■ 第7節J1の第7節。昨シーズンのリーグ王者の名古屋グランパスがアウェーで浦和レッズと対戦。名古屋は開幕戦は横浜Fマリノスと対戦して1対1のドロー。浦和はアウェーでヴィッセル神戸に0対1で敗れている。浦和のゼリコ・ぺトロビッチ監督と名古屋のドラガン・ストイコビッチ監督は、ともに、1998年のフランスW杯にユーゴスラビア代表として出場しており、同僚対決となる。
ホームの浦和は<4-2-3-1>。GK山岸。DF高橋峻、スピラノビッチ、永田、宇賀神。MF山田暢、柏木、田中達、マルシオ・リシャルデス、原口。FWエジミウソン。FWマゾーラ、FWエスクデロ、DF坪井らがベンチスタート。開幕戦でレッドカードを受けたMF鈴木啓は出場停止。DF平川は怪我のため欠場。
対するアウェーの名古屋は<4-2-2-2>。GK楢崎。田中隼、闘莉王、増川、阿部。MF吉村、小川、藤本、金崎。FW永井、ケネディ。FW玉田、MFダニルソンは怪我のため欠場。新人のFW永井はリーグ戦は初スタメン。2004年から2009年まで浦和でプレーしたDF闘莉王にとっては、久々の埼玉スタジアムでの試合となる。
■ レッズが快勝試合は序盤から浦和ペース。前半12分にカウンターからFWエジミウソンがドリブル。右サイドを駆け上がったMF田中達にパスが渡ると、ドリブルが強烈な右足のシュート。これはGK楢崎がはじくが、こぼれ球をMFマルシオ・リシャルデスが右足で落ち着いて決めて、幸先よく先制する。
さらに前半25分にも、中盤でボールを拾ったMF柏木のスルーパスからMFマルシオ・リシャルデスが右サイドの裏のスペースに走り込んでボールを受けると、中央にラストパス。これをゴール前でフリーになっていたMF田中達が決めて2点リードを奪う。
後半開始から、名古屋はボランチのMF吉村に代えてMF中村直を投入。攻撃的なメンバー交代を見せるが大きな変化は生まれず。2点リードの浦和は後半33分にも、MF原口がタックルでDF田中隼からボールを奪ってドリブルで独走。GK楢崎と1対1になると、最初のシュートは防がれるが、こぼれ球を自ら押し込んで3点目を挙げる。その後も、途中出場のFWマゾーラ、FWエスクデロらが決定機を作るなど、90分を通して攻め続けた浦和がホームでリーグ王者を粉砕し、3対0で勝利。今シーズン初勝利を飾った。
■ 見違えたレッズプレシーズンマッチでは、なかなか思い通りのサッカーができず、ヴィッセル神戸との開幕戦も黒星。したがって「前途多難」と思われていた浦和であったが、中断期間にいいトレーニングができていたようで、これまでとは全く違う「素晴らしい試合」を見せて3対0で名古屋に勝利した。名古屋はACLがあったので中4日というやや厳しめのスケジュールだったという理由もあるが、浦和が運動量でも名古屋を圧倒。コンディションの良さも光った。
ここ数年は思うような結果が残せておらず、昨シーズンは、14勝14敗6分けで10位と低迷。2007年にはアジアを制したクラブにとっては不本意なシーズンが続いているが、「近年ではベストゲーム」といえる試合で、久々に可能性を感じさせるサッカーを見せた。浦和というと、FWエメルソンがいた頃の強烈なカウンターが印象に残っているが、この試合の3つのゴールはすべて高い位置でボールを奪った末のゴールであり、スピードのある選手が一気に駆け上がっていく姿は爽快感があった。
埼玉スタジアムでの開幕戦にも関わらず観衆は42767人ということで、浦和にしてはさびしい数字だったが、アグレッシブなサッカーを続けていくことができれば、スタジアムから遠ざかっているサポーターも戻ってくるのではないだろうか。
