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コロナウイルス:なぜみんな間違っていたのか。このウイルスは「新しいウイルス」ではない。「免疫がないというおとぎ話」


「さらに間違っていたのは、“人々がこのウイルスに対してすでに何らかの免疫を持っていることはないだろう”と主張することだ」このウイルスに対する免疫反応は誰が考えているより強力だ

<記事原文 寺島先生推薦>
Coronavirus: Why Everyone Was Wrong. It is Not a “New Virus”. “The Fairy Tale of No Immunity”
"It was even more wrong to claim that the population would not already have some immunity against this virus." The immune response to the virus is stronger than everyone thought


グローバルリサーチ 2020年7月2日
ベダ・M・スタッドラー
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2020年7月28日




 この記事の元記事は、スイスの雑誌「今週の世界」6月10日号に掲載された。論者のベダ・M・スタッドラー氏は、ベルン大学免疫学研究所の元所長であり、生物学者で名誉教授でもある。スタッドラー氏はスイス医療界の重鎮。彼はまた人を挑発するような言い方を好んでする。だからといって、読者は、氏が指摘する重要なポイントを見落とすことはないであろう。この記事は、スイスについての記事であり、他の地域が同じ状況であるとは言えない。私は、それぞれの地域が、それぞれの地域に応じた措置をとるべきだと考えている。そして、抽象的なモデルではなく、真の数値をみつめることを主張している。さらに、読者にはこの記事を最後まで読んで欲しい。というのも、スタッドラー氏は、新型コロナウイルスの検査について非常に重要な論点を指摘しているからだ。

情報サイト「Medium」のBack to Reasonへ
2020年6月2日
投稿されたもの



 これは告発するための記事ではない。(現状を)情け容赦なくしっかり吟味するための記事だ。(まず)私は自分自身を平手打ちした方がいいようだ。というのも、私はずっと長い時間冷静さを欠いたままコロナウイルスを見つめてきたからだ。同時に私は、Covid-19についての議論を今までウイルス学者や疫学者たちに任せっきりにしてきた免疫学の同僚たちに少しイライラしているところがある。そろそろ、このウイルスについての主流ではあるが、その考え方が完全にまちがっている、公表されたいろいろな言説を批判するときだと私は感じている

 まず一つ目。このウイルスが新型であると考えるのは間違っている。

 二つ目。人々がこのウイルスに対する免疫をあらかじめもっていないと考えるのはもっと間違っている。

 三つ目。症状が全く出ないCovid-19に感染している可能性があるなどと言い張ること、もっと言わせてもらえば、何の症状もなしにこの病気を他者に感染させるなどという言い方は、コロナウイルスではないが、「コロナ馬鹿(愚の骨頂)」としか言いようがないものだった。

まあ、しかし、ひとつひとつ見てゆくことにしよう。

1. 新型ウイルス?

 2019年の終わりに新型であると考えられたコロナウイルスが中国で検出された。このコロナウイルスの遺伝子配列(すなわちこのウイルスの青写真)が特定され、2002年に特定されたサーズ(重症急性呼吸器症候群)とよく似た名前であるSars-CoV-2という名前がつけられた。そのとき、我々はこう自問すべきだったのだ。「じゃあ、今回のウイルスは、ヒトを病気にするような他のコロナウイルスとどのくらい近い関係なのか?」と。しかし、我々はそうはしないで、中華料理のメニューにあるどの動物からウイルスが広まったのかの議論を始めてしまった。その間多くの人々が信じてしまったのは、中国の対処があまりに愚かでこのウイルスを自国で広めてしまったのだという言説だ。今は、このウイルスに対するワクチンの開発についての話でもちきりだが、突然、我々の目に入ってきた研究は、今回のいわゆる新型ウイルスはSars-1(重症急性呼吸器症候群)と非常に近いウイルスであることを示すいくつかの研究だ。さらに、毎冬私たちを風邪という名前で苦しめるほかのベータコロナウイルスとも似ているとのことだ。ヒトを病気にするような様々なコロナウイルスの遺伝子配列対応を純粋に調べることはそっちのけにして、(科学者たちは)ウイルスの様々な部分を調べてウイルスの特定化に取り組んでいる。それは、人体の免疫細胞がウイルスを特定化するのと同じことをしているということになる。このことは、ウイルスの遺伝的関係の話ではない。我々人間の人体の免疫系が、今回のウイルスをどう検知しているかについての話だ。つまり、他のコロナウイルスのどの部分を使えば、今回のウイルスのワクチンに利用できるのかということだ。

