■ J1の第21節J1の第21節。7勝7敗6分けで勝ち点「27」の横浜Fマリノス(11位)と、12勝5敗3分けで勝ち点「39」の川崎フロンターレ(2位)がニッパツ三ツ沢球技場で対戦した。横浜FMはリーグ戦再開後は7試合で2勝1敗4分け。一方の川崎Fは6勝1敗。ともに1敗のみであるが、水曜日に行われた天皇杯の3回戦は横浜FMは延長戦の末にJ2の北九州に敗れて、川崎FもJ2の愛媛FCに敗れている。
ホームの横浜FMは「4-2-3-1」。GK榎本哲。DF小林祐、栗原、中澤、下平。MF中町、小椋、藤本淳、中村俊、齋藤学。FWラフィーニャ。新加入のFWラフィーニャは3試合連続スタメンで、ここ2試合で3ゴールを奪っている。ボランチはMF小椋が2試合連続スタメンで、U-21日本代表として9月のアジア大会に参加するMF喜田がベンチ入りを果たした。この日が20歳の誕生日となる。
対するアウェーの川崎Fは「3-2-2-3」。GK杉山。DF實藤、ジェシ、小宮山。MF大島、中村憲、森谷、登里。FW小林悠、大久保、レナト。大卒ルーキーのMF谷口は体調不良で欠場で、DFジェシが7試合ぶりにスタメンで起用された。FW大久保は20試合で12ゴール、FW小林悠は18試合で9ゴールを挙げており、得点ランキングはFW大久保が1位で、FW小林悠は3位に付けている。
■ 2対0で横浜FMが勝利試合はいきなり川崎FのMF森谷がドリブルで仕掛けてチャンスを作るが、直後の前半2分に横浜FMが左サイドからクロスを入れると、やや目測を誤ったMF登里がペナルティエリア内でハンドを犯して横浜FMにPKが与えられる。これをFWラフィーニャが落ち着いて決めてホームの横浜FMが先制する。FWラフィーニャは3試合連続ゴールで、今シーズン4ゴール目となった。
その後は横浜FMの中盤の守備が見事で川崎Fの攻撃を抑え込む。横浜FMペースで進む中、前半35分に中盤の攻防で川崎FのMF登里に2枚目のイエローカードが出て退場。前半のうちに川崎Fは10人になってしまう。後半になると数的不利の川崎Fが攻め込む機会が多くなって、FWレナトが個人技からクロスバーに直撃するシュートを放ったが、同点に追い付くことはできない。
すると、後半31分に横浜FMはまたしても高い位置でボールを奪うと、最後はFWラフィーニャのシュートが相手選手に当たってゴール方向にこぼれたボールに反応した途中出場のMF兵藤がゴールに流し込んで貴重な追加点を奪う。MF兵藤は今シーズン2ゴール目となった。結局、試合は2対0で横浜FMが勝利した。川崎Fは勝つと首位に浮上することができたが、完封負けとなった。
■ 出来が良かったボランチのMF小椋この日は横浜FMの出来が非常に良かった。試合後のインタビューで樋口監督は「選手が躍動した。」とコメントしたが、その通りで、特に中盤の守備が素晴らしかった。2点目のMF兵藤のゴールは前からのプレスがハマってゴールに結びついたが、それ以外でも中盤の守備がハマっていい位置でボールを奪うシーンが多かった。26.4度とやや涼しかったことも横浜FMにプラスに働いた。
特に光ったのはMF小椋である。2試合連続スタメンとなったが、縦横無尽に走り回って、MF中村憲あるいはMF大島といった川崎Fのキーマンにプレッシャーを与え続けた。MF小椋の場合、プレッシャーをかけるだけでなく、ボールを奪い取る力もあるが、この日は攻撃においても力を発揮した。2つのゴールに絡んだFWラフィーニャの活躍も光ったが、MOMはMF小椋になるだろう。
注目のFWラフィーニャはこれで3試合連続ゴールとなった。スタメン起用された3試合は全て結果を出しているが、この日は巧みなキープで相手のファールを誘うシーンも多かった。スピードや突破力があるのでカウンターのときに相手の脅威になるが、クレバーなプレースタイルであることも特徴の1つで、味方選手を生かすプレーも上手である。夏に加入して大きな戦力になっている。
後半31分のMF兵藤のゴールは相手に流れが傾きつつあった時間帯だったので効果的だった。10人の川崎Fがボールを保持するようになって、FWレナトの個人技などから決定機を作っていた。「数的不利のチームが1人少ないことに慣れてきて、ワンチャンスやツーチャンスを生かして同点に追いついてドローに持ち込む。」というパターンは非常に多いので、価値のあるゴールだった。
■ 厳しい判定だったMF登里の退場一方の川崎Fは試合の入り方はよかったが、前半3分のPKでの失点が痛かった。もちろん、1点くらいであれば跳ね返すことのできる攻撃力を持っているが、この日は横浜FMの出来が良かったので、なかなか思うような攻撃はできなかった。後半になると1人少ないことを感じさせないほどの互角の攻防に持ち込んだが、最終ラインの不用意なミスが多くて2失点目を食らった。
川崎Fにとって不運だったのは前半35分のMF登里の判定である。横浜FMがプレスをかけてボールを奪ってカウンターに入って、FWラフィーニャがドリブルで持ち運ぼうとしていたところをMF登里が倒してイエローカードが提示されたが、「ノーファール」あるいは「ファールは取るがイエローカードは出さない。」というジャッジが下されても全くおかしくないような微妙なシーンだった。
まず言えるのは、すでにPKのシーンでイエローカードを受けており、なおかつ、後ろの枚数が揃っているシチュエーションにも関わらず、強いチャージでボールを奪い返そうとしたMF登里の判断はあまり良くなかったと思う。比較的、うまい守備をして「ノーファール」とジャッジされてもおかしくないプレーでFWラフィーニャの突破を食い止めたが、リスクの高いプレーだったのは間違いない。
他方、家本主審の判断もどうだったのか?と感じる。もちろん、すでに1枚イエローを受けている選手であっても、そうでない選手でも、イエローを出す基準が変わるわけではない。基準を変える必要はないし、むしろ、変える方が間違っていると言えるのかもしれないが、できるだけ退場者を出さないように配慮するのが最近の流れであり、退場者が出たことで試合は荒れてしまった。
「試合展開やスタジアムの雰囲気にあまり流されない。」という点が家本主審の長所の1つであり、ブレないところを評価する人は多いが、やはり、もう少し柔軟性が欲しいところである。10人になった川崎Fは大きなマイナスとなったが、出来の良かった横浜FMが好調の川崎Fを相手にどんなサッカーができるのか?という興味も退場者が出たことでそがれてしまった。
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