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優秀な選手を輩出しているクラブ(高校・ユース)はどこか? (2013年版) (上) →
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優秀な選手を輩出しているクラブ(高校・ユース)はどこか? (2013年版) (下)■ J1で挙げたゴール数 最後は「J1で挙げたゴール数」に着目して、まとめると表8のようになりました。1位はダントツで国見高校で、FW大久保(川崎F)が26ゴール、FW渡邉千(FC東京)が17ゴール、MF兵藤(横浜FM)が7ゴール、FW平山(FC東京)とMF渡邉大(大宮)が5ゴール、DF山村(鹿島)が3ゴール、DF徳永(FC東京)が1ゴールを挙げています。合計で64ゴールという数字は、2位以下に大差を付けています。
日本代表のFW柿谷が21ゴールを挙げたC大阪ユースがトータルで37ゴールを挙げて2位になりました。FW柿谷以外では、MF山口螢が6ゴール、MF南野が5ゴール、FW杉本が3ゴール、MF扇原が2ゴールを挙げています。チームの総得点が53得点だったので、今シーズンは約7割がC大阪のユースチームで育った選手のゴールとなりました。3位はエースのFW工藤が19ゴールを挙げた柏ユースでした。
4位は広島ユース、5位は横浜FMユースでした。広島ユースはMF柏木(浦和)が8ゴールで最多で、高卒ルーキーのMF野津田(広島)が現在も広島に所属している選手の中では最多の4ゴールを決めました。一方の横浜FMユースは、MF長谷川(FC東京)の5ゴールで最多でした。意外と横浜FMはストライカータイプがいなくて、FW登録は「サイドでプレーすることが多い。」と言えるMF齋藤学とMF端戸の2人だけです。
ゴール数に関しては、1人で荒稼ぎすることもできますが、6位タイの小松高校はFW川又(新潟)が1人で23ゴールを挙げており、10位タイの鹿児島城西高校もFW大迫(鹿島)が1人で19ゴールを記録しています。17位タイの鵬翔高校と20位の高崎経済大学付属高校も事情は同じで、前者は13ゴールを挙げたFW興梠(浦和)、後者は10ゴールを挙げたMF石原(広島)が1人で数字を稼ぎました。
表8. ゴール数の多かったクラブ(ベスト20)
| | ゴール数 | 人数 | 試合数 | 時間 (分) |
|
1 | 国見 | 64 | 9 | 245 | 18838 |
2 | C大阪ユース | 37 | 10 | 209 | 15337 |
3 | 柏ユース | 30 | 12 | 202 | 14609 |
4 | 広島ユース | 28 | 13 | 241 | 18533 |
5 | 横浜ユース | 25 | 17 | 353 | 24936 |
6 | 千葉(市原)ユース | 23 | 5 | 129 | 9761 |
6 | 小松 | 23 | 1 | 32 | 2503 |
8 | 星稜 | 21 | 2 | 56 | 4922 |
9 | 流通経済大柏 | 20 | 8 | 193 | 13322 |
10 | 藤枝東 | 19 | 6 | 172 | 14160 |
10 | 鹿児島城西 | 19 | 1 | 33 | 2756 |
12 | 市立船橋 | 16 | 9 | 189 | 13657 |
13 | 東京Vユース | 15 | 13 | 265 | 19200 |
13 | 桐光学園 | 15 | 7 | 136 | 9879 |
13 | 鹿児島実業 | 15 | 4 | 111 | 8205 |
16 | 三菱養和SC | 14 | 4 | 73 | 4025 |
17 | 浦和ユース | 13 | 8 | 115 | 7777 |
17 | 鵬翔 | 13 | 1 | 33 | 2904 |
19 | 前橋育英 | 12 | 8 | 141 | 11718 |
20 | 高崎経済大学付属 | 10 | 1 | 33 | 2843 |
■ プロで結果を残した国見OBということで、以上のような結果になりました。ゴール数に関しては、国見が圧倒的です。2000年代の高校サッカー界は小嶺監督率いる国見が中心で回っていましたが、当時、国見のサッカーを「フィジカルに頼ったサッカー」、「勝つことを優先し過ぎている。」と批判する人がたくさんいました。数年が経過して、こういう結果が出ているので、改めて、育成の難しさや奥深さを感じます。
結局、トータルで考えると、横浜FMユースの優秀さが目立っています。トップチームは日本代表クラスの選手が各ポジションにいるので、ユース上がりの若手が出場機会を得ることができなくて、他クラブで才能が開花することも珍しくありませんが、このあたりは「ビッグクラブになるとある程度は仕方がない。」と言えます。海外組ではFWハーフナーとMF小野もいて、継続的にいい選手が出てくる印象です。
それに続くのが、国見や広島ユースや東京Vユースあたりで、C大阪ユース、柏ユース、藤枝東、流通経済大付属なども、近年、いい選手をたくさん輩出しています。また、クラブがJ2に落ちてしまったので、今回はあまり目立ちませんでしたが、G大阪ユースも自クラブと他クラブの両方でOBが活躍しており、「育成のノウハウを持ったクラブ」と言えるのは間違いないところです。
先のとおり、「ユース育ちの自前の選手が多かった横浜FMや広島やC大阪がリーグ戦で上位に来た。」というのはいい傾向と言えます。そして、いくら優秀なコーチがいたとしても、いい素材が集まらないとJ1でレギュラーを張るような選手を生み出すことはできないので、「トップチームに魅力があるといい選手が集まりやすくなって、さらに魅力のあるチームになっていく。」という好循環が生まれます。
そういう意味では、今の時点ではユースから有望株が続々とトップチームに昇格してくるような状況とは言えませんが、近年のJ1で安定した成績を残している新潟や川崎Fや仙台などは、そろそろユースからいい選手が立て続けに出てきてもおかしくない時期に入っていると言えます。育成に定評のあるチームだけでなく、それ以外のチームからもいい選手がたくさん出てくることを期待したいと思います。
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