■ ACLの第2節ACLの第2節。2011年以来で2度目のACL出場となるセレッソ大阪と、2013年は中国スーパーリーグで2位と好成績を残した山東魯能が長居スタジアムで対戦した。両チームは2011年のACLも同じグループに入っているが、中国での試合は山東魯能が2対0で勝利して、長居での試合は4対0でC大阪が勝利している。初戦はともに1対1の引き分けだったので、グループEは4チームが勝ち点「1」で並んでいる。
ホームのC大阪は「4-2-2-2」。GKキム・ジンヒョン。DF酒本、カチャル、山下、丸橋。MF山口蛍、扇原、長谷川アーリアジャスール、南野。FW杉本、フォルラン。体調不良で日本代表のニュージーランド戦を辞退したFW柿谷はベンチスタートとなった。ウルグアイ代表のFWフォルランは2試合ぶりのスタメンで、ACLでは初スタメンとなった。日本代表のMF山口蛍が今シーズンからキャプテンに就任した。
対する山東魯能は「4-2-2-2」。GKワン・ダーレイ。DFチャオ・ミンジエン、ドゥ・ウェイ、ダイ・リン、チョン・チョン。MFジン・ジンダオ、クイ・ポン、ワン・ヨンポー、モンティージョ。FWヴァグネル・ラヴ、アロイージオ。CSKAモスクワでMF本田圭とチームメイトだったFWヴァグネル・ラヴは2013年の途中から山東魯能でプレーしている。MFモンティージョもアルゼンチン代表歴がある。
■ 3対1で山東魯能が勝利試合は開始5分に山東魯能が右サイドでFKを獲得すると、ブラジル出身のFWアロイージオが押し込んで山東魯能が先制する。さらに前半26分にもキーパーのロングキックからペナルティエリア内でFWヴァグネル・ラヴが粘ると、最後は、鋭い反転からシュートを決めて2対0とリードを広げる。C大阪はセットプレーからDFカチャルが決定機を迎えるが、相手のブロックにあってネットを揺らすことはできない。
2点ビハインドのC大阪は後半開始から19歳のMF南野を下げて、エースのFW柿谷を投入。しかしながら悪い流れは変わらず、後半11分にもFWヴァグネル・ラヴに決められて0対3と3点ビハインドとなる。劣勢のC大阪は後半39分に途中出場のMFミッチ・ニコルスが裏に飛び出してグラウンダーで折り返すと、フリーのFW柿谷が決めてようやく1点を返す。FW柿谷はACLでは2試合連続ゴールとなった。
その後、セットプレーからDFカチャルがネットを揺らすシーンを作ったが、オフサイドでゴールは認められない。結局、3対1でアウェーの山東魯能が勝利して1勝1分けで勝ち点「4」となった。一方のC大阪は0勝1敗1分けで勝ち点「1」。GL突破のためには次のホームのブリーラム・ユナイテッド戦は絶対に勝ち点「3」が必要な試合となった。ブリーラム・ユナイテッド戦は1週間後の18日(火)に行われる。
■ FWヴァグネル・ラヴが2ゴールの活躍C大阪にとって不運だったのは前半5分の1失点目である。相手のキッカーがボールを蹴る前から山東魯能の選手が何人もオフサイドポジションにいて、戻ることなくプレーに関与している。山東魯能の選手がファーサイドでたくさんフリーになっていたが、そうなるのは当たり前である。「副審はいったいどこを注意して見ていたのか?」と指摘せずにはいられない分かりやすいミスジャッジだった。
その後、味方の折り返したボールに反応したFWアロイージオのポジションもオフサイドではないか?と思われる微妙なポジションだったので、アンラッキーだった。誤審があるのがサッカーというスポーツで文句を言っても仕方がない話である。反対に誤審に味方されることもあるので、1年間のトータルで考えると±0に近くなってトントンになるとおもうが、いきなり失点したことで戦い方が難しくなった。
ただ、「敗因が全てミスジャッジにある。」とは言いにくい。ミスジャッジに対して文句を言うのも憚れるほど、内容は良くなかった。特に2失点目と3失点目は話にならないレベルである。相手がロングボールを蹴ってきて、しっかりとCBのDFカチャルやDF山下がマークに付いていた。が、FWヴァグネル・ラヴの力強いプレーに対抗できなかった。こういう感じで2つも失点していたら、勝ち目は無い。
