■ 最終予選の2戦目ブラジルW杯のアジア最終予選の2戦目。初戦でオマーンを3対0で下して好スタートを切ったザックジャパンは、埼玉スタジアムでヨルダンと対戦した。ヨルダンの初戦はホームでイラクと対戦して、1対1の引き分けだった。日本とヨルダンと対戦するのは、2010年1月のアジアカップのGLの初戦以来で、このときは1対1のドローだった。
日本はオマーン戦と全く同じメンバーで、GK川島、DF内田、吉田、今野、長友、MF長谷部、遠藤、岡崎、本田圭、香川、FW前田というスタメンとなった。ベンチスタートは、GK西川、GK権田、DF駒野、DF栗原、DF伊野波、DF酒井宏、MF中村憲、MF細貝、MF高橋、FWハーフナー・マイク、MF清武、FW宮市の12名で、DF槙野、FW森本はベンチ外となった。
■ ゴールラッシュで圧勝試合は立ち上がりから日本ペースとなる。スムーズなパス回しからチャンスを作ると、前半18分に右コーナーキックから先制ゴールが生まれる。MF本田圭が左足で蹴ったボールをフリーでゴール中央に入って来たFW前田が合わせて先制する。さらに、前半21分にも、MF遠藤の絶妙のスルーパスを受けたMF本田圭が左足で冷静に決めて2対0とリードを広げる。
ヨルダンは前半27分にFWディーブが2枚目のイエローカードを受けて退場で10人となる。圧倒的に有利な立場となった日本は、ペースを緩めることなく、猛攻を続ける。前半30分には、MF遠藤のパスを受けたMF岡崎が左足でシュートを放つと、相手選手に当たってゴール前にこぼれたところをMF本田圭が押し込んで3点目を挙げる。さらに、前半35分にも、DF内田のパスからMF香川が決めて4対0とリードを広げる。前半は4対0と日本が大量リードして折り返す。
後半になると、ヨルダンが前に出てきて、序盤は押し込まれる展開が続くが、後半8分にペナルティエリアで仕掛けたFW前田がPKを獲得。これをMF本田圭が決めて5点目を挙げる。MF本田圭はハットトリック達成となった。その後は攻め疲れもあったのか、ペースダウンしてチャンスを作れなくなったが、終了間際の後半44分にDF長友のクロスからDF栗原がヘディングで決めて6点目を挙げる。DF栗原は代表では初ゴールとなった。結局、6対0で日本が圧勝して、連勝スタートとなった。
■ MF本田がハットトリック大事な2試合目は、オマーン以上に守備力のあるヨルダンが相手ということで、「苦戦するのでは?」という予想もあったが、圧巻のゴールラッシュを見せて、2連勝を飾った。立ち上がりから軽快にパスが回ってチャンスを作ったが、コーナーキックから先制できたのは大きかった。FW前田のシュートは、頭ではなくて肩に当たっているので、ラッキーもあったが、MF本田圭からいいボールが入ってきて、FW前田もいいポジションを取っていた。
先制ゴールをアシストしたMF本田圭は、その後、3ゴールを挙げて、1997年のウズベキスタン戦のFW三浦知以来となるアジア最終予選でのハットトリック達成となった。特に見事だったのは、チームの2点目のゴールで、MF本田圭が素晴らしい動き出しを見せると、MF遠藤もパーフェクトなスルーパスを供給して、追加点のゴールが生まれた。
2対0となった後、ヨルダンの選手が2枚目のイエローカードで退場となったところで、勝敗は決したと言えるが、相手が10人になった直後に、3点目と4点目のゴールを奪えたことも、試合を楽にした。3点目のゴールもMF遠藤が起点となって、最後は、MF本田圭が押し込んだが、攻撃の選手が連動して、チームで崩して、チャンスを作って、ゴールを重ねた。
■ 好パスを供給したMF遠藤この日は、MF遠藤が見事なゲームメイクを見せて、中盤を支配した。つなぎのところで全くミスが無かっただけでなく、前線の選手の動きをよく見て、急所を突くパスを連発した。オマーン戦は、らしくないミスもあって、コンディションも良くなさそうだったが、この日は、素晴らしいパフォーマンスを披露した。MF遠藤のところから、これだけいいパスが出て来ると、相手は止めようがない。
