■ 10人が初代表20日(土)に開幕する東アジアカップに出場する日本代表メンバー23名が発表された。今回は海外組は不在で、しかも、J2でプレーするMF遠藤とDF今野は対象外で、さらには、FW前田、DF伊野波、MF中村憲も外れたので、10人が初代表というフレッシュな顔ぶれとなった。コンフェデは3連敗に終わったので、いろいろな選手が候補に挙がっていたが、若手選手が中心で、比較的、順当な顔ぶれになったと言える。
もちろん、召集が噂されていた選手で落選した選手も何人かいる。広島のFW佐藤寿、川崎FのFW大久保などは、J1の舞台で十分な結果を残しているが、枠には上限があるので、全ての選手を選ぶのは無理である。特に、CFに関しては、今の日本代表のバランスを考えると、サイズのある選手を起用せざる得ない。したがって、FW大迫あるいはFW豊田の方を優先すべきなのは明らかで、仕方がないところである。
J1で首位を走る大宮の選手を召集しても良かったのでは?という気もするが、「確実にメンバーに入ってくる。」というレベルに到達している選手は見当たらない。DF菊地、DF高橋祥、MF青木拓などは、メンバーに入って来てもおかしくないが、メンバー選考において、「J1で首位であるかどうか」という点は重視せず、単純に候補選手の優劣で決定していると思うので、ザッケローニ監督の判断を尊重するしかない。
■ 一番の驚きはDF千葉の選出かメンバーについては、妥当な23人に落ち着いたと言えるが、気になるのは、本職のSBが磐田のDF駒野しかいない点で、東アジアカップでは、彼がフル回転する必要がある。SBに関しては、「DF長友、DF内田、DF酒井宏、DF酒井高、DF駒野の5人で十分。」と考えがあって、「これ以上、新戦力のテストは必要ない。」という判断がなされたと思うが、東アジアカップは3試合あるので手薄なところは否めない。
DF駒野が右SBに入るのは確実で、浦和のDF槙野あるいはDF森脇が左SBで起用されると思うが、浦和では3バックのストッパーでプレーしているので、不慣れなところはある。その一方で、ボランチは5人が選出されているので、C大阪のMF扇原が左SBに回る可能性もある。スピード系の選手への対応は得意ではないが、184センチと高さがあって、フィードもできるので、ユーティリティー性をアピールできるチャンスと言える。
結局、大きなサプライズは無かったが、敢えて言うと、DF千葉の召集が一番のサプライズと言えるだろう。DF千葉は3バックの中央だけでなく、新潟のときは4バックのCBやボランチでプレーしていたので、いろいろなポジションでプレーできる。対人能力は高くないが、183センチとサイズがあって、体の厚みもあって、さらに、フィード力は日本人のCBの中では1・2を争うレベルである。非常に興味深い人材と言える。
よく言われている通り、「4-2-3-1」と「3-4-3」をメンバー変更をすることなく、試合中にシステム変更ができるようになるためには、「4-2-3-1」のWボランチにCB的な選手を入れておくことが必須の条件となる。DF今野やDF伊野波がその候補の1人であるが、今回、初召集されたDF千葉はどちらもこなす選手である。ここでアピールできれば、今後、日本代表のカギを握る選手に浮上するかもしれない。
■ 23名に期待したいこと今回、初選出の選手がたくさんいるので、チームとして機能するのは難しいと思われる。したがって、勝敗というのは二の次で、東アジアカップでアピールして、海外組やMF遠藤やDF今野やFW前田が揃ったフルメンバーのときに、メンバーに割って入るような選手が出てくることが期待される。特に、CFやボランチといった手薄なポジションの選手のプレーぶりに注目が集まるところである。
そして、同じくらい大事なのは、新しく日本代表に呼ばれた選手が、日本代表での経験を生かしていくことである。もちろん、東アジアカップで活躍して、日本代表に定着して、日本代表で活躍できれば、それに越したことは無いが、次の機会で召集されなかったとしても、この経験を生かして、自身のクオリティーを高めたり、所属クラブに何かを還元できたとしたら、代表召集に意味があったと言える。
過去を振り返ってみると、一度、日本代表に呼ばれると、認知度が高くなって、周囲の要求レベルも高くなる。その結果、スランプに陥る選手もいるが、一方で、日本代表に呼ばれたことを自信につなげて、ステップアップする選手もいる。マンチェスターUのMF香川というのは、後者の典型例で、岡田ジャパンの時は、なかなか出場機会が無かったが、それでも腐ることなく、必ず、何かをつかんで代表チームから戻って来た。
今回は、DF千葉、MF高萩、MF山口螢、MF扇原、MF齋藤学、FW柿谷、FW豊田の7人が初選出で、MF青山敏、MF山田大、FW大迫、MF柴崎なども、それに近い立場である。半分程度の選手が新顔と言えるが、この中には、思うように出場機会が得られない選手も出てくると思うが、そこで不貞腐れてしまうのか、新たなモチベーションに変えていくことができるか、より良い選手になれるかどうかの分岐点となる。
17日(水)に東アジアカップの前の最後のリーグ戦が行われるが、今回、選ばれた選手は大きな注目を浴びるはずで、日本代表という自覚を持ってプレーすると思うが、さっそく、代表効果というか、変化の兆しを感じさせるプレーを披露する選手も出てくるだろう。J1の17節というのは、東アジアカップをより楽しむためには、見逃すことはできないと言える。
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