■ 移籍が決定的!!!日本代表のMF香川真司のマンチェスターUへの移籍が、クラブの公式ホームページで発表された。しかしながら、MF香川自身は、「まだサインはしていない。」とコメントしているので、マンチェスターUの勇み足とも言えるが、ここまで来ているので、マンチェスターU入りは、確実と言える。
メディカルチェックや労働許可書の取得に問題はないはずで、W杯のアジア最終予選のオーストラリア戦が終了した後、マンチェスターに飛んで、正式契約となるだろう。日本人初のマンチェスターU入団が決定するのも、目前と言える。ドルトムントもビッグクラブなので、DF長友のインテル移籍の時よりは、驚きは少ないが、大きな一歩である。
MF香川は、2010年夏にドルトムントと契約したとき、3年契約をかわしているので、ドルトムントと延長契約をしないのであれば、今夏に移籍することになるが、非常に、いいタイミングだと言える。ドルトムントに残って、CLでの上位進出を目指すというのも、魅力的な話であるが、メガクラブに行けるチャンスは、滅多にないことである。移籍金が15億円程度と、(メガクラブにとっては、)安い値札が付いているときに、移籍先を選択できるというのも、プラス材料である。
■ 飛躍の理由ということで、23歳にして、世界最高峰のクラブにたどり着いたわけであるが、この2年間で、信じられないほどのスピードで評価を高めていったので、いまだに、ピンク色のユニフォームを着て長居スタジアムで躍動していた香川真司と、世界でも有数のアタッカーと評価されるようになった現在のKagawa Shinjiが、同一の選手とは、思えないところもあるが、高橋陽一先生の漫画でも描かれないようなサクセスストーリーを歩んできている。
2006年にC大阪に入団して、プロ2年目の2007年シーズンから試合に出場するようになったが、18歳の頃から、サッカーセンスは飛び抜けていて、誰が見ても、「これは凄い。」と感じるプレーを見せていた。ただ、2007年・2008年・2009年と3シーズンは、J2でプレーしたので、メディアに大きく取り上げられることもなくて、比較的、落ち着いた環境でプレーできたことも、サッカー人生を考えると良かったことである。
テクニックと運動量がトップレベルにあることは、間違いないところであるが、ここまで、短期間で飛躍できたのは、「メンタル的な強さを持っていたから。」と言えるだろう。日本人らしい謙虚な一面を見せるときもあるが、基本的には、(いい意味で、)自己中心的なプレーを選択できる選手で、責任を背負うことも厭わない。
また、J2でプレーしていたときは、ゴールを決めても、アシストをしても、勝利しても、決して満足することなく、さらに上のレベルを目指して貪欲にプレーした。そのため、チームメイトに強い言葉で苦言を呈することもあったが、「有言実行」で、自らも結果を残してきた。
C大阪というクラブで、18歳の頃からチームの中心としてプレーできたことも、彼の成長を促した。J1昇格が至上命題となっていたC大阪は、J2の中では、「勝たないといけない」という立場だったが、大黒柱として、勝敗に直結する役割を任されてきた。当たり前のことであるが、他に頼ることのできる選手がいて、2番手、3番手の立場でプレーする選手よりも、成長のスピードは速くなる。
■ 恵まれた指導者また、指導者に恵まれたという点も、見逃せないところである。試合に出場するようになった2年目以降では、都並敏史監督、レヴィー・クルピ監督、ユルゲン・クロップ監督という3人の指導を受けているが、(都並監督は横に置いて)、クルピ監督とクロップ監督に出会えたことは大きかったといえる。
今さら、言うまでもないが、ボランチの選手だったMF香川を攻撃的MFにコンバートしたのは、当時のクルピ監督で、チャンスメーカーだったMF香川にゴールへの意識を植え付けて、ゴールゲッターに変貌させたのも、クルピ監督である。選手のいいところを引き出す能力に長けていて、いくら失敗しても、我慢して使い続けることのできる監督である。
また、クロップ監督によって、トップ下でプレーするようになったことも、大きかった。C大阪では、2シャドーの左でプレーすることが多くて、(ずっと、「トップ下」というポジションが無かったこともあって、)、トップ下でプレーする機会は全くなかったので、ドルトムントで中央で起用されると聞いたときは、驚いたが、すぐに順応して、プレーヤーとしての幅を広げることに成功した。
今度は、マンチェスターUで、ファーガソン監督の指導を受けることになるが、この監督も、若手選手のいいところを引き出すことに長けた監督である。23歳になったので、アタッカーとしては「完成形」に近づいてきているが、マンチェスターUでは、トップ下だけでなく、サイドハーフでの起用も考えられるし、センターハーフのポジションで試される可能性もある。
チーム内には、FWルーニーという絶対的な選手がいるので、レギュラーを勝ち取るのは、かなり大変で、ベンチスタートになる機会も増えると思われるが、違った環境に置かれることで、新たな一面を見せるようになるかもしれない。とにかく、目の前には、無限の可能性が広がっている。
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