 そう、新型コロナウイルスはまったく新型ではないのだ。ただの季節的に流行する風邪のウイルスでしかなく、夏になれば変異し消えてしまうものだ。それはすべての風邪ウイルスと同じだ。そう、世界中どこでも見られるあの風邪ウイルスだ。インフルエンザウイルスについて言えば、インフルエンザウイルスはさらに激しく変異するので、新しいインフルエンザの菌株がみつかっても、だれも「新型だ」などとは言わない。多くの獣医は、新型という表現を嫌っている。というのは、獣医たちはネコや犬や豚や牛たちに何年も同じコロナウイルスのワクチンを打ってきているからだ。

2. 免疫についてのおとぎ話
 世界保健機関(WHO)からすべてのフェィスブック上のウイルス学者まで、みんな今回のウイルスが特別危険だと主張している。その理由:①今回のコロナウイルスに対する免疫はない、②このウイルスは新型。

 トランプ政権で最も重要な顧問であるアンソニー・ファウチでさえ、当初公の場に現れるたびに、免疫がないのでこのウイルスは危険であると表明していた。

 私は、米国のベセスダのアメリカ国立衛生研究所の疫学セミナーでいつもトニー(アンソニー・ファウチのこと)の隣の席に座っていた。当時、我々はお互い関連し合った分野の研究に取り組んでいたからだ。当初、私はトニーの言っていることに疑問は感じなかった。というのも、トニーは私が信頼を置く同僚だったからだ。

 私が正気に戻ったのは、商品化された最初の(新型コロナウイルスの)抗体検査にSars-1(重症急性呼吸器症候群)を検出するための古い抗体検査も入れ込んでいたことが分かったときだ。

 この種の検査に信憑性がでるのはヒトの血液内に抗体があり、ウイルスに対抗する活動を通してその抗体が発生した場合だ。科学者たちは、動物のラマから抗体を抽出することさえしていたが、それはSars-1や新型コロナウイルスやさらにはマーズウイルス(中東呼吸器症候群) を検出するためのものだ。さらに知られるようになったことは、新型コロナウイルスは、すでにSars-1が以前猛威を振るった中国では、あまり深刻な被害を出さなかったことだ。この事実に鑑み、緊急に考え直すべきことは、我々の免疫系はSars-1と新型コロナウイルスを少なくとも部分的には同じウイルスとして特定化しているということであり、いずれか一方のウイルスに接触したことがあれば、もう一方のウイルスから身を守れるということだ。

 その時点で、私が実感できたのは、世界の全てがただただこのウイルスには免疫がないと言い張っているが、実際のところはそんな言説を証明する検査を誰も受けていないという事実だ。こんなものは、科学ではない。「みんながそう言っているから」という直感にもとづく思い込みだ。今日まで、免疫状態とはどんな状態かを隈無く説明できる抗体検査などたった一度も行われていない。具体的には、誰かが免疫状態になった場合、①いつからその人に免疫ができたのか?②この中和抗体は何を標的にしているのか?③他のコロナウイルス上に、免疫を作るのに結びつくような構造がどれだけあるか?などだ。

 4月中旬に、シャリテー(ベルリン医科大学)のアンドレアス・ティール氏のチームがある論文を発表した。その論文には30名の研究者が名を連ね、その中にはウイルス学者のクリスチャン・ドロステン氏も含まれていた。その論文によれば、新型コロナウイルスに接触したことのないベルリン市民のうち34 %が、新型コロナウイルスに対するTー細胞免疫反応を示したとのことだ。 (T-細胞免疫反応は、体内の各組織で起こる免疫とは別の免疫反応である。詳しくは後述)。つまり、我々のT―細胞(つまり白血球のこと)が新型コロナウイルスと普通の風邪ウイルスが同じ構造であると感知しているということだ。そのため、人体は両方のケースに対応できるということだ。

