■ 第10節第9節でコンサドーレ札幌に1対4で敗れて今シーズン初黒星を喫したセレッソ大阪。第10節はアウェーで昇格組のカターレ富山と対戦。
ホームの富山は第9節で同じく昇格組のファジアーノ岡山を2対1で下して2勝目を飾った。システムは<4-4-2>。GK中川。DF西野、濱野、堤、舩津。MF渡辺、長山、朝日、上園。FW木本、永富。
アウェーのC大阪は<3-6-1>。GKキム・ジンヒョン。DF藤本、チアゴ、江添。MFマルチネス、羽田、酒本、石神、乾、香川。FW柿谷。開幕から9試合連続スタメンを続けていたFWカイオが怪我のため欠場。FW柿谷が今シーズン初スタメン。
■ スコアレスドロー大雨の中での試合となったこの試合は、大方の予想通りに前半からC大阪がボールをを支配して富山が守る展開となる。しかし、C大阪の攻撃は雨の影響もあって精度を欠き、なかなか決定的は作れない。
後半開始からC大阪はDF藤本に代えてMF黒木を投入し、ポゼッション力を高めて攻め込む方針を取るが、富山のGK中川の堅守もあって最後までゴールは奪えず。C大阪にとっては悔いの残る勝ち点「1」、一方で富山にとっては首位を走っていたC大阪から勝ち点を奪うという自信が芽生える可能性のある価値あるドローとなった。
■ 現実的なサッカーJ2で№1の攻撃力を誇るC大阪を無失点に抑えた富山は、この試合の結果を含めて10試合でわずかに8失点のみと堅守が光っている。ディフェンス陣に特に際立つ選手はいないが、全員の守備意識が高く、現実的なサッカーをしていることが好結果を生み出している。
同期加入組では、栃木が17位、岡山が18位と苦戦しているが、富山は14位と1年目としては十分な成績を残している。
そのチームの哲学の問題なので、いいのか、悪いのかを簡単に結論付ける事は出来ないが、自分たちの良さを前面に出して戦おうとする栃木や岡山に対して、富山のサッカーは相手の事をしっかりと研究して、不細工ではあっても勝ち点を積み重ねていこうという意識が読み取れる。
■ ドリブル突破が光るMF朝日一方の攻撃陣は、リーグワースト2位の6得点のみと結果は出ていないが、2列目に入るMF朝日とMF上園のプレーは十分にJ2でも通用することが明らかになっている。
特にMF朝日のスピードあふれる突破は相手からすると非常に厄介であり、ゲームメーカーのMF上園とのコンビネーションは一目の価値がある。
■ 不発のトライアングル一方のC大阪は札幌戦の嫌な流れを払しょくしたい試合であったが、空模様と同様にスッキリしない試合となった。
FWカイオが戦線を離脱したため、FW柿谷が今シーズン初スタメン。日本代表のMF香川、MF乾と組む前線のトライアングルが注目されたが、富山のゴールをこじ開ける事は出来ず、FWカイオの穴を埋める事は出来なかった。
■ 柿谷曜一朗に居場所はあるのか①期待されたFW柿谷は極端に出来が悪かったわけではないが、チームを有効に機能させることは出来ず、FWカイオ不在の大きさを感じさせた。FW柿谷はボールを持った時はイマジネーション溢れるプレーを見せる事はあるが、いかんせん、球離れや判断力にも大きな課題を抱える。また、ボールを持たないときのプレーは、プロの選手としては致命的なレベルであるといえる。
前線に入るFWカイオの絶え間ない前からのチェーシングはC大阪の守備を引き締める上で大きな役割であったが、この試合でFW柿谷が前線からボールを追い回して守備面で貢献しようという意欲が見えたシーンはほとんどなかった。FW柿谷くらい若い選手であれば、もっとがむしゃらにプレーしてもいいように思えるが、なかなか、プレーに対する意欲が見えないところが不思議な部分でもある。
FW柿谷、MF乾、MF香川の3人はテクニックがあってイメージが共有するシーンが多く、仮に試合を重ねていけば、今以上のコンビネーションを見せる可能性もあるが、逆に、イメージが似通っているだけに攻撃に幅をもたらすことは出来ず、ショートパスが中心で足元だけでボールを回す膠着状態に陥ってしまった。FW柿谷が裏のスペースに飛び出すシーンもほとんどなく、富山のDFとしては守りやすかっただろう。
■ 柿谷曜一朗に居場所はあるのか②名前だけを見ると、この若いトライアングルは魅力的であるが、「もっと効率的にゴールを奪う必要がある。」と考えると有益ではないだろう。FW小松塁の復帰が迫ってきており、普通に考えると、当面は、FW小松、MF乾、MF香川の前線に落ち着くだろう。
ここ最近のトレンドとして、テクニックのある小型の選手をトップに置く1トップ(あるいはゼロトップ)の戦術が普及し始めているが、大前提としてトップに近いエリアでプレーする選手が運動量があって、攻守に貢献できる選手である必要がある。残念ながら、現状のFW柿谷では苦しいだろう。
むしろ、FW柿谷にとって勝負すべきポジションは2シャドーの位置であり、このポジションの方が自身の持ち味を発揮しやすいだろうと思われるが、ただ、このポジションでレギュラーを奪うのは至難の業である。
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