また、FW前田もいい働きを見せた。何よりも大きかったのは、先制ゴールであるが、チームの5点目につながったPK奪取も、試合の流れが悪くなりかけていた時間帯だったので、ビッグプレーとなった。これまでの試合は、1トップで孤立することが多かったが、アゼルバイジャン戦、オマーン戦、ヨルダン戦は、2列目の選手とうまく絡んで、チャンスを作っている。横一線のレギュラー争いが続いていたが、これで、FW前田が大きくリードしたといえる。
一方で、MF香川はミスが多かった。4点目のゴールはしっかりとコースを狙って、確実に決めることが出来たが、アタッキングエリアで中途半端なプレーが多くて、思い切りもなかった。ヨルダンのチェックがあまり厳しくなかったので、何でもできる状況でボールを受けることが多くて、プレーの選択肢があり過ぎたことが、迷いを生んだのか、攻撃ではブレーキとなった。
■ アジアを超越した45分間ということで、ザック・ジャパンは、2試合で9ゴールを奪って、会心のスタートとなったが、ヨルダンの前半のようなサッカーができれば、世界中のどんな強豪チームと対戦しても、主導権を握った状態で試合を進めることができるだろう。動きの量が多くて、選手も連動して、出てくるパスも正確で、アジアレベルを超越した贅沢な45分間だった。
よって、ヨルダン戦の前半は、ザック・ジャパンになってから「最高の45分間」だったといえるが、今後は、前半のようなサッカーを継続できるかどうかが、重要となる。4対0とリードして、相手に退場者が出て、気が緩んだわけではないと思うが、後半のサッカーは、数的優位だったことを忘れさせるようなクオリティーの低いサッカーで、交代選手も、悪い流れを変えることはできなかった。
前半から飛ばしていたので、運動量が落ちてしまうのは仕方がないところもあるが、今の日本代表は、世界レベルで考えると、決して、個々の選手の守備力が高いわけではないので、受け身になると、ヨルダンのようなチームと対戦しても、シュートチャンスを作られてしまう。見事な前半の45分間とは対照的に、いくつかの課題が見えた後半の45分間となった。
■ DF吉田の負傷結果は申し分ないものとなったが、残念だったのは、DF吉田の怪我で、4対0とリードしていたので、怪我だけが心配な状況だったが、負傷交代となって、次のオーストラリア戦に出場することは不可となった。オーストラリアは高さがあるので、DF吉田の不在は痛手で、本人もオーストラリアのようなチームを相手に、どこまで出来るかを楽しみにしていたと思うので、ショッキングな話となった。
おそらく、オーストラリア戦はDF栗原が先発で起用されると思われるが、DF栗原は、途中出場で相手のフォワードをつぶし切れず、波に乗り切れなかった。ただ、セットプレーでは強さを発揮して、終了間際に代表初ゴールを決めることができた。5対0のままでも十分だったが、最後にオーストラリア戦で活躍してもらわないと困る選手がゴールを決めたというのは、いい流れといえる。
幸いにして、オーストラリアはFWケネディの調子があまり良くないので、幾分かは、パワーダウンすると思うが、前回の最終予選では、高さに対抗できずに、逆転負けを喫した。もちろん、この試合は、両チームともW杯行きを決めた後の消化試合で、日本もメンバーを落としていたので、あまり参考にはならないが、今回は、いい流れでオーストラリアに乗り込むことが出来るので、リベンジを期待したいところである。
ラッキーなことに、オマーンとオーストラリアの試合は、スコアレスドローに終わったので、グループBは、日本が勝ち点「6」で、オーストラリア・オマーン・ヨルダン・イラクの4チームが勝ち点「1」で並ぶというと、願ってもない展開となった。もし、次の試合でオーストラリアに勝つことができれば、3節にして、W杯行きに大きく近づくことができる。もちろん、アウェーなので、勝ち点「1」でも十分な試合であるが、勝利を期待したいところである。
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