■ マルシオ・リシャルデス 1G1Aアルビレックス新潟から移籍してきた新戦力のMFマルシオ・リシャルデスは、先制ゴールと2点目のアシストを記録し、1ゴール1アシストの活躍。ボールに触れるシーンも多く、トップ下のポジションで十分な役割を果たした。
これまでは、両ウイングがタッチライン際に位置していたので、MFマルシオ・リシャルデスの周りに味方がおらず、完全に孤立していたが、中断期間にチームが成熟してきたようで、必ずしも、MF田中達とMF原口がタッチラインの近くにはポジションを取らず、逆サイドに来て絡むシーンもあるなど、マイナーチェンジされていた。
オランダ式のサッカーの場合、できるだけスペースを作ってグラウンドを広くした状態で攻めるのが基本となるので、日本的な短いパスをつなぐサッカーとは対局である。そのため、浦和のイレブンも戸惑っていたが、いい感じにミックスされてきている。ボランチと言いながら、「トップ下」や「サイド」にも顔を出すなど、精力的に動き回ったMF柏木の貢献も見逃せないところで、MF山田暢との関係も良かった。
■ 原口が3点目のゴール浦和の3点目を挙げたのはMF原口で、自身の「いい守備」から見事なゴールを決めた。MF原口も小学生の頃から有名な選手で、ユースの頃から、「将来はレッズの看板選手になる。」と思われていた選手であるが、2009年は32試合で1ゴール、2010年は26試合で2ゴール。出場機会は得ているが、得点に絡む仕事ができずに「期待」を裏切ることが多かったが、今シーズンの充実ぶりは目を見張るものがある。
FWマゾーラという超強力なライバルがいるが、ぺトロビッチ監督の評価も高く、今のところ、左ウイングのレギュラーの座をつかんでおり、さっそく1ゴール。いいシーズンとなりそうな予感が漂っている。ロンドン五輪世代なので、五輪代表としても期待されるが、それにとどまらず、フル代表入りも期待したい選手である。
■ グランパスは完敗一方の名古屋は、思わぬ完敗。2試合を終えて1敗1分けと、スタートでやや躓いてしまった。ただ、試合内容はそれほど悪いものではなく、浦和の先制点でプランが大きく崩れてしまった。浦和が良すぎたのも事実なので、この試合は早く忘れるべきだろう。
1つ気になるのはFW永井のポジションで、スタメン表を見ると、「FWケネディとの2トップ」になっているが、左サイドにいることが多く、<4-2-2-2>というよりは、<4-2-3-1>のような形になっていることが多い。FW永井という選手は、スピードに注目が集まるが、運動量もあって、守備もできるので、左サイドでも全く問題なくチームに貢献できるが、やはり「圧倒的なスピード」はゴールに近いところで威力を発揮する。
左サイドから突破してクロスを上げるというシーンも多く、悪い出来ではなかったが、自らのゴールチャンスはほとんどなかった。ノーマルな2トップの方が、相手にとっては嫌なのではないだろうか。
■ DF闘莉王は不発2010年シーズンは出場停止となったので、名古屋に移籍してから初めて敵チームの一員として埼玉スタジアムでプレーしたDF闘莉王に対しては、激しいブーイングが浴びせられた。選手紹介のときだけでなく、DF闘莉王がボールを持っただけでブーイングの声が上がるという徹底ぶりだったが、そのブーイングがリズムを壊したわけではないだろうが、DF闘莉王は、あまり持ち味を発揮できずに終わった。
2失点目、3失点目は浦和のカウンターからのゴールであったが、名古屋の場合、相手にリードされている状態ではDF闘莉王が積極的に攻撃に参加してくるので、「その裏を突かれて失点」というケースは非常に多く、負けるときは大敗が多い。攻撃参加はDF闘莉王の持ち味なので、そこを規制してしまうのもつまらないが、もう少しバランスを考える必要はあるだろう。
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