■ 第5節J1の第5節。0勝3敗1分けと勝利のない鹿島アントラーズが、ホームのカシマスタジアムで浦和レッズと対戦した。浦和は2勝1敗1分け。開幕戦はペトロヴィッチ監督の古巣の広島に0対1で敗れたが、2節で王者の柏にホームで勝利すると、3節もアウェーでコンサドーレ札幌に勝利して連勝を飾った。
ホームの鹿島は「4-2-2-2」。GK曽ヶ端。DF西、岩政、山村、新井場。MF梅鉢、小笠原、遠藤、土居。FW大迫、興梠。川崎Fから加入のFWジュニーニョ、京都から加入のFWドゥトラはベンチスタート。2月のアイスランド戦で初めて代表に選ばれたMF柴崎は怪我のため欠場となったため、ユース出身で2年目のMF土居が初スタメンとなった。
対するアウェーの浦和は「3-4-2-1」。GK加藤。DF坪井、永田、槙野。MF鈴木啓、阿部、平川、梅、柏木、マルシオ・リシャルデス。FWポポ。4節の川崎F戦で退場処分を受けたDF槙野とMF阿部は、ナビスコカップの磐田戦で出場停止分が消化されたためスタメンで出場。ロンドン五輪出場を目指すMF原口はベンチスタートとなった。
■ レッズが快勝!!!試合は開始早々の2分にホームの鹿島が先制する。右サイドに流れたボランチのMF梅鉢のクロスをファーサイドのFW興梠がヘディングで決めて先制する。鹿島は今シーズン初ゴールとなった。しかし、その直後の前半3分に浦和は、MF柏木の柔らかいラストパスを受けたMFマルシオ・リシャルデスが右足で豪快に決めてあっという間に同点に追いつくと、前半5分にもMF柏木のパスを起点に、MF阿部が逆サイドに流したボールをFWポポが決めて2対1と逆転に成功する。
すぐにリードを奪った浦和は、前半25分にもMF梅崎の絶妙のパスからMFマルシオ・リシャルデスが裏に抜け出すと、ペナルティエリアエリア内でDF新井場に倒されたとして、浦和にPKが与えられる。これをMFマルシオ・リシャルデスが決めて、浦和が3対1とリードを広げる。リプレーで見ると、DF新井場が倒したのはペナルティエリアの外だったので、PKではなかったと思うので、鹿島にとってはアンラッキーな判定となった。前半はアウェーの浦和が3対1でリードして折り返す。
後半になると、鹿島はFWジュニーニョ、DFアレックス、MFドゥトラと攻撃的なタレントを次々とピッチに送り出してきて、ゴール前の人数を増やしてくる。終盤は鹿島が立て続けにシュートを放って、シュート本数を増やしていくが、ゴールを奪うことはできず。結局、3対1でアウェーの浦和が勝利して、今シーズン3勝目。リーグ戦は4試合負けなしとなった。一方の鹿島は、開幕から5試合勝利なしで、0勝4敗1分けとなった。
■ 前線のトライアングルが躍動開幕戦を広島に敗れた後、ボランチにMF阿部を据えたことでチームが落ち着いてきた浦和が、鬼門となっていたカシマスタジアムで勝利を飾った。開始早々にゴールを許してビハインドとなったが、前半3分・前半5分にゴールを奪って逆転に成功すると、その後も、鮮やかな連携を見せて、何度もチャンスを作った。後半20分あたりを過ぎると、全体の運動量が落ちてきて鹿島に攻め込まれるシーンが続いたが、最後までディフェンス陣も集中していて、見事な勝利だったと言える。
躍動したのは、FWポポ、MF柏木、MFマルシオ・リシャルデスという攻撃のトライアングルで、この3人のパフォーマンスは抜群だった。1トップで起用されているFWポポは、168センチの身長なので、ロングボールで競り勝つことはできないが、運動量が豊富で、うまくサイドでポイントを作って、前線の起点となった。タレントが有り余っている2列目と比べて、1トップをこなす選手が少ないので、「1トップ役が誰になるか?」が、今シーズンの浦和の注目ポイントだったが、FWポポが予想以上にうまくこなしている。
