■ 準々決勝の1試合目アジア杯の準々決勝の1試合目のカードはGLは3試合連続で1対0で勝利してA組を1位で突破した韓国と、B組を2勝1敗の成績で2位で突破したウズベキスタンの対戦となった。4年前の2011年のアジア杯のときは3位決定戦で対戦しているが、このときは3対2で韓国が勝利している。この試合で勝ったチームは23日(金)に行われるイランとイラクの試合で勝利したチームと決勝進出をかけて対戦することになる。
韓国は「4-2-3-1」。GKキム・ジンヒョン。DFキム・チャンス、カク・テヒ、キム・ヨングォン、キム・ジンス。MFキ・ソンヨン、パク・チュホ、イ・グノ、ナム・テヒ、ソン・フンミン。FWイ・ジョンヒョプ。後ろの5人はいずれもJリーグ経験者で、MFパク・チュホとMFイ・グノもJリーグを経験しているので、11人のうち7人がJリーグ経験者となった。FWイ・ジョンヒョプが豪州戦で決勝ゴールを決めている。
対するウズベキスタンは「4-1-2-3」。GKネステロフ。DFムハンマディエフ、ムラジャノフ、イスマイロフ、デニソフ。MFハイダロフ、トゥラエフ、アフメドフ。FWトゥルスノフ、ナシモフ、ラシドフ。代表チームの顔であり、絶対的な存在として君臨してきた8番のMFジェパロフはベンチスタートで、GLの3戦目のサウジアラビア戦で2ゴールを挙げた23歳のFWラシドフが引き続いてスタメンで起用された。
■ 延長戦で2ゴールを挙げた韓国試合の序盤はウズベキスタンが攻め込む。右サイドからの攻撃が有効で、前半20分あたりまでに3度ほど決定機を作る。しかしながら、C大阪でプレーするGKキム・ジンヒョンの好セーブもあって先制することはできず。すると、前半20分あたりから韓国がペースを握るようになる。レバークーゼンで活躍するMFソン・フンミンを中心に攻め込んで、こちらも3度ほど大チャンスがあったが、決められず。
後半になるとウズベキスタンの運動量が落ちてきて、韓国が攻め込む時間が長くなる。劣勢になったウズベキスタンだったが、後半35分あたりから、再度、ボールを保持することができるようになって、2度ほど惜しいシーンを作るが、決めることはできない。今大会はGLの24試合は「引き分けゼロ」ということで、ここまで全ての試合で勝敗が決まっていたが、決勝トーナメントの最初の試合は延長戦に突入する。
迎えた延長戦の前半14分に高い位置でボールを奪った左SBのDFキム・ジンスのクロスをMFソン・フンミンが頭で合わせてようやく韓国が先制に成功する。そして、延長戦の後半14分には途中出場のDF車ドゥリの素晴らしい突破から再び決定機を迎えたMFソン・フンミンが左足で豪快に決めてダメ押しの2点目を挙げる。結局、エースのMFソン・フンミンが2ゴールをきめた韓国がベスト4一番乗りを果たした。
■ 韓国がベスト4一番乗りウズベキスタンにもいくつかチャンスはあった。特に前半の立ち上がりは立て続けに3度ほど決定機を迎えたので、ここでウズベキスタンが先制ゴールを奪っていると非常に面白い展開になったと思うが、GKキム・ジンヒョンがビッグセーブを見せるなど、韓国の守備陣が踏ん張った。C大阪のGKキム・ジンヒョンはGLの3戦目の豪州戦でも絶体絶命のピンチを防いでいるが、今大会は活躍が目立っている。
その後、韓国が攻め込んだが、なかなかゴールを割ることができなかった。もどかしい展開になったが、やはり、決めたのはMFソン・フンミンだった。ドイツのレバークーゼンで活躍しており、韓国の欧州組の中ではもっとも高い評価を受けているが、ここぞの場面で試合を決めるゴールを奪えるのはさすがである。体調不良でコンディションは万全ではなかったというが、気力を振り絞って2つのゴールを記録した。
日本と同様にブラジルW杯では不本意な成績に終わった韓国は元西ドイツ代表の名選手で、ドイツ人のウリ・シュティーリケ監督を招へいしているが、ここまでの戦いを見ると、「強いチームだ。」とは言い難い。4試合連続完封なので守備陣は頑張っているが、チームとしての守備が機能しているという感じはしない。GKキム・ジンヒョンに助けられる場面は多くて、攻守ともに「ちぐはぐさ」は否めない。
