■ 香港戦東アジア選手権の第2戦。初戦の中国戦を引き分けた日本代表は、香港代表と対戦。香港は初戦の韓国戦は0対5で敗れている。
日本のスタメンはGK楢崎。DF内田、闘莉王、中澤、駒野。MF遠藤、今野、小笠原、中村憲。FW大久保、玉田。FW岡崎、DF長友が欠場。FW平山はベンチスタート。
■ 3対0の勝利いくつかのチャンスを作りながらも先制ゴールを奪えなかった日本であるが、前半41分に相手のクリアミスからFW玉田が無人のゴールに流し込んで先制。前半は1対0で終了。
後半開始からFW平山を投入。中央で起点が出来始めると、後半20分にMF遠藤のCKをDF闘莉王が合わせて追加点。さらに、後半41分にもコーナーキックからFW玉田が決めて3対0。FW玉田は2ゴール。結局、3対0で勝利し、中国と並んで首位となった。
■ 厳しくなった東アジア制覇前半は悪い流れを引きずっていて、0対0のままで折り返すかと思われた前半41分に香港のクリアミスからFW玉田が決めて待望の先制点。もし、0対0のままで折り返していたら、ムードは最悪なものになっていただろうゲーム展開だっただけに、FW玉田のゴールは大きかった。
これで、1勝1分け。中国が香港戦で勝利を逃がす可能性は低く、日本が韓国に大勝する可能性は高くはないことを考えると、東アジア制覇にどれだけの価値があるのかは不明であるが、初の東アジア制覇は厳しいものになったかもしれない。
■ 平山投入の効果後半開始からFW平山が投入されると、ようやくリズムが良くなった。FW平山が入ると、中央に相手DFを引きつけることが出来るので、周りの選手も動きが良くなったように見せる。高さが生きるシーンはそれほど多くはなかったが、ポストプレーは安定していた。
ただ、FW平山自身にチャンスシーンがありながら、決め切れなかった点は大きなマイナスである。ゴールを決めていれば岡田監督にアピール出来ただろうが、どうしても微妙な評価になってしまう。1月初めのイエメン戦から活動していたので、コンディションがあまり良くないようで、肝心のゴール前での強さが見られない状況である。
大型選手がFW平山以外にはいない状況であり、チャンスであるが、もう一つ、生かしきれていない。
■ 日本代表をどう評価するのか?若手主体のイエメン戦を除くと、これで3試合が終了した。いずれもホームの試合であることを考えると、3試合で1勝2分けという成績は褒められたものではない。
実際問題として、ここ最近、「日本代表をどう評価するのか」というのは、非常に難しいテーマになっている。例えば、昨年の9月にオランダ代表に0対3で敗れた試合と、今日の香港戦で3対0で勝利した試合を比較してみても、どちらの試合が収穫が多かったかというと、昨年のオランダ戦であることに違いはないが、どうしても、相手に関係なく、「勝てばOK」、「敗れればダメ」という空気になってしまう。
最終目標が南アフリカワールドカップの本大会となるが、それまでの過程で、常に相手がベストメンバーというわけでもなく、日本代表の選手たちのコンディションが全ての試合で万全というわけでもない。日本代表を評価しようとする場合、基準となる相手の強さやコンディションを含めた自分たちの状況が試合ごとに、大きく変動するので、本当に上手く強化が進んでいるのか、上手く進んでいないのかが、はっきりとは見えない。これが、決定的に評価を難しいものにする。
■ 日本代表チームに関する幻想Jリーグのクラブに置き換えると、今は、だいたい、シーズン前の練習試合が始まったくらいの状況であり、試運転の段階であることを各クラブのサポーターは理解しており、内容や結果についてそれほどこだわる必要のないということを誰もが理解している。ただ、あまりサッカーにくわしくない層が多くなる日本代表の試合に関しては、その当たり前のような理論が、適用されることはない。
結果として、全ての試合でパーフェクトな勝利を求めてしまうサポーターが大多数となる。これは、2002年のW杯以後にメディアがすべきだった事を怠って来たことの代償ともいえるが、いい傾向とはいえない。
また、現段階では、本大会でグループリーグを突破できるか、否かが、成功と失敗の1つの境目であるとは言えるが、現実的に考えてもなかなか難しい。ワールドカップのたびにグループリーグ突破の期待が高まるのは結構なことであるが、大方の人の期待を裏切った時の反動も小さくはない。
FIFAランキングなどを考慮すると、どう考えても、日本代表の総合力は32チーム中で20番台後半くらいの位置である。オシム前日本代表監督はかつて、
「夢ばかり見て、その後で現実に打ちのめされるより、現実を見据え、現実を徐々に良くしていくことを考えるべきだろう?」と語っているが、日本代表の現実がどのようなものであるのか。ヒステリックな批評や、私怨に基づいた批評、ミスリードを引き起こすような批評は、結局、その先にはつながらないような気がする。右肩上がりの時代は過ぎて安定の時代に入った中、分かりやすい時代は過ぎて、観る側のレベルアップも求められる。「Yes」か「No」かだけで、4年ごとにリセットを繰り返すことは得策ではない。もちろん、その能力は、日本サッカー協会にも求められるものである。
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