 スタンフォード大学のジョン・P・A・ヨアニディス氏の研究によると、(ベルリンのアインシュタイン協会によると、同大学は世界で論文が引用された研究者の数ランキングで世界の大学トップ10に入っている)新型コロナウイルスに対する免疫は、抗体という形で見積もった場合、以前考えられていたよりずっと高い反応があるとのことである。ヨアニディス氏が、時代の流れに逆らいたいだけの陰謀論者でないことははっきりしている。それなのに、同氏には、いま批判が浴びせられている。その理由は、同氏が採用した抗体検査は厳密な正確さという点で難がある、だ。そんな言い方をすることで、批判している人たちは、自分たちはそんな検査はまだやっていないことを認めてしまっている。さらに、ジョン・P・A・ヨアニディス氏は、比較で言えば、科学界のヘビー級。ドイツのウイルス学者は、すべて束ねても、せいぜいライト級だ。

3. 予測者たちの見誤り

 感染学者が信じてしまっていた別の神話は、人々の中に免疫はまったくない、だった。感染学者たちは、コロナウイルスが夏になれば消えていく季節的な風邪ウイルスであるということも認めたくなかったのだ。それを認めてしまうと彼らが予測していた感染者数の変異曲線が変わってしまうからだ。どの地域でも、最初に研究者たちが立てた最悪の場合の予想図のようにはならなかった。それでもまだ第二波が来るという予想にしがみついている者もいる。第二波がくると予想している人たちには、そう思っていてもらおう。まだ起こってもいないことを、こんなに前のめりに考える科学研究を私はかつてみたことがない。さらに私が理解できないことは、なぜ疫学者たちがあんなにも死者数に関心をもっていたのかだ。死者数より大事なのは何人の命が救えるか、だろう。

4.「常識」免疫学

 免疫学者として、私は生物学的な手続きを信頼している。それはまさに人体の研究であり、試験や検査を行うことによって適応できる免疫系を研究する手続きだ。2月の末、スイスの政治討論番組の収録後、車で家に帰る途中に、私はダニエル・コッホ氏(元スイス連邦保健局感染病部局局長)にこう話した。「私が思うに、人々は新型コロナウイルスに対する総合的な免疫をもっている」と。コッホ氏は、私の考えには同意しなかった。

 そうは言っても、彼が子どもは感染拡大の動因ではないと語った時、私は彼のその言葉を弁護した。コッホ氏は、子どもはこのウイルスに対する受容体を保持していないのではないか、という疑いを持っていた。そんな疑いはもちろんナンセンスだ。それでも、私たちは彼の見立てが正しいと認めざるをえなかった。 しかし科学者たちは、後になって、こぞって彼を攻撃し、持論を証明する研究を出せと言い出した。それはちょっと皮肉な展開だった。(つまり)ある危険ゾーンにいる集団が死にかけていることを証明する研究を要求する人は一人もいなかったからだ。最初は中国から、後に世界中から同じような傾向のデータ、つまり、10歳以下の子どもはほとんどこの病気にかからないというデータが届いた。その時点で、全ての科学者が子どもには確実に免疫があるという議論をしておくべきだったのだ。他の病気の場合、ある集団には感染しないということであれば、その集団はその病気に関して免疫があると結論づけるだろう。同様に、これは悲しい事だが、人々が老人ホームで死にそうになっているときに、同じ施設で健康上の同じ危険要因を所持しているのに全く無事である人がいるのであれば、そんな無事な人たちには免疫があると考えていいと普通は結論づけるだろう。

 しかし、こんな常識が多くの人たちの頭からずり落ちているのだ。この人たちを「否定論者」と呼ぼう。深い意味はない。この種の新型否定論者たちに考えてもらいたいのは検査の結果陽性とみなされた(いいかえればウイルスが喉に存在するという結果が出た)人々の大多数は病気になっていなかったという事実だ。「静かなるウイルス運搬者たち」ということばが、手品のように帽子から飛び出してきた。そして、症状なしで病気になる場合もあるという言説も流された。それってすごいことになるだろう!もしこれ以降、この主張が医療界で普通のことであると認められたのなら健康保険会社は本当に苦労するだろうし、学校の先生たちも、生徒に「何かの病気にかかったので学校を休みました」と言われて悩むだろう。一日中症状がなくても、これは病気だと生徒たちは言い張ればいいのだから。

 続いての冗談話は、症状が出ていない病人たちが他の人にウイルスをうつす可能性があるという主張に同意しているウイルス学者がいるということだ。その「健康」な病人たちは、喉にたくさんウイルスがあるので、普通に二人で会話しても「健康」な病人がもう一人の健康な人にウイルスをうつす可能性が十分あるという主張だ。ここで、すこし何が起こっているか整理してみよう。もし、ウイルスが喉やその他の箇所で成長しているとしたら、それは人体細胞がウイルスに冒されているということになる。
 
