■ 選手名鑑3月5日にJリーグが開幕するが、それに合わせて、「サッカーマガジン」と「サッカーダイジェスト」から2011年の選手名鑑が発売された。サッカー観戦には必須のアイテムであり、毎年、両方の選手名鑑を購入しているが、個人的には、サッカーダイジェストの方が見やすいと思うので、こちらをお勧めしたいが、両方買ってみて見比べてみるのも面白い。
両誌ともに、いろいろなデータが載っているが、ひそかに、毎年、興味を持っているのが「利き足」の項目である。もちろん、ほとんどの人は「右足」か「左足」なのであるが、時々、「それ以外のこと」が書かれている選手がいる。2011年のサッカーダイジェストの選手名鑑で調べてみると「それ以外」だったのは、漏れがなければ、以下の選手達だけである。
・FW ケネディ (J1:名古屋) → 両足 (&頭)
・GK 高木義成 (J1:名古屋) → 両足
・DF 小宮山尊信 (J1:川崎F) → 両足
・MF ジョンパウロ (J1:新潟) → 両足
・FW ラファエル (J1:大宮) → 両足
・MF 藤本主税 (J1:大宮) → 両足
・DF 内山俊彦 (J1:甲府) → 両足
・MF 成岡翔 (J1:福岡) → 両足
・FW 内村圭宏 (J2:札幌) → 両足
・DF ストヤノフ (J2:岡山) → 両足
・GK 多田大介 (J2:鳥取) → 両足
「利き足は頭」というのは、長身でストロングヘッダーの専売特許であり、浦和レッズ時代の盛田剛平の印象が強いが、その後は、ジェフ千葉のFW巻誠一郎に引き継がれていた。そもそも、言いだしっぺは盛田という認識で間違いないのだろうかとか、外国でもそのネタは通用するのだろうかとか、気になる部分もあるが、FWケネディは17ゴール中、右足が7点、左足が2点、頭が8点。十分に「利き足は頭」と語る資格はある。
他の選手は「両足」となっている。もともと「右利き」で、「左足」も練習を重ねて同じくらいのレベルになったのため「両利き」で回答している選手が多いように思えるが、DFストヤノフあたりは、左足のロングパスの精度も非常に高いので「左利き」と言われても不思議はない。
■ 右利きと左利き①上記の選手以外で「両利き」といってもおかしくないのは、横浜FCのFW三浦知良。今年は「右利き」になっているが、「両利き」になっていたこともあったように記憶している。日本代表時代は、右足でも、左足でも、同じくらいの精度で「コーナーキック」を蹴っていたので、代表クラスになるとそれが当たり前だと思っていたが、後になって、そういう選手は稀であることに気付かされた。
ほかには、岡本英也(福岡)、金信泳(甲府)、藤田健(前甲府)あたりが、「両足」と記載されたことがあったと記憶している。また、FW坂田大輔(アリス)、MF小野伸二(清水)も、左右両方の精度が高いので「両利き」といっても違和感はない。
■ 右利きと左利き②左右両方とも自在に扱えるようになるのがベストではあるが、なかなかそうもいかない。そんな中で、「利き足がどちらなのか分かりにくい選手」は優秀な選手といえる。
利き足を勘違いされやすい選手として名前を挙げたいのは、元日本代表のDF都並敏史氏と相馬直樹氏。ともに左サイドバックで一時代を築いた選手であるが、左足の精度も高かったので「左利き」と誤認識されることもあるが「右利き」である。
現役の選手では、2010年のJ1の得点王のFW前田遼一(磐田)。「右利き」であるが、2010に挙げた17ゴールのうち、右足が3ゴール、左足が5ゴール、頭が9ゴールという振り分けで、左足のゴールの方が多かった。左足のシュートも上手である。また、ドルトムントのMF香川真司も、左足のシュートがうまくて、右足と左足でシュート精度はほとんど変わらない。ドルトムントで挙げた12ゴールのうち、右足が5点、左足が5点、頭が2点と、バランスがいい。逆に、J1の得点ランキング上位の選手では、MFマルシオ・リシャルデスは16ゴール全てが右足でのゴールである。
■ 右利きと左利き③サッカー選手の場合、「左利き」は優遇される傾向にある。一昔前の左足に特別なこだわりを持つ選手は、右足で蹴れそうな場面でも、右足を使わずに、左足だけで済まそうとした。日本では名波浩(元磐田)、小倉隆史(元甲府)がその典型であり、MF名波は「右足はおもちゃである」と公言していた。
左利きの選手の場合、右足のキックの精度が低くても「ご愛嬌」で済まされるケースがあるが、反対の場合はそうはいかない。理由は分からないが、そういう雰囲気がある。
MF名波やFW小倉とは反対のパターンで、「右利きで左足がほとんど使えない選手」の代表例は、セレッソ大阪のMF乾貴士。コンビを組んでいたMF香川真司と全く逆で、左足でシュートが打てそうなシーンでも、右足にボールを持ちかえることが多い。2008年はJ2で6ゴール、2009年はJ2で20ゴール、2010年はJ1で4ゴールを挙げているが、右足以外でのゴールはゼロなのでは?と思う。
彼の場合、ボールタッチが並外れて柔らかいので、持ち替えてもなんとかなるので、大きな問題にはなっていないが、あれだけうまい選手がほとんど左足を使えないというのは不思議である。「利き足」と「その反対の足」との落差で考えると、MF乾を超えられるのは、チームメイトのMF酒本憲幸くらいかもしれない。
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