■ J1リーグ再開中断していたJ1リーグが再開。残留争いに巻き込まれているジェフ千葉は、ホームのフクアリで川崎フロンターレと対戦。
千葉は、<3-6-1>。中断期間中に獲得したFWレイナウドはベンチスタート。MF工藤とMF羽生を1トップ下に並べる布陣。
対する川崎は、<3-5-2>。J1初登場が期待された左サイドのフランシスマールは、ベンチ外。ジュニーニョとチョン・テセの2トップで、MF谷口をトップ下。中村憲剛と落合のダブルボランチ。
■ ハットトリックのジュニーニョ試合は、立ち上がりは、川崎の出足が素晴らしく、千葉の中盤でのつなぎのパスをことごとくカットして、素早く、前線につなげる展開となる。しかしながら、前半33分、川崎のボランチ落合に対する激しいプレッシャーから羽生がボールを奪うと、羽生→工藤→羽生とつないで、先制ゴール。千葉が、1点リードで折り返した。
後半に入ると、前半はそれほど動きの良くなかった千葉の中盤の選手たちが、活発に動いてチャンスを作るようになる。しかしながら、追加点は奪えず。さらには、後半15分に、羽生が負傷退場し、千葉は、キーマンを失うことになる。
すると、川崎は、後半22分、CKから寺田がヘディングシュート。そのシュートはGK立石にはじかれるが、つめていたFWジュニーニョが難なく押し込んで同点に追いつく。
さらに、後半29分にも、カウンターから、チョン・テセのパスを受けたFWジュニーニョがミドルシュートを決めて勝ち越しに成功。千葉は、羽生と交代で入ったFWレイナウドを中心に攻撃を仕掛けるが、後半43分に、MF大橋のパスを受けたFWジュニーニョに決定的な3点目を決められて万事休す。川崎が3対1で逆転勝利した。
■ ダイナミズムを取り戻した川崎
開幕ダッシュには成功したものの、ACLもあって、5月ごろから、チームとしてのダイナミズムを失い掛けていた川崎だったが、中断明けの試合で、何人かの主力を欠きながらも、好パフォーマンスを演じた。
怪我で離脱中のMFマギヌンが欠場し、トップ下には谷口を起用。U-22では、たびたび見られる谷口のトップ下だが、川崎では、ほとんど経験がない。したがって、攻撃面では、なかなかチャンスに絡めなかったが、その分、豊富な運動量と人に強い守備で、チームに貢献した。
結果として、落合に代わって途中出場した大橋がトップ下に入って、谷口が本来のボランチの位置に下がった後の時間帯の3得点であったが、守備を固めるときには、谷口のトップ下での起用も面白い。
■ アンストッパブルこの試合でハットトリックを完成させたジュニーニョは、アンストッパブルだった。前回の対戦では、千葉のDF水本がジュニーニョを完璧に封じて評価を上げたが、この試合では、水本もなす術が無く、完敗だった。
ジュニーニョは、相手DFラインに張り付いてラインの裏で勝負するタイプではなく、中盤まで下がってきて、そこから自らドリブルを仕掛けて相手DFを切り裂くようなプレーが得意である。したがって、相手からしてみると、DFラインとボランチの隙間のスペースに位置して、非常にマークがしにくい。
この日は、チョン・テセと2トップを組んだが、どんなタイプの選手ともコンビネーションを確立できる柔軟性も持つ。川崎にとっては、絶対的な武器となっている。
■ 悪くない試合だが・・・千葉は、敗れたものの悪くない試合だった。だが、またしても、ホームで勝ち点3を取り逃がしてしまった。いい時間帯に先制しながら、追加点を奪えずに、結局、失点を喫して勝利を逃がすことが非常に多い。
細かく見てみると、選手個々は非常にがんばっていて、いずれの選手も及第点以上のプレーを見せている。もともと、日本代表に呼ばれるだけのタレントもそろっており、ポテンシャルは低くない。しかしながら、結果がついてこない。
■ さようならアマルシーズン途中で、DFストヤノフが公然と監督批判を行って、その結果、チームを退団し、サンフレッチェ広島への移籍が決定したわけだが、チーム状況としては、それほど、向上はしていない。今シーズン、勝利を挙げたのは、横浜FC(2勝)、大宮(1勝)、大分(1勝)、甲府(1勝)だけ。いずれも、下位に低迷するチームであり、上位を争うチームには、まだ、1勝も挙げられていないのが、現実である。
ストヤノフの発言を受けて、フロントは、アマル・オシム監督の続投を選択したが、ストヤノフ問題も解決し、そろそろ、アマル・オシムでいいのか、を再検討すべきだろう。このときは、1選手の発言を監督人事に反映させるわけにはいかず、実際、フロントには、選択肢は1つしか無かったが、もう、足かせはなくなった。
おそらく、アマル・オシム監督であっても、最低限の目標である残留は果たせるだろう。だが、ジェフ千葉の最終目標は、そこではなく、この状況を放置しておくと、来シーズン以降、順調にチーム力を上げている、鹿島アントラーズや川崎フロンターレ、横浜Fマリノスらに対抗できなくなるだろう。
■ 光明はレイナウド光明を上げると、FWレイナウドだろう。前線で巧みなボールキープを見せて時間を作り、自らも、フィニッシュに絡んでいった。チーム関係者が、マリオ・ハースにスタイルが似ていると語ったのもうなづける。
レイナウドの加入は、前線で奮闘を続ける巻の負担を大きく低減させるだろう。巻は、ポスト役の仕事の半分をレイナウドに任せることが出来るので、より、ゴールに集中できるようになるだろう。
また、パス能力にも秀でているレイナウドの存在は、工藤や羽生らの飛び出しを、より生かすだろう。少なくない衝撃を、Jリーグ全体に与えそうな選手である。
【おしらせ】J1第19節のジェフ千葉と川崎フロンターレ戦をフクアリで生観戦された哉さんから、詳細なマッチレポートが届きましたので、ご紹介します。↓
▽2007/08/11 千葉×川崎(フクダ電子アリーナ) by 哉さん
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