■ アジア最高のアタッカーと言えるMFソン・フンミンこの先、日本と対戦することになったとしても、やりにくさは全く感じられないが、MFソン・フンミンだけは別格である。不用意なボールロストは少なくないが、パワーとスピードは一級品で、ドリブルで仕掛けてきたときの凄みはアジアレベルを超えている。前を向いたときの打開力という点では、間違いなく、今大会に参加している選手の中では一番上で、「世界基準のアタッカー」である。
彼にどれだけ生きたボールを供給できるか?が大事になって来るが、正直なところ、チームとして彼が生きるようなお膳立てができているとは言えない。偶発的にいいボールが入ったときは高確率でビッグチャンスになるが、1トップのFWイ・ジョンヒョプは優れたフォワードとは言えなくて、MFイ・グノも孤立する場面が多い。チームとしての完成度は低いが、FWソン・フンミンの個の力は突出している。
一方の守備陣は先のとおりで4試合連続完封と結果は出ているが、堅守とは言い難い。どの試合も少なくない数の決定機を作られており、プレッシングも強力とは言えない。いいサッカーができているとはお世辞にも言えないが、日本のサッカーファンにはお馴染みと言えるC大阪のGKキム・ジンヒョンや元大宮のDFキム・ヨングォンや元新潟のDFキム・ジンスや元磐田のMFパク・チュホなどが頑張っている。
彼らはいずれも韓国の年代別代表に招集されるようなエリート戦士だったが、来日時はプロとしての実績は無かった。大学生のときに日本でプロキャリアをスタートさせることを選択して、異国の地でゼロから実績を積み上げてきたが、(ライバル国の選手ではあるが、)その過程を最初から見てきた選手たちなので、フル代表として活躍している姿を見ることができたのは嬉しい話である。
■ 優勝候補と言われたウズベキスタンだったが・・・。一方のウズベキスタンにも勝てるチャンスはあった。前半の立ち上がりに訪れた決定機を生かせなかったのも響いたが、キーパーのGKネステロフの活躍もあって、何とか0対0のままで時計は進んでいった。「PK戦にもつれ込むのは嫌だ。」と考えていたのは大半の時間帯で主導権を握っていた韓国の方だったと思うので、韓国の焦りが出てきてもおかしくない点かいだったが、自分たちのミスから先制ゴールを許した。
右SBのDFムハンマディエフの軽率なプレーが失点につながってしまったが、ボールを前に蹴ったとしても、ほぼ全て韓国ボールになるような時間帯だったので、「何とかして時間を稼ぎたい。」、「自分でボールを前に運んであわよくばチャンスを作りたい。」と考えたDFムハンマディエフの気持ちも分からなくもない。大きなミスと言えるが、この場面は対峙したDFキム・ジンスの守備も非常に良かった。
ウズベキスタンは攻撃の中心であるMFアフメドフが前半途中に怪我で退いたのは大きかった。ウズベキスタンというとMFジェパロフの名前が一番知られているが、今回のチームの軸はMFアフメドフである。2戦目の中国戦では先制ゴールを記録しているが、非常にテクニックがあって、攻撃に変化を加えることができる選手なので、MFアフメドフが前半でいなくなったのは韓国にとっては非常にラッキーだった。
大会前には「ウズベキスタンは優勝候補の一角」と評価する人もいたが、そこまでの力は無かった。大黒柱のMFジェパロフは年齢的な問題なのかキレは無くて、フォワードにもこれといった選手はいなかった。もともと非常に攻撃的なチームで、コンビネーションを駆使したパスサッカーは一番のウリとなるチームである。その片鱗が見えるシーンはいくつもあったが、4位に入った4年前と比べると「強さ」は感じなかった。
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