■ 最終戦の相手はイングランドトゥーロン国際大会の4試合目。1勝2敗ですでに決勝トーナメント進出の可能性が消滅している手倉森JAPANは最終戦でイングランドと対戦した。イングランドはここまで3戦全勝。ギニアには7対1、パラグアイには4対0で大勝するなどチェルシーやアーセナルなどプレミアリーグのメガクラブでプレーする選手を中心に力を見せつけている。イングランドは引き分け以上で自力で決勝進出を決めることが出来る。
日本は「4-2-3-1」。GK中村航(柏)。DFファン・ウェルメスケルケン・際(FCドルトレヒト)、DF喜田(横浜FM)、DF植田直(鹿島)、DF三丸(鳥栖)。MF井手口(G大阪)、MF大島僚(川崎F)、MF野津田(新潟)、MF南野(ザルツブルク)、MF矢島慎(岡山)、FWオナイウ阿道(千葉)。怪我人が続出している日本はCBで好プレーを続けていたDF三浦弦(清水)まで怪我で離脱。ボランチが本職で169センチのDF喜田がCBで起用された。
ベンチスタートになったのはGK櫛引(鹿島)、MF前田直(横浜FM)、MF鎌田(鳥栖)、MF原川(川崎F)、FW富樫(横浜FM)の5人。今大会のレギュレーションは「フィールドプレーヤーは4人まで、キーパーも1人交代が可能」となっているのでベンチに入った5人全員に出場のチャンスがある。トップ下にMF南野が入ってFWオナイウ阿道の1トップ。DFファン・ウェルメスケルケン・際とDF植田直は4試合連続スタメンとなった。
■ 0対1で敗れて1勝3敗に終わる。試合の序盤はイングランドがペースを握る。慎重な試合の入り方になった日本はなかなかボールを奪うことが出来ずにパスを回される展開になる。前半14分にはスペースへのロングボールに対して対応が後手になったDF三丸がエリア内で相手選手を倒してPKを献上。MFベイカーに決められてイングランドが先制に成功する。相手のドリブルに対するDF三丸の対応がまずくてファールを取られても仕方がないプレーだった。
0対1で迎えた後半は日本ペースとなる。初戦のパラグアイ戦や2試合目のポルトガル戦と同様でハーフタイムを境にギアチェンジした日本が立ち上がりから仕掛ける展開になる。後半9分にはMF南野が上手くコントロールしてこぼれたボールに反応したFWオナイウ阿道が大チャンスを迎えたが主審はMF南野のところのファールを取ってFK止まり。さらに後半12分のMF野津田のシュートもバー直撃。同点ゴールを奪えない。
結局、この日もゴール前の精度を欠いて追いつくことはできず。0対1で敗れた日本は1勝3敗で4位。残念な結果でフランスを去ることになった。4試合ともどちらかというと日本の方が多くのチャンスを作っていて決定機も少なくなかった。敗れた3試合はいずれもフィニッシュの精度を欠いた。選手たちがコメントしたとおりでパラグアイもポルトガルもイングランドも勝てない相手ではなかった。悔いが残る結果になった。
■ 同点ゴールになりそうなシーンだったが・・・。残念だったのは後半9分のシーンである。高い位置でボールを奪ってMF野津田がスルーパスを出すとうまくボールをコントロールしたMF南野がゴールに向かったが相手の選手に倒された。結果的にはゴールやや右寄りの絶好の位置でFKが与えられたが後ろから走って来たFWオナイウ阿道がフォローして倒れ込みながらゴールに流し込んだのでアドバンテージが適用されていたら同点ゴールになっていた可能性がある。
このシーンは主審のミスと言わざる得ない。試合の中で「アドバンテージをうまく適用できるかどうか?」は主審にとっては大事な要素の1つである。アドバンテージをうまく適用できる主審は周りの状況が良く見えている主審であり、次にどういうプレーが起こるのか?をしっかりと予測できている主審と言える。確実に決定機になる場面で律儀にファールを取ってしまう主審はレベル的にはあまり高くないと言える。
後半の立ち上がりは日本が優勢だった。流れのいい時間帯に同点に追いつくことが出来ていれば展開は大きく変わったが不運にもゴールは生まれず。直後の後半11分にはFWオナイウ阿道に代えてMF原川を投入。MF南野が1トップで、MF井手口をアンカーに置く「4-1-4-1」に変更したが、この交代は成功せず。MF原川は珍しくパスミスが多くてFWオナイウ阿道がいなくなったことでダイナミックさもなくなった。
「プレーできる選手」が限られるのでギリギリの選手起用になっている点は大いに考慮する必要があるが、今大会は選手交代があまり成功しなかった印象が強い。疲労の影響ならびにいろいろな選手をテストしたいという事情もあるので仕方がない部分はあるが逆に流れが悪くなる試合が目立った。U-23アジア選手権のときは選手交代がバシバシ当たって頂点に立ったチームなので使えるカードが限定的になると厳しくなる。
■ 169センチのCBのDF喜田拓也が奮闘結局のところは「4試合ともチャンスがあるのになかなかゴールが奪えない。」という見ている人にとってはフラストレーションの溜まる試合が続いた。ゴール前での相手守備の激しさやキーパーの質などはアジアの国と比べると違っているのは確かであるが、ゴール前での落ち着きに欠けた。攻撃陣が初戦のパラグアイ戦で何度も決定機を生かせなかったことがチーム全体に伝染してしまったところもあるのかもしれない。
その象徴と言えるのはMF野津田である。この日も後半27分のボレーシュートがクロスバーに直撃した。すでに触れた後半9分の場面の大チャンスもMF野津田のスルーパスから生まれているので「動き自体はまずまず良かった。」と言えるが、彼の最大の魅力は強烈かつ精度の高い左足のシュートである。大会を通して5回・6回と決まっていてもおかしくないシュートを放っているがことごとく嫌われてしまった。
MF野津田は昨年の12月に行われたクラブW杯で怪我をしたことでU-23アジア選手権に出場できなかった。それまでは「ほぼ常連」の立場で五輪代表の試合では結果も出していた。怪我がなければほぼ確実にメンバーに選ばれていたと思うがクラブW杯の怪我以降、いろいろな部分で歯車が狂ってしまってどうにかしようと頑張る気持ちが余計に状況を難しくしているように思う。ツキに見放されているのが現状である。
一方、MF喜田も昨年10月に行われた五輪代表の合宿中の怪我さえなければU-23アジア選手権のメンバーに選ばれていた可能性が高かった。同様に怪我のため大きな舞台には出場できなかったが、今回、久々に五輪代表に召集されて3戦目のギニア戦は右SB、今回のイングランド戦はCBで存在感を発揮した。本職のボランチのみならず2列目でもプレーできるが、右SBとCBでもプレーできそうなことを示した。
もちろん、169センチなので本大会においてよほどのことが無い限りはCBのスタメンで起用されることはありえないが、チームが苦しい状況でいきなり違うポジションで起用されたときにどういうプレーができるのか?は本当に大事である。本番であれば高さが無い点を相手は徹底的についてくるはず。そんなにうまくはいかないと思うがサイズの無さと(CBとしての)経験不足を感じさせない素晴らしいプレーを見せた。
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