■ J2第8節J2は第8節。開幕7試合負けなしで首位を走るセレッソ大阪はまだ勝ちの無いファジアーノ岡山と対戦。
C大阪は<3-6-1>。GKキム・ジンヒョン。DF藤本、チアゴ、江添。MFマルチネス、羽田、酒本、石神、乾、香川。FWカイオ。
対する岡山は<4-4-2>。GK李彰剛。DF澤口、竹田、植田、尾崎。MF小野、保坂、喜山、妹尾。FW小林、西野。
■ 7勝目のセレッソ試合の前半は岡山がハイプレッシャーをかけて互角の勝負となるが、前半30分を過ぎるとその勢いがやや薄れてきて、C大阪がチャンスを作り出すようになる。
前半40分には右サイドに大きく展開し、右サイドに待っていたMF酒本がアーリークロス。ニアサイドでFWカイオが合わせてC大阪が先制する。
さらに前半終了間際にもカウンターアタック。フィールド中央でFWカイオがうまく相手をかわしてフリーになるとドリブルで前進。最後は、右サイドのMF乾にスルーパス。そのボールをMF乾が落ち着いて決めて2点目を奪う。
C大阪は後半2分にMF乾のパスからMF香川が決めて3点目。後半25分にもMF乾のパスからMF香川がGKまでかわして無人のゴールに流し込んで4点目。
岡山はFW西野のPKで1点を返すが、奪ったゴールは1点のみ。C大阪が昇格組との力の差を見せつけて4対1で勝利した。
■ 1ゴール2アシストの乾貴士C大阪は1月のイエメン戦で日本代表デビューを果たしたMF乾が1ゴール2アシストの活躍。ゴールシーン以外でも数多くの得点チャンスを作っており、文句の付けようの無い出来だった。
FWカイオ、MF乾、MF香川の前線のトライアングルの破壊力が注目されるC大阪であるが、その中でも今シーズンはMF乾のパフォーマンスが際立っている。昨シーズンまでしばしば見られた無理にドリブルで仕掛けるシーンは減って、90分間を通して落ち着いたプレーを見せていて、C大阪のビッグチャンスのほとんどはMF乾を経由したものである。
MF乾のもっとも優れている部分は、味方からボールを受けて攻め込む時に、いとも簡単に前を向いて次のプレーに取り掛かることが出来る点にある。技術とスピードを駆使して味方からのパスが難しいボールであっても、リカバーして最大限の力が発揮できる状態に持ち込むことが出来る。チームメイトのMF香川や川崎FのMF中村憲もうまいが、現在の日本人のMFの中ではMF乾が一番うまい。
■ カウンターから3ゴール先制ゴールを奪ったあとの2点目、3点目、4点目のゴールは全てカウンターからのゴール。前線にスピードと運動量とイマジネーションを兼ね備える3人のアタッカーがいるC大阪が最も力を発揮できるパターンとなった。
岡山としては前半は高い位置でプレスをかけて一気に先制ゴールを奪ってC大阪の焦りを誘いたかったが、守備面では健闘したものの攻撃では厚みのある攻撃は出来ず、思い通りに試合は進まなかった。
攻撃的なチームといわれるC大阪であるが、スタメンを見ると攻撃的なタイプの選手は前線の3人と右サイドのMF酒本くらいであり、他の選手はMFマルチネスを含めて、まずは守備をベースに仕事をこなす選手である。攻撃に関してはまだ余力がある状態で戦っているC大阪に対して、どのチームがフルパワーを引き出すか。
■ 決定的な場面で・・・1対4というスコアに終わったが、岡山にも得点チャンスが無いわけではなかった。この日のC大阪のディフェンスラインはかなり不安定で、集中力を欠くシーンも多く、前半に2度、岡山のFW小林がGKと1対1のシーンを作った。
「FW小林のシュートが決まっていれば・・・。」という感じもするが、C大阪のGKキムの飛び出しが素晴らしく、シュートコースも多く残っておらず、決定的なチャンスではあったが、それほどイージーにゴールを奪うことが出来る状況ではなかった。
「決定力」という言葉は非常に曖昧な言葉なので、何かの拍子に劇的に改善するものであるかのように思われているが、個々の選手が潜在的にも持つ「決定力」は「身長」と同じようなもので、例えば、シュート練習を行ったからといって、向上するものでもない。
ただ、同じ決定機でも、完全なGKと1対1となるシーンと、横に味方選手がいてパスを出すことも可能な2対1のシーンではゴールにつながる確率が大きく異なるのと同じで、個人のがんばりで決定機の質を向上させることは可能である。
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