■ ヨーロッパリーグUEFAヨーロッパリーグの決勝トーナメントの2回戦。ベスト8入りをかけたポルトガルのポルトと、ロシアのCSKAモスクワの対戦。第1戦はポルトがアウェーで1対0の勝利。後半25分にMFグアリンがミドルシュートを決めて、これが決勝ゴールとなった。
ホームのポルトはリーグ戦は21勝2分け。53得点でわずかに7失点だけ。2位のベンフィカに13ポイント差をつけて首位を独走している。元東京ヴェルディのFWフッキは21試合で20ゴールを挙げており、得点ランキングを独走している。ちなみに、鹿島アントラーズのFWカルロンは14試合で9ゴール。現時点でもポルトガルリーグの得点ランキング4位につけている。
対するCSKAモスクワは、ロシアリーグが春-秋制であるので、リーグ戦は開幕したばかり。コンディション面で不安が残る。ポルトとの第1戦の前半に負傷して、先週のロシアリーグの開幕戦を欠場したMF本田圭はスタメン出場。第1戦は右サイドハーフで先発だったが、この日は右ボランチでスタメンとなった。2トップはFWワグネル・ラブとFWドゥンビアのコンビで、FWドゥンビアはコートジボワール代表で2008年途中までJ2の徳島ヴォルティスでプレーしていた。
■ ポルトが勝ち抜け大震災のあった日本に対するメッセージと黙とうが捧げられた後でキックオフされた試合は、開始早々にポルトが先制する。右サイドでフリーキックを得て、FWフッキがボールをセット。左足でゴール前にボールを送ると、これが絶妙のコースに飛んで、CSKAモスクワのGKアキンフェイフが処理できずにそのままゴールイン。ポルトが大きな先制ゴールを挙げる。
その後、CSKAモスクワは何度もコーナーキックを得るが生かし切れずにいると、前半24分にポルトはCSKAモスクワの中途半端なクリアボールを拾って左サイドからクロス。中央で競ってこぼれたボールをMFグアリンが右足で決めて2点目を挙げる。グアリンは2試合連続ゴール。3ゴールが必要となったCSKAモスクワは、前半29分に中央を崩して最後は右サイドにスルーパス。これをMFトシッチが落ち着いて決めて1対2と追い上げる。
あと2点が必要なCSKAモスクワは、後半にFWネチド、MFオリセー、MFマルク・ゴンサレスと攻撃的な選手を次々と投入するが、効果を発揮せず。結局、試合はそのまま2対1でポルトが勝利。合計スコアでも3対1と上回ってベスト8に進出決定。一方のCSKAモスクワはベスト16で敗退することになった。
■ ポルトが勝ち抜け力のあるチーム同士の対戦で、「この試合に勝った方がヨーロッパカップを獲得するのでは?」と言われていた屈指の好カードは、ポルトガルのポルトが勝ち抜けを決定させた。
今シーズンのポルトは、文句のつけようのないシーズンを送っており、ポルトガルリーグは無敗で首位独走中で、ヨーロッパリーグと国内リーグで敗れたのは1試合のみ。ここ17試合で16勝1敗と圧倒的な成績を残している。攻撃のみならず、守備も堅くて、ヨーロッパカップを制する確率もかなり高いといえる。
■ フッキが先制ゴールその原動力になっているのがFWフッキ。2005年に川崎フロンターレに加入し、2006年はコンサドーレ札幌、2007年は東京ヴェルディでプレーし、2008年は川崎フロンターレと東京ヴェルディでプレーし、2008年の7月にポルトガルリーグに移籍したが、すでに、「今シーズンのポルトガルリーグのMVPはFWフッキで間違いなし。」と言われるほとの活躍を見せているという。
ポジションは右ウイング。右サイドにポジションを取って、そこから仕掛けて数多くのゴールを生み出している。もともと、日本時代だからポテンシャルはずば抜けていたが、欧州に渡ってからも、しっかりと結果を残しており、ブラジル代表にも召集されている。
動いてボールをもらうというタイプではなく、運動量は少な目であるが、これだけドリブルが出来て、シュートが強烈で、その上、パスのセンスもあるとなると、欧州のディフェンダーといえども止めようがない。メガクラブ行きも噂されているが、ヨーロッパカップでさらに上のステージに進むようだと、その評価はさらに高まるだろう。
■ フッキのメッセージFWフッキというと、日本でも話題になっているのが、先日のポルトガルリーグのウニオン・レイリア戦のロスタイムの出来事である。
PKを決めた後、ユニフォームを脱いで「私の心は泣いている。私たちは日本と共にある。共に戦おう!」というメッセージを送ったのである。ユニフォームを脱ぐことは「非紳士的な行為」ということでイエローカードを受けてしまったが、FWフッキはイエロー覚悟で日本の人たちにメッセージを送ってくれたことになる。
FWフッキは3年半ほど日本でプレーしていて、コンサドーレ札幌時代、東京ヴェルディ時代のパフォーマンスは圧倒的で、Jリーグ史に残る助っ人であるが、一方で、2008年のシーズン途中に、川崎フロンターレと東京ヴェルディを相次いで退団したことで「ワガママ」というイメージも強い。
特に東京ヴェルディはシーズン途中に高い移籍金を払ってFWフッキを川崎フロンターレから獲得したが、わずか3か月ほどで退団し、ポルトに移籍。さまざまな混乱を巻き起こしてチームを去って、J2降格の要因となったので、去り際のイメージは良くないが、全く、関係のない試合でこういうメッセージを送ってくれるので、感動的ではある。今後のFWフッキのサッカー人生が、充実したものになることを祈りたいものである。
■ MF本田圭はフル出場も・・・一方、CSKAモスクワはGKアキンフェイフのミスといえる2つの失点で苦しくなって、MFトシッチのゴールで追い上げたが、終盤は反発力もなくて、見せ場は少ないままでヨーロッパカップから去ることになった。シーズンが開幕したばかりということでハンディはあったが、ポルトとの完成度の差は明らかだった。
日本代表のMF本田圭はボランチで先発。相変わらず、安定したプレーを見せており、ボールもよく集まってきたが、ポルトとの第1戦ほどはチャンスは作れず。試合終了間際のフリーキックもクロスバーを大きく超えるシュートミスとなった。
■ 2トップの貢献度CSKAモスクワはこれで敗退となった。これから国内のリーグ戦を戦っていうことになるが、昨シーズンのリーグ戦で2位に入ったことで、来シーズンはCLの出場権を獲得しており、CLに向けて強化を進めていくことになる。当然、MF本田圭にも移籍の噂はあるので、チームに残るのかどうかは分からないが、補強したいのは2トップ。FWワグネル・ラブとFWドゥンビアはともにスピードもあって、国内リーグではゴールも決めているが、似たタイプの選手であり、セルフィッシュなプレーも多くて、CLを戦うには不安なポジションである。
しばしば「フォワードの仕事はゴールすることである。」と言われるが、この2トップを見ていると、「それが仕事も大事だ。」ということを思わずにはいられない。チームメイトを生かすプレーはほとんどなく、自らが仕掛けてゴールを狙うプレーばかりなので、味方もプレーしにくそうであり、MF本田圭も相当にフラストレーションをためていることだろう。
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