■ 優勝候補筆頭はガンバ大阪2008年はかつてないほどの混戦となったが、結局、鹿島アントラーズが2連覇を達成した。そして、2009年シーズンだが、オフにFWレアンドロ、FWチョジェジン、DF高木和道らを加えたガンバ大阪が優勝候補の筆頭とみる。
FWバレーを失った後、ストライカー不足に苦しんだが、それでもMF遠藤、MF明神、FW山崎らの活躍でACLを制覇。クラブW杯も3位に入り、天皇杯も制するなど、チームとしてのたくましさが出てきた。
大型補強の影響で予想スタメンから外れてしまうFW播戸、MF二川らのモチベーションをどう保つのかは長丁場の戦いではポイントの1つとなるが、果たして西野監督はうまく選手たちを操縦できるだろうか?
逆に、これだけのメンバーで無冠に終わればそれこそ「大問題」といえるほどメンバーは揃った。
■ 継続性の強みを持つ鹿島アントラーズガンバ大阪に次ぐ存在は、2連覇中の鹿島アントラーズ、効果的な補強を行った清水エスパルス、関塚監督が復帰した川崎フロンターレと考えられる。
鹿島はリーグ2連覇中だが、ACLでは浦和に続いてG大阪にも先を越されてしまった。ACLの発展で、リーグ戦の王者だけでは満足できないという風潮が生まれてきており、今シーズンは、プライドを保つためにも、全力でACLを取りに行かなければならないだろう。これが、リーグ戦においてはマイナスに作用する可能性はある。
戦力的なプラスアルファといえるのが、水戸から獲得したMFパク・チュホ。チーム史上初めてのブラジル人以外の外国籍選手となるが、左サイドやボランチでユーティリティーな活躍が予想される。伝統の<4-2-2-2>で、攻撃的MFにはMF本山、MF野沢、MFダニーロ、MF増田らの起用が考えられるが、いずれも縦に突破していくタイプではないため、MFパク・チュホのサイドアタックにかかる期待は大きい。
今シーズンも、CLとリーグ戦との並行して戦うことになるが、他クラブと比べてオフの大きな動きはなく、チームの土台は出来ている。継続性の強みがある。
■ 前線がパワーアップした清水エスパルスFWヨンセン、FW永井、DF太田を獲得した清水は、悲願のリーグタイトルの可能性は高くなった。2008年は開幕からFWチョ・ジェジンの穴を埋めきれずに苦しんだが、後半になるとFW岡崎を筆頭にMF枝村、FW原、MF山本ら若手が急成長。結局、5位に食い込んだ。
オフは、FWチョ・ジェジンの後釜のターゲット役として最適なFWヨンセンを獲得。日本代表でも著しい成長を見せるFW岡崎との2トップは、双方が献身的で中盤のタレントを生かす術も心得ている。また、浦和から獲得したFW永井もレギュラー取りを目指して奮起するだろう。ここ数年の課題だった前線は著しくパワーアップした。
不安材料は日本代表のDF高木の穴になるだろう。現状ではDF岩下の起用が濃厚となっているが、バックアップも含めてやや手薄であり、DF青山のさらなる成長が求められる。いずれにしても、スタート奪取に失敗することなく順調にシーズンを過ごすことが出来れば、サポーターが求める結果を勝ち取ることが出来るだろう。
■ タイトル獲得が期待される川崎フロンターレ今オフ、即戦力といえるのがFW矢島くらいで静かなオフとなった川崎フロンターレ。最大の補強は名将の関塚監督の復帰だと思われる。2008年シーズン途中に体調不良のため無念の辞任となった関塚監督の体調が戻って指揮官に復帰。百戦錬磨の監督の復帰は心強い。
注目点は、2008年シーズン後半に著しくバランスを欠いた前線の組み合わせと機能性になる。FWジュニーニョ、FWレナチーニョ、MFヴィトール・ジュニオール、FWチョン・テセのカルテットは、はまった時には大変な破壊力を見せたが、その一方で過度な個人技が目立ち、それぞれの持つ能力が上手くチームに還元できていなかった。
前任者の高畠監督はうまくブラジル人選手をコントロール出来なかったが、チームを知り尽くす関塚監督ならば、うまくマネージメントを行って、以前のような機能性を取り戻すことだろう。今期はACLもあって選手層にやや不安を抱えるが、リーグ戦、ナビスコ、天皇杯、ACLとどれか1つくらいタイトルを取っても全く不思議ではない。
■ 上位をうかがうFC東京G大阪、鹿島、清水、川崎Fに次ぐ存在は、FC東京。昨シーズン、城福監督の下で飛躍的な成長を遂げたチームは、MF今野とFWカボレを軸に、MF梶山、FW赤嶺、FW平山、MF大竹、DF長友とノビしろのある若手選手が揃っている。
2008年を振り返ると、6位という好成績を残したが、必ずしも、城福監督が望むサッカーがシーズンを通して披露できたというわけではなく、むしろ、思い通りにいかないことが多かった。ただ、チーム全体にタフさが出てきて、きわどい勝負をものにする精神的な成長が目に付いた。
Jリーグから4チームがACLに出場する中、リーグ戦だけに集中できるFC東京は非常に優位な立場にあり、一気にリーグタイトル獲得という可能性もあるが、その最低条件として、FWカボレが万全であることと、最終ラインの安定が求められる。
■ ピクシー2年目の名古屋グランパスストイコビッチ監督の下、2年目を迎える名古屋も面白い存在である。
昨シーズン3位でACLにも出場するが、アジア制覇のためにFWダヴィとDF田中を獲得。サイド攻撃主体のチームだが、FWヨンセンというターゲットマンを外して万能タイプのFWダヴィを加えたことは1つのギャンブルであるが、もし、FWダヴィがうまく機能するようだと破壊力は増大する。
補強の一方で、MF藤田やDF米山といった計算できるベテランを切ってスリム化を果たした。このことが吉と出るのか、凶と出るのかは分からないが、FW久場、MF田口、MF平木といった期待の新人が活躍する可能性は大きくなった。これまでの外部の即戦力だけに頼る戦力補強からの変化を感じさせた。
昨シーズン、著しい成長を遂げたMF小川、DF阿部、DF吉田といった若手がどれだけ昨シーズンの調子を維持し、アジアの舞台を戦う中でどこまで実力をアップさせることが出来るのかにも注目したい。
■ フィンケ監督に注目の浦和レッズ優勝候補に挙げたい7つのクラブのうちのラストに浦和レッズを挙げたい。2008年は7位と近年では最悪のシーズンを過ごしたが、オフに安易な補強に走らず、未来を見据えたチーム作りを行おうとする意志は評価できる部分である。
FW永井、MF相馬が抜けたものの、MFポンテ、FW高原、DF闘莉王、FW田中達、MF阿部、MF三都主とメンバーは揃っており、現有戦力だけでも十分にJ1のトップレベルである。また、若手のFWエスクデロやFW原口といった選手の活躍するシーンもあるだろう。
不安点の1つはフィンケ監督になるだろうか。彼がドイツで実績のある指導者であることは明白で、チームを改善しようとする意欲は買えるが、昨シーズンまでの問題点を全てフィンケが解決できるかといったらそうではないだろう。仮にフィンケ監督のチーム作りが失敗したとき、取り返しのつかない事態になる可能性も少なからず残っている。
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