FWヴァグネル・ラヴの1点目はDFカチャルがマークに付いていて、2点目はDF山下がマークに付いていた。ともに相手に接近していたが、全くFWヴァグネル・ラヴはプレッシャーを感じていなかったようで、スムーズにシュートまで持っていかれた。ブラジル代表経験があって、ヨーロッパで揉まれたワールドクラスの選手の凄さを感じずにはいられない2点目と3点目のゴールだった。
DF山下にとっては非常にいい経験になったのではないか。サイズがあって、フィジカルが強くて、パス出しもできるので、ザックジャパン入りを期待する声も増えているが、国際経験はほとんど無い選手である。Jリーグにも外国人選手はたくさんいるが、情報がほとんど無い選手と対峙しなければならないのが国際試合である。屈辱的な失点の仕方だったので、これを糧にしてほしいところである。
■ 1勝2敗1分けC大阪はこの試合が公式戦は4試合目だったが1勝2敗1分け。J1の第2節で昇格組の徳島(A)に2対0で勝利したが、この試合も立ち上がりの20分間を除くと内容は良くなかった。山東魯能戦(H)はもちろんのこと、浦項戦(A)と広島戦(H)も出来は良くなかったので、4試合を終えて自分たちのサッカーができた試合はゼロ。主導権を握った状態で試合を進めることができた時間もごくわずかである。
守備も整備されているとは言えないが、やはり気になるのは攻撃陣である。FW柿谷がいて、FWフォルランとMF長谷川が加入して、リーグ屈指のタレント軍団になった。どういうサッカーをするのか、C大阪のサポーターだけでなく、他のクラブのサポーターも注目をしたり、期待をしていたと思うが、ここまではさっぱりである。びっくりするほど噛み合っておらず、バラバラの状態である。
もちろん、FW柿谷はACLでは2試合連続ゴールを挙げており、FWフォルランも「さすが。」と思わせるプレーを披露するときもあるが、何人かが連動してチャンスを作るシーンはほとんど無い。FW柿谷が体調不良になったり、FWフォルランが代表に召集されたりして、メンバーが固定できない点もチーム作りを難しくしているが、期待を大きく裏切る試合が続いているので、チーム状態は最悪に近い。
■ 問題の多い豪華な攻撃陣気になるのは、攻撃のときの運動量が少ないところで、距離感も良くない。FW杉本とMF南野の2人については、複数の相手選手に囲まれながら頑張ってキープしようと試みるシーンがたくさん見られるが、そこで潰される場面も多くて、ブレーキになっている。2人とも頑張っているのはよく分かるが、全く効果的ではなくて、球離れが悪いので、攻撃のリズムを壊している主要因と言える。
今、必要なのは、人のためにプレーできる選手である。昨シーズンはMFシンプリシオがトップ下に入って、フォワードとサイドハーフとボランチとサイドバックをつなぐ接着剤の役割をこなしていたが、今シーズンはそういう選手が見当たらないので、それぞれが各ポジションで頑張るしかなくなる。先の2人だけでなく、FWフォルランも、MF長谷川も、難しいところでボールを受けているシーンが多い。
理想はFW柿谷とFWフォルランの2トップで、右サイドがMF長谷川で、左サイドがMF南野で、ボランチがMF山口蛍とMF扇原の2人になると思うが、今、この並びで試合をしても機能しないだろう。15日(土)に行われる清水戦までの数日間でポポヴィッチ監督は(現状での)最適な組み合わせを見つけなければならない。4試合を終えてこういう状態なので、そろそろ監督が手を加える必要がある。
考えられる打開策は、MF山口蛍とMF長谷川のポジションを逆にして、MF山口蛍がもっと自由に動き回ることができる環境を作るか、相手の注意を引き付けることができるドリブラーのMF楠神をスタメンで起用するか、初出場ながら山東魯能戦でアシストを記録したMFミッチ・ニコルスの運動量に期待して右サイドで起用するといったところである。今の状態であれば、FW杉本とMF南野は外した方がいいと思う。
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