■ 因縁のメキシコ戦コンフェデのGLの3試合目。ともに2連敗となって、すでにグループリーグでの敗退が決定している日本とメキシコがベロ・オリゾンテで対戦した。日本とメキシコは2005年のコンフェデで対戦しているが、このときは、2対1でメキシコが勝利している。また、記憶に新しいところでは、2012年のロンドン五輪の準決勝でも対戦しているが、この試合もメキシコが3対1で逆転で勝利している。
日本は「4-2-3-1」で、GK川島、DF酒井宏、DF栗原、DF今野、DF長友、MF細貝、MF遠藤、MF岡崎、MF本田圭、MF香川、FW前田の11人がスタメンで、イタリア戦で失点に絡んだDF吉田はベンチスタートで、オウンゴールを喫したDF内田もベンチスタートとなった。また、MF長谷部が出場停止のため、MF細貝がボランチでスタメンとなった。MF細貝は先日のアジア最終予選のイラク戦以来のスタメンとなる。
■ 2対1でメキシコが勝利試合の序盤は日本が押し込んで、前半10分にMF遠藤のミドルシュートをゴール前のMF岡崎がコースを変えてネットを揺らすがオフサイドの判定でゴールならず。すると、前半20分辺りからメキシコがボールを保持するようになって、日本が守備に回る時間帯が続いていく。前半40分にはサイドを崩されてMFグアルダードに決定的なヘディングシュートを放たれるが、ポスト直撃でゴールならず。前半は0対0で終了する。
後半も同じような展開が続くと、後半9分に左サイドのMFグアルダードの精度の高いクロスからFWエルナンデスにヘディングシュートを決められてメキシコが先制する。日本は後半20分にFW前田を下げてDF吉田を投入して「3-4-3」のような布陣に変更するが、直後の後半21分にCKから、再び、FWエルナンデスにヘディングシュートを決められて0対2と2点ビハインドになる。
追い詰められた日本は後半41分にMF香川のクロスからMF遠藤が折り返して、最後はゴール前に入って来たMF岡崎が押し込んで1点差に迫る。流れをつかみかけた日本代表だったが、後半46分にロングフィードからFWエルナンデスが抜け出してメキシコがPKを獲得。絶体絶命のピンチだったが、GK川島がビッグセーブを見せて3点目はならず。FWエルナンデスはハットトリックとはならなかった。
ロスタイムはやや長めの5分で、日本も何度かゴール前のシーンを作ったが、最後のパスが合わずに決定機を作ることはできず。結局、試合は2対1でメキシコが勝利して、メキシコが1勝2敗で勝ち点「3」となって、日本は3戦全敗でGL敗退となった。ブラジルとイタリアの試合は4対2でブラジルが勝利したので、このグループは1位がブラジルで、2位がイタリアとなって、両チームが決勝トーナメントに進出する。
■ 3連敗でGL突破はならず・・・アジア王者としてコンフェデに参加した日本代表だったが、結局、3連敗となった。初戦のブラジル戦は全くいいところを出すことが出来ず、2試合目のイタリア戦は自分たちの良さを出すことはできたが、結果にはつながらず。3試合目のメキシコとの試合は疲れもあって、前半の途中からメキシコに試合を支配されてしまった。3試合とも試合展開は異なるが、勝ち点を得ることはできなかった。
立ち上がりは日本ペースだったが、メキシコにボールを回されるようになって、リズムが狂ってしまった。メキシコも前半の決定機というのは数えるほどだったが、ボールを回されたことで、日本の選手はスタミナを浪費して、ボールを奪うことができたとしても、つなぎのところで簡単なミスが発生して、メキシコに二次攻撃・三次攻撃を食らうことになった。
ただ何とか0対0のままでハーフタイムに突入したので、インターバルの間に修正をしたかったが、後半になっても状況は変わらなかった。選手交代あるいはシステム変更で対処したかったが、手を打たないままで時間が進んで、後半9分に先制ゴールを奪われた。DF栗原とDF今野の間のところに入って来たFWエルナンデスの動きは良かったが、DF栗原がマークしきれなかった。
その後、後半20分にDF吉田を投入して「3-4-3」のような形にシステムを変更したが、直後にCKから2失点目を喫した。「3-4-3」になってからメキシコのサイドの守備が混乱して、特に、右サイドの内田がフリーになるシーンが続いたので、『「3-4-3」に変更したこと自体はそれなりに効果があった。』と言えるが、やはり、CKからの2失点目が痛恨だった。
■ 理想と現実のバランスこれで敗退が決まったが、今の日本代表の実力を客観的に見ると、W杯のGLを突破できるか、否か、ギリギリのところに位置すると思う。コンフェデは3戦全敗だったが、開催国のブラジルはもちろんのこと、イタリアやメキシコもW杯の本大会に進出してきたら、第1シードになるようなグレードの高いチームで、こういったチームに「1点差負け」というのは、「GLを突破すること」に主眼を置くならば、悪い結果とは言えない。
実際に南アフリカW杯のときは、オランダとカメルーンとデンマークと同じグループに入ったが、第1シードのオランダに「0対1」という1点差負けだったことが効いてきて、最後のデンマーク戦は「引き分けでもOK」という楽な立場で試合を迎えることになったので、「シード国クラスに1点差負け」というのは、悪いものではないが、当然のことながら、ベスト8やベスト4を狙うのであれば、不十分である。
W杯の本大会まで1年となったが、本大会でどういうサッカーをするのか、早い段階で決める必要がある。ザッケローニ監督は「南アフリカW杯のときのようなサッカーはしたくない。」という趣旨の発言をしているが、日本のサッカーファンの多くが「負けるのは許さない。」と考えるのであれば、今のようなサッカーではなくも、もっと現実的なサッカーをする必要があるだろう。
また、「最終ラインのつなぎのミスから失点するのを許さない。」というのであれば、できる限り、セーフティーなプレーを選択すべきであり、ロングボール中心のサッカーにならざる得ない。当然、方向性を決めるのはザッケローニ監督であるが、日本代表というのは「日本人の代表」なので、国民の意見を完全に無視することは出来ないので、今後、そういった声が多くなるのであれば、シフトチェンジせざる得ない。
もちろん、結果と内容を両立させることができれば、それがベストであるが、W杯の舞台では、ブラジルやオランダやアルゼンチンのような強豪国でも難しいことであり、今の日本代表の立場であれば、ほとんど不可能である。個人的には、「イタリア戦のような戦いが本大会でもできれば面白い。」と感じるが、結果を最優先するのであればベストな戦い方とは言えないだろう。
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