MF柏木については、ずっと好調を維持しているが、この日も、質の高いプレーを見せた。1点目・2点目はともにMF柏木の絶妙のパスがきっかけとなったが、周りの選手をうまく使っていて、技術の高さと判断力が際立っている。MF柏木は、浦和に移籍して3年目になるが、過去2シーズンとは、比べ物にならないパフォーマンスで、改めて、質の高いプレーヤーであることを証明している。
■ 魅力的なサッカーを見せているレッズ浦和は、チームとしても、魅力的なサッカーを繰り広げている。「3-4-2-1」という特異なシステムで、チーム内にペトロヴィッチ監督のサッカーが浸透するまで少し時間が必要かと思われたが、能力の高い選手が多いこともあって、すぐに対応してきて、攻守両面で連動したサッカーができていて、観ていても、面白いサッカーになってきている。
特に目立つのは、カウンターのときの迫力で、FWポポやMF柏木がワンタッチでボールを処理して、一番、いい状態の選手をシンプルに使うことができるので、精度も高くて、攻撃に絡んでくる枚数も多い。遅攻のときは、相手の守備を崩せないシーンが多くて、カウンター以外のときに、どうやって相手を崩していくかが課題となるが、短期間でここまでチームを変えてしまったペトロヴィッチ監督の能力の高さには、改めて驚かされる。
1対1に強いMF阿部とDF槙野という日本代表選手の獲得が大きかったが、両ウイングバックの貢献度も非常に高い。今シーズンは、右サイドにMF平川を起用し、左サイドにMF梅崎を起用しているが、この二人が攻守両面で効いていて、カウンターのときも、乗り遅れることなくゴール前に顔を出してチャンスに絡んでくる。両サイドの選手は、守備のときは、最終ラインに入ることが多いので、必然的に走る距離も長くなるが、サボることなく最後まで走り切っていて、厚みのある攻撃を演出している。
■ ジャッジに泣かされる・・・一方の鹿島は、開幕5試合勝利なしとなった。川崎F戦、広島戦と比べるとチャンスの数も増えてきて、シュート数も多くなってきたが、FW大迫にしても、FW興梠にしても、FWジュニーニョにしても、FWドゥトラにしても、決定力のある選手ではないので、辛抱してチャンスの数を増やしていくしかない。
リーグ戦では結果が出ていないので、ジョルジーニョ監督も試行錯誤しているが、MF土居を先発で抜擢したことに関しては、成功しなかった。前半から、FW大迫、FW興梠、MF遠藤の3人は、ボールに絡んでいたが、MF土居だけでは、ほとんどチャンスに絡むことができず、いいところを、ほとんど出せなかった。MF梅鉢をボランチで起用するなど、思い切った選手起用を見せるジョルジーニョ監督であるが、MF土居の先発に関しては裏目に出てしまった。
気の毒に思うのは、鹿島にとって不利な判定が多かったことである。PKを取られたシーンと、FW大迫のゴールが取り消されたシーンに関しては、明らかにミスジャッジといえるレベルで、DF西がペナルティエリア内で倒されたシーンも、鹿島にPKが与えられてもおかしくないプレーだったので、厳しいジャッジが続いてしまった。
シーズンを振り返ってみたとき、レフェリーの判定に助けられたという試合も、レフェリーの判定で不利になった試合も同じくらいあるので、トータルでの損得は±ゼロになるのが通常だが、ここまでは、全く勝てていないこともあって、鹿島に不利なジャッジが続いているようにも感じられる。J2から上がってきたチームでも、開幕5試合勝利なしという状況は精神的にツライものだが、常勝チームの鹿島となると、なおさらである。早く勝利して、落ち着きたいところである。
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