日本の中でも決して恵まれた環境といえるチームではない川崎Fというクラブが、ACLのグループリーグを勝ち進んで、ベスト8に進んだことは、レッズのACL制覇に負けないくらいの価値があるだろう。
ACLに挑戦して、選手もサポーターも、新しい世界が広がった。次の機会がいつ訪れるかは分からないが、この経験を生かして、クラブとしてステップアップして欲しい。
■ 厚くなった選手層開幕前に、秘密兵器といわれたMFフランシスマールが長期離脱。左サイドに大きな穴が開いてしまったが、その左ウイングバックには、前仙台の村上を起用し、見事にその穴を埋めてみせた。フランシスマールのような突破力は無いが、献身的なプレースタイルと強烈なミドルシュートがいいアクセントとなった。
同じく、東京Vから加入したMF大橋も、MFマギヌンの欠場のときはトップ下に入って、マギヌンとは異なる魅力でチームに貢献した。セットプレーのキッカーとしてはリーグ有数で、チームの新しい武器となった。
彼ら以外でも、MF井川、MF久木野、MF河村、MF養父ら若手から中堅クラスが一様にレベルアップを果たして、選手層は格段に分厚くなった。
■ 大きな存在となった憲剛躍進のフロンターレの象徴は、もちろんMF中村憲剛。いまや、日本を代表するプレーメーカーとなった。鋭い戦術眼と一発で局面を打開できる高速のミドルパスは、カウンターでゴールを量産した川崎Fの大きな武器であった。シーズン途中でややスランプに陥ったが、日本代表としてアジアカップを戦ったことで、プレーヤーとしてひとまわり大きくなった。
攻撃だけではなく守備でも多大な貢献の出来る選手となった憲剛は、オールラウンドなミッドフィールダーに成長を遂げた。彼のパワーアップが、『憲剛依存症』という新しい問題をチームにもたらしたが、それだけ重要な選手となった証である。
■ 脅威のジュニーニョFWジュニーニョは今年も相手チームにとっては、脅威の的だった。夏場過ぎに、ややシュートスランプになってゴールから遠ざかることもあったが、シーズンを通して22ゴールと十分な数字を残し、得点王に輝いた。
特に、トップ下のマギヌンがチームになじんだことが功を奏して、引き気味にプレーするジュニーニョと前線のスペースに飛び出すマギヌンのバランスがよかった。パスの受け手としての役割だけでなく、パスの出し手としても機能し、30歳となっても衰えは見せない。
来シーズンは、東京V所属のFWフッキの加入が濃厚であり、ジュニーニョとフッキの2トップは、Jリーグ史上、最高のコンビとなる可能性を秘めている。
■ パワフル鄭大世FW黒津、FW我那覇と日本代表が揃う豪華な前線だったが、結局、ジュニーニョとパートナーを組んだのは、鄭大世だった。Jリーグでは№1といっても過言ではない強靭なフィジカルを生かしたダイナミックなプレーでゴールを量産した。鄭大世の持つパワーは、チームに勢いをもたらすに十分だった。
課題を挙げると、我那覇ほどポストプレーがうまくないので、周りの選手を有効に使うことが出来なかった点だろう。北朝鮮代表での活躍し、大きく飛躍した。
■ 復調が待たれる我那覇鄭大世がポジションを確保する一方で、FW我那覇は不本意なシーズンを送った。特に、ドーピング疑惑もあって、精神的にも落ち着かない日々が続いた。
08シーズンは、FWフッキの加入が濃厚で、さらにポジション争いが激しくなるが、我那覇のもつ高さとポストワークは、他のフォワードに無い武器である。彼のポストプレーは、日本人では磐田のFW前田と並んで最高峰であり、06年にゴールを量産した、MF中村やMF谷口のゴールが伸びなかったのは、前線でボールを落ち着かせることの出来るFW我那覇がいなかったことも、一因であった。復調が待たれる。
■ バージョンアップへACLでは準々決勝で敗退し、リーグ戦も早々とリーグ制覇の可能性がなくなったことで、関塚監督は、『4バック』や『トリプルボランチ』など、いろいろなことを試した。若手選手も積極的に起用し、MF養父やMF久木野は来シーズンの大きな戦力となりそうである。
J1に復帰して3年が経過したが、これ以上無いほど順調に来ている。来シーズンは、悲願の初タイトルに向かって挑戦するシーズンである。
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