 人体細胞が冒されたならば、免疫系が即座に人体に警告を発し、感染が発生する。感染の五つの主要な症状のうちの一つが、痛みだ。Covid-19に感染した人々が、最初に感じた喉の痛みを覚えておらず、数日前に症状があったと思わないと主張する場合があることは理解できることだ。しかし、医師やウイルス学者たちが、この事実をねじ曲げて「健康」な病人がいるという話を作り出すことで、パニックを引き起こし、社会封鎖措置をより厳しくすることにつなげるのは、ただの冗談ではすまされない。少なくともWHOは無症状の感染という考えを否定しており、そのことはWHOのサイトにも記されている。

 ここで、簡潔で大まかなまとめをしておこう。特に、感染否定者たちのためにだ。人体はどのようにして細菌に攻撃され、人体はどのようにその攻撃に対応するかについてのまとめだ:病原体のウイルスが私たちの周囲に存在し、全ての人間(免疫があろうがなかろうが)が、ウイルスに攻撃されたとしよう。もし、免疫があるのなら、ウイルスとの闘いが開始される。最初に私たちはウイルスが細胞内に入ることを抗体の助けをかりて遮ろうとする。この反応はふつう体内の一部で起こり、すべてのウイルスが排除されるわけではなく、ある細胞に到達するウイルスも出てくる。この時点でもまだ、症状が出るとは限らないし、病気になっているわけでもない。
 というのも、この時点では、免疫系の二つ目の守備係が反応を始めるからだ。それが先述したT-細胞、すなわち白血球だ。白血球はウイルスが数を増やそうとして隠れている以外の場所からその場所を見極めることが出来る。T-細胞は、最後のウイルスが死滅するまで、人体内をくまなく探し、ウイルスを培養している細胞を見つける。

 であるので、免疫のある人に、コロナウイルスのPCR検査をした場合、検出されるのはウイルスではなく、つぶされたウイルスの小さな部分だ。免疫がある人で、検査の結果陽性となった人はつぶされたウイルスで残っている小さな部分が検出されたということだ。正しい!たとえ感染ウイルスずっと前に死滅していたとしても、コロナウイルス検査で再陽性になることもある。というのは、PCR検査という方法は、ウイルス細胞の小さなかけらでさえも検出するくらい精密なのだ。これと全く同じことが起こったのは、世界中のニュースになり、WHOもとりあげた韓国ですでに完治した200人が二度目の感染を発症したという事件だ。この事件のせいで、このウイルスに対する免疫がないのではという主張が広まった。実際の話は、しばらくしてからやっと、おことわりの記事が報じられたのだが、感染した韓国人たちは完全に健康で、少しの時間でウイルスを撃退したのだ。この話のツボは、ウイルスのほんの小さなかけらでさえ検出して陽性であると認定してしまうくらいこのPCR検査が精密なことだ。つまり毎日報道されている感染者数が多いのは、ウイルスのかけらのせいだということがありえるのだ。

 PCR検査は、当初ウイルスがいる可能性のある場所さえ完璧に検知できるくらい精密なものであるとされていた。しかしこの検査は、ウイルスがまだ生きている(つまり感染力がある)かどうかを検知できないのだ。不幸なのは、この検査結果とウイルスの量(つまり、ある人が呼吸で吐き出すウイルスの量)とを同じだと考えている感染学者がいることだ。幸運なのは、そんな学者たちの面倒を見てくれるデイケアセンターが開いているということだ。ドイツのウイルス学者たちはこのPCR検査の欠点を見落としているので、他の国がどんな政策を取っているかを見ようとしていない。他国の感染者数が急激に減っているとしても、だ。

5. コロナウイルスの免疫に関する問題点

 コロナウイルスの免疫について、実際のところどんな問題があるのだろうか?まず、疫学者たちは、このウイルスの免疫のつきかたについて、はっとしているはずだ。というのは、このウイルスの潜伏期間は2日~14日間とかなり長い(22日~27日間という報告もある)という主張がある一方で、大多数の患者がウイルスをまき散らすのは5日間だけだという主張もあるからだ。両方の主張を一つずつ考えると、こんな結論に至るはずだ。すなわち(大まかに言って)このウイルスに対する免疫の基本は、普通のウイルスから予想される免疫のつきかたと比べて、変わった免疫のつき方をするということである。そう、潜伏期間は長いのに、免疫はすぐにつくという特徴だ。

