■ FWフォルランの獲得2010年の南アフリカW杯の得点王で大会のMVPに輝いたウルグアイ代表のFWフォルランの獲得というのは、今オフのJリーグのストーブリーグにおける最大の話題と言えるだろう。何と言っても、ウルグアイという世界屈指の強豪国の現役の代表選手である。これで「テンションを上げるな。」と言われても無理な話であり、Jリーグにやってくる外国人助っ人の中では、久々となる大物である。
Jリーグの目下の課題は「Jリーグファン以外」をどう取り込むか?であるが、何も熱烈な野球ファンや熱烈な相撲ファンを取り込む必要性は全く無い。とりあえずは、「Jリーグには興味は無いけれども、日本代表には興味がある。」という人や、「Jリーグには興味は無いけれども、海外サッカーには興味がある。」という人をJリーグに呼び寄せることが必要になってくる。そういう意味でも、打ってつけの存在である。
個人的に期待したいのは、FWフォルランのC大阪入りに刺激を受けるクラブがいくつか出てくることである。昨年の途中からフィーバーを巻き起こしているが、C大阪のクラブ規模というのはJ1の中では中位以下である。もっと動員力が安定していて、もっと資金力があるクラブはJ1の中にもいくつかある。そういうクラブがいい意味で嫉妬してくれると、Jリーグはもっと魅力的なリーグになるだろう。
■ 基本は「身の丈経営」であるが・・・もちろん、全てのクラブは「身の丈に合った経営」をしなければならない。クラブライセンス制度が導入されたが、メチャクチャな経営をして、クラブを消滅させたり、クラブ消滅の危機を迎えることは、絶対に許されない。したがって、基本は「身の丈経営」であるが、そうは言っても、ずっと「身の丈経営」を行っていては、クラブとして大きく発展していくことはありえない。
J1の中では圧倒的な動員力を持っている浦和も含めて、J1とJ2の計40クラブの中で「現状維持のまま」で満足できるクラブは1つもない。都市圏のクラブはもちろんのこと、地方のクラブも、もっと大きなクラブになれる可能性を秘めていると思う。伸びシロのあるクラブがほとんどだと思うので、今後は「チャンスを逃さないこと」というのが重要になってくると思う。
C大阪がFWフォルランを獲得したタイミングというのは非常に良かったと思う。もちろん、数億円の年俸を支払うことになるのでリスクはある。キャンプ期間中に怪我をしてしまって、ほとんど試合に出場できないまま、ウルグアイに帰ってしまう可能性もゼロではない。そうなると大ダメージであるが、最悪の事態ばかり考えていては、前に進んでいかない。そして、そういう姿勢ではクラブは発展しないだろう。
■ チャンスを逃さないことC大阪は2013年はクラブ史上最高の平均観客動員数を記録して、FW柿谷、MF山口蛍というユース育ちの選手が日本代表に定着。18歳のMF南野という次代を担う選手も出てきた。クラブとしてノリに乗っている時期である。初タイトルの期待がかかるが、「ここが勝負のタイミングだ。」と考えて、金銭的なリスクがあることを承知の上で勝負に出た。このクラブとしての積極的な姿勢を高く評価したい。
「勝負のタイミング」というのは、そんなに頻繁に訪れるわけではない。優勝を狙えるタイミングであったり、ACLに出場するタイミングであったり、J1に昇格したタイミングであったり、J1に昇格できそうなタイミングであったり、いい選手が集まって手ごたえを感じているタイミングであったり、クラブによって様々であるが、そういう「チャンスタイム」がやってくるのは、3・4年に一度くらいだと思う。
したがって、それ以外の時期というのは、「身の丈経営」をしながら、「チャンスタイム」がやってくるのを静かに待つしかないと思う。今回のC大阪は「チャンスタイムがやってきたときに、きちんと勝負に出ることができた。」と言えるが、残念ながら、昨今のJリーグは、マイナスのことばかり考えてしまって、勝負しなければならないタイミングで勝負に出られないチームがほとんどになった。
「ACLに出場することになったが、選手層が薄い。そちらに全力を注ぐと降格するかもしれない。」などなど。必要以上に及び腰になってしまうチームが大半である。当然、無茶なことは避けなればならないが、勝負に出ることを必要以上に恐れて、発展できるチャンスを逃し続けてきたクラブが多い点が今のJリーグに閉塞感が漂っている最大の理由ではないかと思う。
毎度毎度、リスクを冒す必要は無い。Jリーグの創生期はほとんどのクラブがそういう姿勢だったが、不況の影響もあって、大多数のクラブが経営危機を迎えた。先のとおり、勝負する必要が無いときはチャンスが来るのを気長に待つしかないが、今が勝負どころなのか?というアンテナは常に張り巡らせておく必要がある。臆病になり過ぎて「絶好のチャンス」をフイにすることは大きな損失である。
「FWフォルランがJリーグで絶対に成功する。」とは言いきれない。年俸も高額で、34歳という年齢も気になるところであるが、もし、彼がJリーグで成功するようなことがあれば、C大阪に続くチームも出てくるだろう。個人的には、FWフォルランがJリーグで成功をおさめて、Jリーグの各クラブのフロントならびにサポーターの「受け身のマインド」が変化していくことを期待したい。
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