■ 面白さを追求するのか?勝利を追求するのか?前編で「面白いサッカーをしているクラブ」として名前を挙げたのは川崎フロンターレ・浦和レッズ・サンフレッチェ広島・レノファ山口など計6クラブだった。いずれのチームも最終ラインからショートパスを丁寧につないでいくスタイルであり、コンビネーションで最終局面を打開するのが主となる。もちろん、クラブごとに細部は微妙に異なるが、大きくいくつかに分類したときは同じグループに入るチームと言える。
「面白さを追求するのか?勝利を追求するのか?」に関しては各クラブの立ち位置によって考え方が変わってくる。なので、安易に「プロのクラブなので娯楽性を追求すべき」とは言えないし、逆に「常に勝利を追求し続ける姿勢」がクラブの将来を考えたときに必ずしも正しい道とは言えない部分がある。ケース・バイ・ケースであり、両方をバランスよく取り入れることが出来るのが優れたクラブと言える。
個人的な意見を言うと、選手や監督の名前であったり、スタジアムを含めた環境面でお客さんを呼び込むのが難しいクラブが勝利だけを追い求めていると必ず限界が来る。現役の日本代表や元日本代表のスター選手を抱えているチームは選手目当てのお客さんを集めることが出来るが、そうでないクラブが娯楽度の低いサッカーをしていると客足は伸びないしクラブとして発展していくことは難しくなる。
■ 面白いサッカー→バルサ型のサッカーであるが・・・。J2やJ3のクラブには「昇格」という大きな目標があるのでシビアな戦いを選択せざる得ない部分があるのは確かであるが、そういう理由から下部リーグのクラブであればなおさら人を惹きつけるようなサッカーをする必要があると思う。そういう意味では3位と申し分ない結果を残しているFC琉球はもちろんのこと、現時点では15位と結果を出すことが出来ていないグルージャ盛岡の志の高いサッカーも好感が持ている。
「面白いサッカー」というとショートパスをつないでいく(数年前までの)バルサ型のサッカーを連想させる人がほとんどである。これは日本国内に限った話ではなくて世界中のサッカーファンが同じような認識をしていると思う。実際にアバウトなロングボールが主体となる攻撃よりも意図を持って相手の守備網をドリブルやパスで突破しようとするサッカーの方が面白いのは間違いない。そういう認識は正しい。
ただ、「面白いサッカー」というのはバルサ型のサッカーに限られるわけではない。MFシャビやMFイニエスタのような選手がいるチームがバルサ型のサッカーを志向するのは当然のことながら正しいが、例えば鳥栖のFW豊田や名古屋のFWシモビッチのような長身のターゲットマンがいるチームがバルサ型のサッカーを志向して絶対的なターゲットマンを最大限に活用できなくなるの非常にバカバカしい話である。
■ ドルトムント型のサッカーが魅力の湘南ベルマーレ結局のところ、一番大事なのは在籍している選手の多くが輝くことが出来るサッカーをすることであり、多くの選手が自分の良さを発揮できるようなサッカーは例えバルサ型のサッカーでなかったとしても十分に面白いし、スタジアムに集まった観客に訴えるものがある。非バルサ型のサッカーであるにも関わらず面白さを表現できているJリーグのチームというとやはり湘南ベルマーレの名前を挙げることが出来る。
昨オフに軸となるDF遠藤航(→浦和)とMF永木(→鹿島)を同時に失った影響は大きくてここまで2勝9敗2分け。最下位に沈んでいるがそれでもブレることなくチャレンジを続けている。2015年の湘南はパス本数とパス成功率がいずれも13番目。J1の平均以下だった。華麗にパスが回るシーンは少ないが、ボールを奪った後の切り替えの早さはJリーグ屈指。後ろから選手が湧き出てくるときの湘南のサッカーは面白い。
チョウ・キジェ監督がドルトムント好きであることは有名な話であるが「ドルトムント型のサッカー」も多くの人を惹きつけることができる。2014年のブラジルW杯以降、守から攻への切り替えの早さや球際の強さを強調するクラブが増えている。Jリーグでもこの点を武器に戦うチームが激増したが、それでもチョウ・キジェ監督が就任した2012年からずっと同じスタイルを続ける湘南はJリーグの中では抜けている。
2015年はJ1で戦った松本山雅も同じように「攻守の切り替えの早さ」や「球際の強さ」を武器にするチームである。湘南はショートカウンターからゴールを奪うシーンが多いのに対して松本山雅はMF宮阪とDF飯田のホットラインを中心にセットプレーからゴールを奪うシーンが多いので仕上げの部分では違いがあるがフィールド上の選手全員が限界までハードワークするサッカーは同様に見ていて面白い。
■ 若手が躍動する柏レイソルのサッカーこれまでに挙げた8チームとは違った種類の面白さになるがヴァンフォーレ甲府のサッカーもなかなか面白い。戦力的には恵まれていない中、体力と知恵と勇気を振り絞ってがむしゃらに勝ち点を目指すサッカーは(ちょっと系統は)違うが面白い。日本語の「面白い。」にはいくつかの意味があるが甲府の場合は「興味深いという意味に近い面白さ」と言えるのかもしれない。面白いサッカーにもいろいろな種類がある。
若手選手が躍動するサッカーは見ていて面白いが、今シーズンで言うと下平監督率いる柏レイソルである。わずか3試合でメンデス監督が退任して下平監督にバトンタッチされたがスタメン11人の平均年齢は23歳前後。スタメンの中で半数ほどがリオ世代以下の若手となる。GK中村航、DF中谷、DF中山雄など年代別代表に選ばれるような抜群の将来性を持った選手たちがピッチ上で躍動するサッカーは見ていて面白い。
Jリーグの53クラブの中で「面白いサッカーをしているチーム」というと・・・。 ・レノファ山口
・川崎フロンターレ
・浦和レッズ
・サンフレッチェ広島
・FC琉球
・グルージャ盛岡
・湘南ベルマーレ
・松本山雅
・ヴァンフォーレ甲府
・柏レイソル
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