■ 目立つ若手の欧州進出今夏のJリーグの移籍市場で目立つのは「日本人の若手選手の海外進出」になる。MF久保建(FC東京→Rマドリー)とMF安部裕(鹿島→バルセロナ)の移籍は日本国内のみならず、世界中で話題になったが、他にもGKシュミット・ダニエル(仙台→シントトロイデン)やFW鈴木優(鹿島→シントトロイデン)やDF安西(鹿島→ポルティモネンセ)やFW前田大(松本山雅→CSマリティモ)なども欧州に進出することになった。
他にもDF菅原(名古屋→AZ)やMF中村敬(G大阪→トゥウェンテ)の移籍も確定した。MF天野純(横浜FM→ロケレン)の移籍は他と比べるとやや異なるが『若くて将来性を高く評価されている日本人の獲得』を目指す欧州のクラブが増えてきており、Jリーグで十分な出場機会を得られていない選手にオファーが届くことも珍しくなくなっている。「代表の主力クラスの選手」がターゲットだった時代とは様変わりしている。
これだけ若い選手が簡単に海外に進出する時代(=進出できる時代)になると各クラブも将来のビジョンを描きにくくなる。名古屋からAZに移籍したU-20日本代表のDF菅原はユース時代から特大級の注目と期待を集める年代別代表プレーヤーであり、「DF菅原がいれば名古屋の右SBは当分の間は安泰」と言えたがほとんど名古屋のトップチームで右SBとしてプレーすることなくオランダの名門クラブに旅立っていった。
■ 主力の流出に苦しむ鹿島MF中島翔やMF南野やMF堂安やDF冨安など日本代表の主力として活躍している選手がJリーグで実績を積む前に欧州に渡って大きな成功を収めていることが、今、日本人の若手にオファーが殺到している最大の理由と考えられる。MF久保建は別格になるが、DF菅原やMF中村敬などが移籍先で主力として活躍して評価を高めてより大きな規模のクラブに移籍するようだとこの流れはさらに加速するだろう。
すでにFW西川潤(桐光学園高)あたりにも欧州のクラブは関心を寄せているが「近い将来の主軸候補」と考えていた選手が次々に引き抜かれるとクラブは大変である。FW前田大が抜ける松本山雅、MF中村敬が抜けるG大阪、DF菅原が抜ける名古屋あたりのプランは大きく崩れてしまったが昨今の流れに最も悩まされているのは鹿島になる。若手の欧州進出の流れは止まらないどころか加速している。
「すでにFW上田(法政大)やFW染野(尚志高)の獲得に成功している。」とは言ってもこれほど次々に有望な選手が抜けていくと鹿島と言えども大変である。明らかに需要と供給のバランスが崩れており、Jリーグの名門クラブは危機的な状況を迎えつつあるが、3人の選手を欧州に送り出したことでかなりの額のお金を受け取っているはず。夏の動きに注目が集まったがまずはMF小泉慶(柏)の獲得に成功した。
■ ボール奪取力に定評のあるボランチMF小泉慶というと「新潟のイメージ」が強い。2014年から2017年まで新潟の主力として活躍して2018年に柏に移籍。2018年はJ1で27試合に出場するなど主力としてプレーしたが今シーズンはJ2で1試合の出場のみ。13分のプレー時間にとどまっている。ベンチに入る機会も少なくて「構想外に近い扱い」を受けていたので今夏の動向が注目される選手の1人だったが「鹿島への個人昇格」というのは驚きだった。
今シーズンの柏はMF大谷、MFヒシャルジソン、MF小林祐、MF小泉慶と守備に特徴のあるボランチが多かったが、今夏の移籍市場でベテランのMF三原雅(神戸)を獲得。ネルシーニョ監督のサッカーを熟知したベテランは23節の金沢戦(H)でいきなりスタメン出場。素晴らしいプレーを見せた。もともとMF小泉慶の立ち位置はかなり厳しかったがMF三原雅が加入して活躍したことでさらに難しい立ち位置になった。
「移籍の可能性は高い。」という状況だったので「どこが移籍先になるのか?」が注目点だったが鹿島というのは想定外だった。今シーズンはMFレオ・シルバとMF三竿健がボランチの軸になっており、MF永木は最近は右SBに回っている。大卒ルーキーのMF名古がいて、MF白崎もボランチでプレー可能。「右SBの即戦力を獲得してMF永木をボランチに戻す。」というのがあり得る方法だったがボランチを強化して来た。
■ 課題は攻撃面鹿島にとって今夏の補強の優先度的には「ボランチはあまり高くない。」と思われていたのでサプライズだったが「鹿島らしい補強」と言える。今シーズンは柏で出場機会に恵まれなかったがMF小泉慶はボール奪取力に長けた選手であり、新潟時代は右SBでプレーするケースも多かった。「ボランチだけでなく右SBでもプレー可能」という点が鹿島のフロントには魅力に感じたのだろうと推測できる。
鹿島はボランチの選手に「ボール奪取力の高さ」を求める傾向が強いので鹿島のサッカーにハマる可能性は高いと考えられる。高卒1年目から新潟で主力として活躍して来たので経験値は豊富であるがまだ24才。「若手とも言える年齢である点」も魅力に感じたのだろう。今後、攻撃的なポジションの補強も間違いなく実施されると思うが、まず最初の補強としては「いい補強が出来た。」と言えるだろう。
彼の課題は明確で攻撃面になる。「ビルドアップは課題」とずっと言われてきたがこの点はなかなか向上しなかった。新潟でSBに回るケースが少なくなかったのも「攻撃面での物足りなさ」が理由の1つだった。「攻撃に特徴があって守備が苦手だった選手が試合に出続けることで守備力がアップするケース」は多々あるが、その逆で「攻撃が不得意だった選手が攻撃力を身に付ける。」というパターンは少ない。
→ 2019/07/07 【移籍市場】 崩壊の危機を迎える名門・鹿島アントラーズ
★ 現在の投票数 → 56票
→ 最大で20件まで選択して投票することができます。
→ 「コメント」のところは何も書かなくてもOKです。(投票可能です。)
関連エントリー
2019/06/29 【Jリーグ】 独断と偏見で選んだ「カッコいいと思うチャント」 (10選)
2019/06/29 【Jリーグ】 独断と偏見で選んだ「カッコいいと思うチャント」 (エクストラ)
2019/07/01 【J1】 ポジション別の評価ランキング (1位-10位) (GK編)
2019/07/18 【J1】 ポジション別の評価ランキング (1位-10位) (右SB/WB編)
2019/07/18 【J1】 ポジション別の評価ランキング (1位-10位) (CB編)
2019/07/18 【J1】 ポジション別の評価ランキング (1位-10位) (左SB/WB編)
2019/07/21 【J1】 ポジション別の評価ランキング (1位-10位) (ボランチ編)
2019/07/22 【J1】 ポジション別の評価ランキング (1位-10位) (アタッカー編)
2019/07/22 【J1】 ポジション別の評価ランキング (1位-10位) (フォワード編)
2019/07/22 【J1】 2019年シーズンの記事一覧 (まとめ)
- 関連記事
-