■ バーレーン戦アジア最終予選の5試合目。2勝2分けでグループ2位ながら、ホームでは2引き分けと結果が出ていない日本代表。ワールドカップ進出に近づけるためにも勝利が欲しい試合。
日本は<4-2-3-1>。GK楢崎正剛。DF内田篤人、田中マルクス闘莉王、中澤佑二、長友佑都。MF遠藤保仁、長谷部誠、中村俊輔、大久保嘉人、田中達也。FW玉田圭司。
■ 停滞した前半前半の立ち上がりは日本が勢いよく攻め込むが、前半10分を過ぎると攻撃が停滞し始める。トップ下に入るMF田中達が両サイドに流れてボールを引き出そうとするが、バーレーンの高くて強いセンターバックコンビの壁を崩せない。
結局、双方ともに決定的なシュートがほとんどない静かな展開で前半を終えた。
■ 俊輔のフリーキックで先制嫌な流れになった日本だったが、後半の立ち上がりに先制ゴールが生まれる。
後半2分にFW玉田のドリブル突破からゴール正面でフリーキックを獲得。このチャンスにMF中村が左足でゴールを狙うと、そのボールが相手ディフェンダーの頭に当たってコースが変わる形でネットを揺らして日本が先制する。
アウェーでのバーレーン戦に続いてMF中村俊輔の直接フリーキックが決まって貴重な先制ゴールが生まれた。
その後は、最低でも勝ち点「1」が必要なバーレーンがラインを前に上げて積極的にゴールを狙いに来るが、日本の最終ラインが落ち着いて対応。結局、日本も追加点は奪えなかったが、バーレーンにもほとんどシュートチャンスはなく、危なげなく勝利。3勝2分けで暫定首位に立った。
■ 大きかった中村俊輔のゴール膠着した中で炸裂したMF中村俊輔のゴールが大きかった。
グループ内での順位でも日本が上で、バーレーンとしても守ってばかりではいられない試合であり、どこかの時間帯で攻めに出てくる必要があったが、MF中村俊の先制ゴールで終盤まで耐えて最後の時間帯にゴールを奪って勝ち点を取るというプランは崩れて、中途半端に前掛かりにならざる得なくなった。
■ 攻守に際立った中村俊輔と遠藤保仁ゴール以外でもこの試合の中村俊輔は中盤の要として十二分な活躍を見せた。
ここ数試合は右サイドに張り付くことが多く、攻撃においては運動量も乏しくブレーキになっていたが、この試合では左右にとらわれずに動いて攻撃の起点となり、前線に精度の高いパスを送った。
同じく、MF遠藤も攻守に気の利いたプレーを見せた。ボールを失うケースはほとんどなく、ボール回しを落ち着かせて、守備でも鋭い動きでバーレーンの攻撃を遮断した。
日本代表で中心となるMF中村俊輔とMF遠藤保仁の二人がこれだけのプレーを見せられれば、ホームで負けることはないだろう。
■ 安定していた闘莉王この試合ではDF闘莉王のプレーも良かった。DF中澤はいつも通りの安定したプレーを見せたが、そのパートナーのDF闘莉王も90分間、落ち着いてプレーした。
不断であれば、DF闘莉王は集中力が切れると凡ミスをしてピンチを招くこともあるが、この日は心身ともにコンディションが良さそうで、最後まで冷静にプレーした。
バーレーンは最後の時間帯でパワープレーに出てきたが、DF中澤とDF闘莉王のコンビは危なげなかった。
■ 依然として抱える問題岡田ジャパンが発足して1年と数カ月が経過し、ようやくメンバーも固定されてきており、それなりの結果が出ているが、ここ数試合は、特に攻撃面では停滞している感は否めない。
両サイドに若くてスピードがあって運動量のあるDF内田とDF長友を起用しているが、せっかく、彼らがいい形でサイドでボールを受けても、中にいる枚数が不足しているので、苦労してサイドからボールを上げても簡単に相手に跳ね返されてしまう。
また、中盤の混雑具合も相変わらずであり、FW玉田やMF田中達といった前線の選手も引いてきてボールを受けようとするので、混雑具合に拍車がかかる。
この試合ではフリーキックから先制ゴールを奪うことが出来たため後半は前掛かりのバーレーンに対してカウンターを仕掛けられたが、相手に先制ゴールを奪われた時にどのように崩して点を奪うのかは全く見えて来ない。
■ カウンターの精度の低さFW巻やFW矢野といった背の高い選手ではなく、継続して岡田監督はFW玉田を1トップで起用している。さらに2列目にもFW田中達、FW大久保といったセカンドストライカータイプの選手を3人も起用している。
これは運動量やスピード、ドリブルでの打開力を重視しているからであると考えられるが、平均身長が170cmそこそこの3人であるので高いボールに対してはほとんどノーチャンスである。
したがって、もっと早い攻撃を仕掛けて奪ったボールを素早く展開して相手ゴールに迫りたいところであるが、奪ったボールに対して、ほとんどの選手がボールを受けに入るので、カウンターでの攻撃がほとんど成り立たない。思い起してみると、試合終盤の打ち合いになったとき以外で、岡田ジャパンになってから見事なカウンターアタックからゴールが生まれたケースはほとんどない。
これだけ前線にスピードがあってドリブルで打開できる選手が集まっているのであるから、もっとカウンターを精度を高めていかなければ、世界とは戦えない。
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