 さらに、このウイルスの免疫は重い病気を持つ患者たちにとっては大きな問題となる。私たちの抗体の強さ(すなわち私たちがウイルスから人体を守る正確さ)は、年をとればとるほど衰えてくる。さらに、体調が悪かったり、食習慣がよくなかったり栄養失調である人たちは、免疫系が弱く、そのため、このウイルスはその国の医療の問題だけではなく、その国の社会問題を明らかにすることになっている。

 感染した人が十分な抗体を持っていない場合、いいかえれば、免疫反応が弱い人の場合、ウイルスはゆっくりと体中に拡がっていく。その人は、十分な抗体をもっていないため、人体におけるもう一つ残された免疫反応が発動する。そう、T-細胞が体中のウイルスにおかされた細胞を攻撃し始めるのだ。この反応が過剰な免疫反応を引き起こし、たいてい大量虐殺につながる。この反応は、急性輸注反応症候群と呼ばれる。この反応はごくまれに幼児に起こるのだが、そのとき川崎病と呼ばれる病気に似た反応を示す。幼児にごくまれに起こるこの反応が、これまた我が国でパニックをあおるのに利用された。興味深いのは、この症状がでた幼児もすぐに良くなるということだ。感染した幼児たちは、健康な血液をもつ輸血者から抗体をもらう。その輸血者とは、すなわちコロナウイルス風邪を完治した人のことだ。つまり、人々の中に存在する隠された(たぶん実在しない)免疫が、幼児を治癒するのに使われているということだ。

さて、これからどうする?

 あのウイルスはもう去った。おそらく、また冬になったら戻ってくるだろう。でもそれは第二波ではない。ただの風邪だ。今マスクを着用して出歩いている若くて健康な人たちはそのときはヘルメットをかぶった方がいいだろう。なぜなら頭に何かが落ちてくる可能性の方が、Covid-19で深刻な病気になる可能性よりよっぽど高いからだ。

 (スイスが封鎖を緩めた後の)14日間で感染者数が大きく増加したのなら、少なくとも、私たちがとってきた措置のうちの一つに意味があったと分かるだろう。もしそうならなかったら、ジョン・P・A・ヨアニディス氏の最新の論文を読むことをおすすめする。その論文の中で同氏は2020年5月1日の数値に基づいて世界の状況を描いている。65歳以下の人たちのコロナウイルスによる致死率はたったの0.6~2.6 %だ。流行蔓延を乗り越えるため私たちが取る必要がある措置は、65歳以上で健康上の危険をもつ人を保護することに専念することだ。ジョン・P・A・ヨアニディス氏のような最重鎮の専門家がそういっているのだから、封鎖措置の二回目は行う必要はない。

 通常生活に戻る過程で、我々市民は、恐怖を煽ってきた人たちに謝らせることが必要だろう。呼吸器の使用数を減らすために80歳以上のコロナウイルス患者の命の救済を後回しにしようとした医師たち。さらに、実際はそんなひどい状況でもないのに、警告をあおるようなイタリアの病院の動画を見せ続けたメディア。検査結果が何を示しているかさえ理解していないのに「検査だ、検査だ、検査だ」と叫び続けたすべての政治家たち。近くに感染もしていない陽性患者がいると警告する全く役に立たないスマホアプリを求める連邦政府。

 冬になれば、インフルエンザやそれ以外の風邪がまたやってきたときは、またキスの回数を少し減らして、ウイルスが存在しないときでも手洗いをする習慣にもどればいいだけだ。そしてそれでも病気になった人たちは、マスクをすればいい。それが今回の蔓延で学んだことの証になるだろう。それでもまだ、健康上の危険をもつ人たちを守る方法がわからないのであれば、そんな健康上の危険を持つ人にも効果のあるワクチンが出来るのを期待して待てばいいだろう。

The original article was published in the Swiss magazine Weltwoche (World Week) on June 10th. The author, Dr. Beda M Stadler is the former director of the Institute for Immunology at the University of Bern, a biologist and professor emeritus.
Our thanks to Back to Reason, Medium, for having brought this important article to our attention




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