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オリバー・ストーンの新作ドキュメンタリー『ケネディ暗殺』を主要メディアは無視。しかし、それはきっと彼の主張が図星だからだ。

オリバー・ストーンの新作ドキュメンタリー『ケネディ暗殺』を主要メディアは無視。しかし、それはきっと彼の主張が図星だからだ。

<記事原文 寺島先生推薦>
Oliver Stone’s new JFK assassination doc is being ignored by the MSM… a sure sign he might be onto something

RT(ロシア・トゥデイ)

2021年7月20日

マイケル・マカフライ(Michael McCffrey)


Michael McCaffrey

Michael McCaffrey is a writer and cultural critic who lives in Los Angeles. His work can be read at RT, Counterpunch and at his website mpmacting.com/blog. He is also the host of the popular cinema podcast Looking California and Feeling Minnesota. Follow him on Twitter @MPMActingCo

 
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年9月3日



 既存のメディアは、カンヌ映画祭で奇妙で性的嗜好の映画を賞賛しているが、オリバー・ストーンがジョン・F・ケネディ大統領の殺人という厄介な事件を再度電撃的に取り上げたことについてはどこ吹く風。なぜだろう?

 先週、オリバー・ストーン監督は、「JFK Revisited: Through the Looking Glass」と題したケネディ暗殺に関する新作ドキュメンタリーをカンヌ映画祭で初公開した。

 アカデミー賞監督賞を2度受賞し、映画『JFK』ではアメリカ政府が1992年に「JFK暗殺記録収集法」を成立させるほどの騒動を起こし、賛否両極端の評価を有するストーン監督が、カンヌで議論百出間違いなしのJFK暗殺ドキュメンタリーを初公開することは、ビッグニュースなると思われるかもしれない。たぶんそうはならない。



 7月12日(月)に公開された「JFK: Revisited」を、主要メディアは賞賛も非難もしなかった。まるでこの映画が存在しないかのようだった。

 ニューヨークタイムズ』紙のカンヌに関する膨大な報道は、11本の記事で構成されており、そのほとんどが、レズビアンの修道女を描いたエロティックな話の「Benedetta」、アダム・ドライバー*がマリオン・コティヤール**にオーラルセックスをしながら歌うミュージカル「Annette」、女性が車とセックスしてオイルを分泌する「Titane」など、より卑猥な内容に焦点を当てている。しかし、「JFK Revisited」は「記録紙」とされる紙面で一度も言及されていない。

アダム・ドライバー*…アメリカ合衆国出身の俳優。2015年より開始した映画『スター・ウォーズ』シリーズ続三部作のカイロ・レン役で知られる。 
マリオン・コティヤール**…フランスの女優。2007年の『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』でエディット・ピアフ役を演じ、第80回アカデミー賞主演女優賞も受賞した。 (以上ウイキペディア)

 
 ワシントン・ポスト、ボストン・グローブ、LAタイムズ、シカゴ・トリビューン、ガーディアン、アトランティック、ニューヨーカーなど、私が検索したすべての主要メディアは、『JFK Revisited』の存在をまったく視野に入れていない。

 メディアでは、VarietyHollywood Reporterなどの業界紙と、TimesDaily Telegraphなどのイギリスの新聞でしか紹介されていない。その反応は、VarietyとThe Timesが否定的な評価をし、THRとDaily Telegraphが賞賛するなど、賛否両論。

 キューバ諜報機関の悪事、そして陰謀論がトップニュースになり、ストーン監督のこのドキュメンタリー映画についてはマイナーなメディアでも評価が賛否に分かれていることを考えると、(主要)メディアが「JFK Revisited」を議論の俎上に載せ、真実を追求するのではなく、カンヌで性的堕落を是認し、現状変革を志向しないのは奇妙なことだ。

 もちろん、こんなことを本気で言っているわけではない。アメリカの神話を作るメディアが、「立派な」人々が決して逸脱しない公式の物語を我々に遺し、「JFK Revisited」を記憶の穴に投げ捨て、好色な修道女やセックスするキャデラックを賞賛しているのは驚きでもなんでもない。

 そう、体制側が好んでするのは、大衆の注意をそらすこと、そして陰謀論を忌避すること。ただし体制側のお気に入りの陰謀論は別だ。

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JFK almost ended Cold War and Cuba blockade in 1963, filmmaker Oliver Stone tells RT in EXCLUSIVE interview

