■ J2の第4節J2の第4節。1勝2分けで勝ち点「5」の清水エスパルスと1勝1敗1分けで勝ち点「4」のコンサドーレ札幌がIAIスタジアム日本平で対戦した。清水はホームでは今シーズン3戦目となるがこれまでの2試合(vs 愛媛FC、vs 松本山雅)はいずれもスコアレスドローに終わっており、ホームでは2015年の5月30日の川崎F戦で5対2と大勝したのを最後に12試合未勝利が続いている。札幌との対戦は2012年以来となる。
ホームの清水は「4-2-2-2」。GK西部。DF鎌田、ビョン・ジュンボン、三浦弦、福村。MF六平、本田拓、石毛、河井。FW大前、北川。3節の松本山雅戦(H)でJリーグデビューを飾った185センチの長身CBのDFビョン・ジュンボンが2試合連続スタメン。得点源となることが期待されるFW鄭大世は開幕から欠場中。19歳のFW北川が開幕から4試合連続スタメンとなった。FW大前はここまで2ゴールを挙げている。
対するアウェイの札幌は「3-5-2」。GKク・ソンユン。DF進藤、増川、福森晃。MF前寛之、深井一、宮澤裕、マセード、堀米悠。FW都倉、ジュリーニョ。ここまでの試合は主に「3-4-1-2」を採用していたがこの日はトリプルボランチを採用。MF堀米悠とMF前寛之が今シーズン初スタメンとなった。FW都倉はここまで3ゴール。怪我をしているMF小野伸はこの日もベンチ外、MF稲本はベンチスタートとなった。
■ 2対0でアウェイの札幌が勝利試合の序盤はホームの清水ペースとなる。FW大前を中心に押し込んでいく。しかしながら前半21分に劣勢だった札幌が右CKを獲得するとDF福森晃が左足で蹴ったボールがゴール前にいた清水の選手に当たってオウンゴール。アウェイの札幌が先制する。さらに前半34分にゴール右寄りでFKを獲得するとDF福森晃が蹴ったボールがバーとキーパーに当たってこぼれたボールをFW都倉が押し込んで2点目を挙げる。
2対0で迎えた後半は2点を追う清水がボールを支配して攻め込む展開になる。後半開始からMF石毛に代えてMF澤田を投入。さらに後半20分にMFミッチェル・デューク、後半27分にはMF村田和を投入。サイドでボールを受けて1人で仕掛けることができるサイドアタッカーを次々に投入するが191センチのDF増川を中心とした札幌の中央の守備は堅くてクロスを上げたとしても簡単に中央で跳ね返される場面が続く。
逃げ切りを図る札幌はFW内村らを投入。終盤には当初はそのままフォワードの位置でプレーしていたFW内村を右サイドハーフにスライドさせる「5-4-1」を採用。サイドの人数を増やすことで清水のサイドアタッカーの動きを封じることに成功した。結局、2対0でアウェイの札幌が勝利。2012年以来のJ1復帰を目指す札幌にとっては大きな勝利と言える。札幌は2勝1敗1分け。清水は初黒星で1勝1敗2分けとなった。
■ 若手の活躍が光ったコンサドーレ札幌札幌は開幕3試合は1勝1敗1分け。今一つ乗り切れていなかった札幌にとって勢いに乗れそうな勝利となった。この日は四方田監督の采配が光った。最初からトリプルボランチ気味の布陣を採用したがこれが大成功。下がり目でプレーしたMF深井一とMF宮澤裕とMF前寛之の3人は主に守備面で大きく貢献した。さらに終盤になると「5-4-1」にシステムを変更。的確な采配で相手の良さを消すことに成功した。
MF稲本が怪我で離脱していたこともあって21歳になったばかりのMF深井一は3試合連続スタメンとなったが3試合の中では最も出来が良かった。いい位置取りでボールを奪い返すシーンは何度もあった。初スタメンとなったMF前寛之は攻撃のときはパスミスが目立ったが守備の部分では効いていた。21歳のGKク・ソンユンの好セーブに救われる場面も何度かあったので若手の頑張りが活躍が勝利につながった。
MOMを選ぶとしたら2点目のゴールを決めたFW都倉になるだろう。DF福森晃のFKがバーに当たって跳ね返ったボールにいち早く反応して追加点のゴールを記録。試合の序盤は清水がペースを握っていたが先制点ならびに追加点が入ったことで札幌の選手は元気が出てきた。後半の困った時間帯には処理するのが難しいボールをおさめてマイボールにするプレーも何度かあった。FW都倉はエースの働きを見せた。
■ 「対エスパルス」の攻略法清水は初黒星となった。4節終了時点で1勝1敗2分け。4試合で勝ち点「5」というのは極端に悪い成績ではないがホームでは3試合で0勝1敗2分け。先のとおり、1節の愛媛FC戦(H)はスコアレスドロー、3節の松本山雅戦(H)もスコアレスドロー、4節の札幌戦(H)も0対2の敗戦なので3試合を終えてノーゴール。この日は主審の判定にナーバスになるサポーターも目立った。フラストレーションを溜めつつあるのは確かである。
勝てなかったホームでの3試合はいずれも清水が優勢で試合を進めており、アウェイで3対0と快勝した2節の長崎戦(A)も含めてこれまでの4試合で清水が押し込まれた時間帯はほぼ無い。戦いぶりは決して悪くないがFW鄭大世が怪我で離脱している影響は大きい。19歳のFW北川はよく頑張っており、将来性が高いのは確かだが、「J1昇格を目指すチームのフォワード」として考えると現段階では物足りない。
先のとおり、この試合は「札幌の四方田監督の戦略勝ち」と言えるが、『対エスパルス』の分かりやすい攻略法を示した。FW鄭大世がいないこともあって今シーズンの清水はショートパス主体のサッカーになっており、バイタルエリアにボールが入ってからコンビネーションでチャンスを作ろうとするシーンが目立つが、札幌がトリプルボランチを採用したため、この日は清水が「使いたいエリア」を消されていた。
中央が使えないとサイド攻撃が増えていくが単純にクロスが上がっても今の清水の攻撃陣は空中戦に強い選手がいないのでよほどのことが無い限りはチャンスにつながらない。高さがないチームは人数をかけてゴール前の厚みを出すこともできるがWボランチや両SBが攻撃にかかわる頻度は低いので「厚み」という点でも物足りない。清水が攻め込んでいるように見えるが相手には怖さを与えることができていない。
まとめると以下の3つの策を講じると今の清水は手詰まりになる可能性が高い。
・ボランチの枚数を増やしてバイタルエリアを封鎖する。
・高さのある選手を最終ラインで起用して清水のクロスボールを跳ね返す。
・サイドの人数を増やしてサイドアタッカーの動きを制限する。
もちろん、札幌の高さは「J2では屈指」なので同じレベルでハイボールを跳ね返すことができるチームは限られるが「こうやったら清水の攻撃の威力を半減させることはできる。」ということを札幌が分かりやすく示した。当然、どのチームも頭の中でいろいろと対策方法を考えていると思うが実際にピッチ上で表現されて、かつ、申し分ない結果が出ると真似をしやすくなる。清水にとっては嫌な負け方になった。
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