■ 敬意を欠いた発言2014年になって最初の国際Aマッチが国立で行われて日本が4対2で勝利した。内容や結果に関しては多くの場で議論されているが、気になったのは、対戦相手のニュージーランドを小馬鹿にするような発言が聞こえてくる点である。確かに前半17分の時点で4対0と日本が大量リードする展開だったので、歯ごたえのある相手だったかというとクエスチョンマークが付くが、敬意を欠く発言は気持ちのいいものではない。
今回の対戦相手がなぜニュージーランドになったのか?については、ザッケローニ監督が試合前日の会見の席で語っている。3年前の2011年3月に日本とニュージーランドは親善試合を行う予定だったが、東日本大震災の影響で中止となった。(ニュージーランドも2011年2月に地震で大きな被害が出ている。)そういう経緯があるので、ザッケローニ監督がニュージーランドとの試合をリクエストしたという。
サッカー日本代表の影響力というのは非常に大きい。「親善試合」あるいは「フレンドリーマッチ」と呼ばれるとおり、サッカーを通して、両国の間で友好関係を築いたり、関係を深めることも重要になってくる。「単に試合するための相手」、「スパーリングの相手」ではないので、相手の実力が劣っていたり、相手の出来が十分ではなかったとしても、必要以上に腐すのはどうかと思う。
■ 強い相手とばかり対戦していても・・・日本国内で試合を行って、ちょっと楽な展開になった場合、「もっと強い相手を呼ぶべきだった。」と主張する人も出てくる。が、「世界トップレベルの国」、「日本よりもちょっと上のレベルの国」、「同等の実力を持った国」、「日本よりもちょっと下のレベルの国」、「日本よりも実力がかなり劣る国」などなど、いろいろな立ち位置の相手と試合を行う方が偏りがあるよりも有意義である。
コンディションがあまり整っていない中、世界の強豪国と試合を行ってボコボコにされたら、プラスよりもマイナスの方が大きい。また、W杯予選の直前の試合の場合、自信や勢いを付けるために大量得点差で勝利することが期待できる相手を選択することもある。毎度毎度、「世界トップレベルの国」と対戦していたら、チーム作りはスムーズに進んでいかないだろう。
最近はサッカーゲームをあまりしないので、最近の事情には疎い。サッカーゲームの記憶は10年ほど前でほぼストップしているが、10年ほど前のゲームの世界でも、「強い相手とばかり試合をしていれば、多くの経験値が得られて、選手やチームの成長の度合いが大きくなる。」というイージー設定ではなかった。ゲームの世界でさえ、そういう感じなので、現実の世界ではなおさらバランスが重要になってくる。
■ 日本代表との試合はあまり好まれない???もちろん、ニュージーランドと試合をするよりも、オランダやベルギーのような強豪チームと親善試合を行った方が多くの収穫を得られる可能性が高いのは間違いないが、どう頑張っても、この時期の日本に(フルメンバーに近い)欧州や南米の強豪国を連れてくるのは無理である。現実を無視して、無理を言って、日本代表のマッチメイキングを批判をすることの意味を全く感じない。
欧州組が多くなったので、「欧州のアウェーあるいは中立地で試合を行う。」というのも1つの手であるが、欧州組が日本代表の中心になったとは言っても、まだまだ国内組もたくさんいる。Jリーグは3月1日(土)に始まったばかりで、次週以降はリーグ戦とACLを並行して戦わなくてはならない選手も何人かいる。そういう状況下で欧州遠征までプラスされると相当な負担になる。
ちょっと逆の視点で「今の日本代表と対戦したい。」と思う強豪国がどれだけあるだろうか?について考えてみると、非常に少ないと思う。MF本田圭、DF長友、MF香川など、欧州で名の知れた選手が増えてきて、日本代表に興味を持つ人は確実に増えていると思うが、2012年のフランス戦、2013年のオランダ戦やベルギー戦を例に出すと分かる通り、一筋縄ではいかない相手である。
そうは言っても、まだよく知らない人もたくさんいるだろう。「日本が相手なら勝って当たり前」と思っている欧州の中堅以上の国はいくつもあると思うが、そんなに簡単に勝てる相手ではない。『日本代表が相手ならば、勝って当たり前だと(詳しくない)サポーターは考えているが、引き分けたり、負ける可能性も十分にありえる相手』と表現できるので、親善試合の相手として都合のいいチームではない。
また、サッカースタイルも独特なので、「仮想・○○」とどこかの国を想定して日本代表と試合を組んでもあまり意味が無い。距離的に近い国ということもあって「仮想・韓国」と考えて日本代表との対戦を希望するチームがあるかもしれないが、日本と韓国では全くスタイルが違っている。「違ったタイプのチームと対戦したい。」というときは最適な相手と言えるが、「仮想・○○」にはなりにくい。
■ 気持ちは格上のチームも同じ近年、国際Aマッチデーの数自体が少なくなっている。フルメンバーを召集できる貴重な場なので、日本代表のマッチメイクに携わっている人は、当然、「できることならば格上の強豪チームと対戦したい。」と考えていると思うが、日本代表よりも格上と考えられる国もおそらく同じようなことを考えている。せっかくの機会に格下(と思われる)日本と国際Aマッチデーに対戦しようと積極的には思わない。
これも逆側の視点から考えると良く分かる。近年は、日本よりも格上のチームの数と比較して、日本よりも格下のチームの方がはるかに多くなっている。「負けてもいいので、アジア王者の日本と親善試合をしたい。」と思っているアジアの国はいくつもあると思うが、そういった声に日本代表が応えて来たかというと、皆無に近い。ザックジャパンになってからは2011年にベトナムと親善試合を行った程度である。
個人的には日本代表も自分たちの強化のことだけを考えるのではなくて、世界全体、特にアジア全体のレベルアップのために「胸を貸す」ようなマッチメイキングをしなければならない立場になっていると思うが、そういうことはほとんどやっていない。そういう中で「こちら側(=日本側)が望めば欧州や南米の強豪チームと対戦できる。」と考えるのは非常に不自然なことである。
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