 JFK暗殺陰謀論は、陰謀を立証する証拠が数多あるにもかかわらず、体制そのものを告発するものであるため、不真面目なものとして真っ向から否定される。ケーブルニュースの語り手の半分は、元(ん?)情報機関のメンバーであり、ジャーナリストの大部分は情報機関の飼い犬であるため、JFK暗殺事件の真相究明のために、自分たちを養ってくれる手に噛みつくことはない。

 この同じ反陰謀論報道機関は、4年間、息もつかせず、いいかげんなロシア陰謀話を思いつくものひとつ残らず吐き出した。例えば、ロシアゲート。ロシアがマイクロ波兵器を使用したり、電力網投票機に不正侵入しているという主張だ。証拠がまったくないにもかかわらず真実だと思われるようになるまで、24時間365日、屋根の上から叫び続けた。

 ノーム・チョムスキーが言うように、このようにして欺瞞に満ちたプロパガンダが効果的に流布され、同意が製造される。「コントロールされた市場原理、内面化された前提、そして自己検閲」によって。

 「真面目な人」は、それらの不条理な公式認定の反ロシア陰謀を信じることで、自分の真面目さを証明する。なぜなら、それらは「真面目」とみなされ、他の「真面目」な人たちによって広範囲に伝えられるからだ。一方、JFK事件や武漢研究所の漏洩説のような「不真面目」な陰謀は嘲笑され、それらを信じる人たちは「陰謀論者」として貶められる。

 ストーン監督が、これほど体制側に忌み嫌われるのは、彼が(体制側が書いた)脚本を91年にひっくり返したからだ。彼はハリウッドで大成功を収めた後、それまでに蓄えていた膨大な資料を使って、JFK暗殺事件の映画を作った。その映画で彼は、ウォーレン委員会の公式説明を完全撃破し、説得力のある反論を提示したのだ。

 体制側がどれほどストーン監督を軽蔑しているかを知るためには、彼の「JFK: The Book of the Film」を読んでみたらいい。

 ストーン監督は、彼の反対者たちとは異なり、自分と意見を異にする人たちについては本を書いて出版している。そのいくつかを挙げれば次のような出版物ではっきりしている:

 ①『JFKは理性に反する陰謀を企てているのか

 ②『ハリウッドはワーナーブラザーズがJFKを制作した行き過ぎに首をかしげている

 ③『オリバーのツイスト』

 ④『パラノイドスタイル』

 ⑤『ウォーレン委員会の暗殺計画』等々。

 91年にエリートたちの間に「JFK」が引き起こしたヒステリー状態は、映画評論家の故ロジャー・エバート(Roger Ebert)の話に集約されている。彼の主張では、ウォルター・クロンカイト(Walter Cronkite)に「舌打ち」され、この映画を賞賛したことを「恥じるべきだ」と言われた、とのことだ。

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 ストーンは、2002年にフィデル・カストロに、2015年から2017年にかけてロシアのプーチン大統領にインタビューしたことで、さらに体制側ののけ者となった。ストーンは、頭の悪い公式のマントラを口にするのではなく、アメリカの敵たちと話をした。これは、言い分はひとつしかなく、叫ぶのではなく相手の話しを聞くことでそのひとつの言い分を複雑にするのはもってのほかと信じているメディアの目には、許されない罪となる。

 ストーン監督の扇動者としての歴史と、公的な主張よりも彼は真実に忠実であることが、「JFK Revisited」が意図的に無視されている理由だ。諺ではないが、「どんな報道も(結果的には)報道されたほうがいい。」つまり、たとえ悪い評価であっても報道された製品の認知度を高めることができるからだ。だから、ストーン監督を黙らせ、JFKを現状のままにしておくには、無視ボタンを押すことが体制側にとって最良の方法となるのだ。

 今のところ、この報道管制は意図した通りに機能しており、「JFK Revisited」は、本物の内容に飢えているアメリカの市場で、まだ配給会社を確保できていない。

 「JFK Revisited」をまだ見ていないので、それがJFK暗殺に関する真実を語っているかどうかは分からない。しかし、はっきり分かっているのは、既成のメディアが嘘中毒であり、真実アレルギーを持っていることだ。だからストーン監督が主張していることは図星かもしれないと思う。
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