■ 開幕戦J1の開幕戦。2年ぶりのリーグ制覇を目指す鹿島アントラーズと、大宮アルディージャの対戦。鹿島はACLの中国遠征から戻ってきて中3日。タフな日程になっている。両チームともオフに充実した補強を行っており、新戦力の活躍に期待がかかる。
ホームの鹿島は<4-2-2-2>。GK曽ヶ端。DF新井場、岩政、伊野波、アレックス。MF青木、小笠原、野沢、フェリペ・ガブリエル。FW興梠、大迫。FWカルロン、FW田代、MF本田拓、DF中田浩らがベンチスタート。
対する大宮は<4-2-3-1>。GK北野。DF杉山、坪内、金英權、村上。MF青木、上田、渡部、藤本、ラファエル。FW李天秀。MFラファエルが左サイドハーフで、FW李天秀の1トップ。プレシーズンマッチの浦和戦と同じスタメンで、大分から加入のMF東はベンチスタートとなった。
■ 鹿島が追い付く試合は開始早々に鹿島がビッグチャンスを作るが大宮のGK北野がビッグセーブを見せる。すると。後半11分に大宮がDF金英權が左足でロングフィードを送ると、FW李天秀が裏に抜け出してゴール。先制に成功する。前半はそのまま1対0の大宮がリードして折り返す。
後半は鹿島が猛攻を見せる。まず後半2分にセットプレーを獲得すると、ゴール前の混戦から日本代表のDF伊野波が豪快に決めて1対1の同点に追いつく。大宮も後半4分にゴール前でフリーキックを獲得すると、MF上田が左足で直接決めて2対1と勝ち越しに成功する。再びリードを許した鹿島だったが、後半13分にコーナーキックからDF岩政が頭で合わせて同点に追いつく。これで2対2と試合は振り出しに戻る。
またしても追いつかれた大宮だったが、後半19分に左サイドでボールを持ったFW李天秀がロングシュート。これが鮮やかに決まって3対2とまたまたリードを奪う。FW李天秀は2ゴールの活躍。しかし、粘る鹿島はロスタイムに右サイドを抜け出したMF青木のクロスからDF坪内のオウンゴールを誘って3対3と土壇場に追いつく。結局、試合は3対3のドローに終わった。
■ 大宮は勝利を逃す鹿島スタジアムではまだ未勝利の大宮は、3度リードを奪ったが、追いつかれてドローに終わった。前半はいい流れで1点リードで折り返したが、後半に入ると、鹿島のセットプレーに対応できなくなって、セットプレーで2失点。MF上田、FW李天秀のゴールで再びリードしたものの、最後の最後でサイドを崩されて追いつかれてしまった。アウェーで鹿島に勝利していれば「アルディージャが大きく変わったこと」を内外にアピールできたので、非常に惜しい試合だったといえる。
大宮にも、186㎝のDF金英權や190㎝のFWラファエルがいて「高さの無いチーム」ではないが、鹿島には、DF岩政、DF伊野波、MFフェリペ・ガブリエルとセットプレーでターゲットになれる選手が多く、またMF小笠原、MF野沢、DFアレックスとキッカーも優秀なため、後半はセットプレーで好き放題されてしまった。3対2とリードを奪った後半31分には、DF村上に代えてDF深谷を投入。高さを注入したが、実を結ばなかった。
■ 上田康太の加入大宮は期待のMF上田がフリーキックで開幕ゴールといいスタートを切った。
ここ数年、大宮はゲームを作れる選手がおらず「ボランチの弱さ」が問題点になっていたが、磐田からMF上田を獲得したことで、チーム力はアップした。鈴木監督もチームの中心の一人として扱っており、ボールもよく集まってくる。昨シーズンの大宮は、MFラファエル頼みになることが多かったが、MF上田が入って試合をコントロールすると、MFラファエルも楽になるだろう。
攻撃では申し分ないMF上田であるが、守備力では劣ってしまう。MF青木とボランチのコンビを組んでいるが、後半にMF青木が疲れてきて動けなくなってからは、MF上田も生きなくなって、中盤で全くフィルターがかからなくなった。後半41分にMF上田に代えてMF金澤を投入したが、少し遅かった印象があって、もう少し、うまく交代ができていれば、逃げ切れた試合であったように思う。この試合に関しては、鈴木監督の選手起用に冴えがなかったといえる。
■ 李天秀が2ゴール大宮はFW李天秀が2ゴールの活躍。プレシーズンマッチの浦和戦では持ち味を出し切れなかったが、この試合の先制ゴールで波に乗って、自身2点目のゴールはスーパーゴールだった。昨シーズンはシーズン途中の加入で16試合で2ゴールに終わったが、早くも昨シーズンの数字に並んだことになる。
大宮は<4-2-3-1>になって、MFラファエルが左サイドに入って、FW李天秀の1トップの形になっている。1トップタイプではないので、「これはどうか?」と思ったが、見事にFW李天秀は結果を残した。一方でFWラファエルが消えてしまっていたので、攻撃陣はまだしっくりきていないが、タレントは揃っていて、ベストユニットが見つかると、J1でも上位クラスの攻撃陣になるだろう。
■ 新戦力を生かし切れないアントラーズACLの影響があったのか、鹿島は3度リードを奪われる苦しい展開となった。しかし、セットプレーから2度追いついて、最後はオウンゴール。鹿島らしい粘りの戦いで、何とか勝ち点「1」を拾った試合といえる。前半はあまりい出来ではなかったが、後半はMF小笠原を中心に攻め込んで、結局、シュート数は24本と13本の大宮を大きく上回り、力を見せつける展開にはなった。
ただ、やはり気になるのは、大型補強の成果があまり見られないところであり、新加入組でスタメンに入っているのはDFアレックスだけ。FWカルロンも、FW田代も、MF増田も、MF西も、MF本田拓もスタメンではないので、昨シーズンまでのメンバーとほとんど同じであるが、FWマルキーニョスがアウトで、FW大迫が入っている分だけ、プラスマイナスで言うとマイナスになっている。
DF西は怪我をしており、またMF本田拓は代表の影響で合流が遅れたという事情もあるが、あまりスムーズに新戦力を組み込むことが出来ていない。数年前までは、MF小笠原、MF本山、MF中田浩、DF新井場といった79年組が元気で、新戦力が入ってきても、試合で使いながらあわせていくことが出来たが、彼らもベテランの域になってきて、自分自身のパフォーマンスを維持するのに労力が必要な状況になってきており、チームメイトを助ける余裕がなくなってきている。
オリベイラ監督は、新戦力や若手の起用には消極的なタイプであり、せっかくの戦力を生かし切れないままでシーズンが進むようだと、チームの未来も暗くなってしまう。
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