■ JユースカップJリーグユース選手権大会は、1993年度から開催されているJリーグのユースチーム(高校生年代)の日本一を決定する大会で、「Jユースカップ」と呼ばれている。昨年度はFW重松健太郎を擁したFC東京U-18が日本一になっている。
2010年大会は、J1、J2の34クラブ(カターレ富山、ファジアーノ岡山、ギラヴァンツ北九州は不参加)を8つのグループに分けてリーグ戦を行い、各グループの上位2チームと、日本クラブユースサッカー連盟の代表の4チーム(塩釜FCユース、三菱養和サッカークラブユース、センアーノ神戸ユース、アミーゴス鹿児島U-18)の計20クラブで決勝トーナメントを戦っており、すでに12月5日から決勝トーナメントが始まっている。
■ 高校サッカーとの関係同じ高校生が日本一をかけて争う高校サッカー選手権は12月30日に開幕するが、日本テレビ系列のバックアップのもと、テレビ中継もされて「冬の風物詩」となっているが、一方で、Jユースカップは地味な扱いのまま。一般人にはほとんど知られていない。しかしながら、レベル的には高校サッカー選手権と比べても遜色ない。
高校のサッカー部とクラブユースの両方が参加し、高校生年代の真の日本一を決める「高円宮杯全日本ユースサッカー選手権 (U-18)大会」の今年の覇者はサンフレッチェ広島ユース。ここ10年で見ると、優勝チームは高校のサッカー部が5回、クラブユースが5回と同数であり、ベスト4は高校のサッカー部が16チーム、クラブユースが24チームとクラブユースが優勢である。
すでにプロの世界でも活躍している選手も出場しているのもJユースカップの特徴であり、高校年代でもトップ登録をしているG大阪のMF宇佐美貴史や京都サンガのFW宮吉拓実らは出場できないが、2種登録選手である横浜FマリノスのFW小野裕二やヴィッセル神戸のFW小川慶治朗は出場可能であり、決勝トーナメントの2回戦にも出場している。
#1 長居公園
■ 準々決勝2010年のJユースカップは準々決勝まで進んでいる。そのカードは、横浜Fマリノスとサンフレッチェ広島、京都サンガとジュビロ磐田、東京ヴェルディとヴィッセル神戸、FC東京と柏レイソルの4つ。長居スタジアムの隣にある長居第二では、横浜Fマリノスとサンフレッチェ広島、京都サンガとジュビロ磐田の2試合が行われた。
長居公園には3つのサッカー場がある。5万人収容の長居スタジアム、長居球技場(=キンチョウスタジアム)、長居第二陸上競技場の3つであるが、使用されたのは、一番小さい長居第二。準々決勝と決勝は長居スタジアムで行われる予定になっている。
#2 試合前
■ 松本翔がハットトリックの活躍長居第二の第1試合はマリノスユースの背番号「7」のMF松本翔が躍動する。前半14分に自らのドリブル突破で得たPKを確実に決めると、前半35分にもFW高橋のゴールの起点となった。その後、サンフレッチェユースの猛反撃にあって2対3と逆転を許すが、後半36分にゴール右よりの絶好の位置でフリーキックを獲得すると、これをMF松本翔が右足で直接決めて同点ゴールを奪う。
3対3で前後半10分の延長戦に入った試合は、試合終了間際にマリノスユースがFW星のゴールを勝ち越しに成功すると、さらに、その直後、ロングボールをうまく処理したMF松本翔が右足で決めてハットトリックを達成。FW星の決勝ゴールは直前のプレーで両足を攣っており、プレー続行は不可能かと思われた中でのゴールだった。
ハットトリックをマークしたMF松本翔は162㎝と小柄であるが、スピード溢れるドリブルと正確なキックが魅力。来シーズン、トップチームへの昇格が決定している。攻撃的MFのポジションはライバルが多いが、プロの世界でも期待したいところである。
#3 マリノスサポーター
#4 マリノスイレブン
■ 逆転するも・・・一方の広島は0対2から3点を奪って逆転に成功するも、後半36分に決定的なピンチを防ごうとしたプレーがレッドカードの判定を受けて一人少なくなるとともに、その反則で与えたフリーキックを決められて3対3の同点に追いつかれてしまった。
広島は、過去は優勝が3度、準優勝が4度。トップチームにもユース出身者が多く、下部組織が最も充実しているクラブの一つである。ユースチームの戦術もトップチームのものと似ており、この試合の3ゴールはすべてディフェンスの選手がマーク。広島らしかったといえる。
#5 サンフレッチェイレブン
■ Jユースカップにも光を・・・①2対0とマリノスがリードしたときは、一方的な展開になると思ったが、そのすぐ後に広島が1点を返すと、試合はもつれて熱戦となった。
残念なのは、アピール不足もあって、注目の低い中での試合となっていることである。スタンドの中央には記者席も用意されていたが、記者席で観戦していたのは女性2名だけ。入場無料なので、一般の人に混ざってスタンドで観戦してもあまり変わらないので、スタンドで観ていた記者の方もいたと思うが、全国大会の準々決勝ということを考えると、さびしい数字である。
両チームのサポーターも訪れていたが、地元のチームが出場していないということもあって、観衆も200人程度。高校年代の大会というこのくらいが普通なのかもしれないが、高校サッカー選手権と比べると、大きく見劣りする。決勝トーナメントの2回戦でレッドカードを受けたため、この試合は出場停止だったが、横浜FマリノスのトップチームでもプレーしたFW小野もチームの一員であるが、おそらく、FW小野がいてもそれほど観衆は増えなかっただろう。
■ Jユースカップにも光を・・・②この状況は、高校サッカー選手権と比べると、雲泥の差がある。実力的には、遜色ないレベルにあるので、これではもったいないという気はする。
逆に考えると、「高校サッカー選手権」というコンテンツを、今のレベルまで押し上げた読売新聞社や日本テレビの功績も忘れてはならないだろう。さすがに甲子園大会には及ばないが、都道府県対抗的な要素も人々を惹きつけるのか、普段、サッカーに興味のない人も、故郷のチームを応援し、決勝戦ともなると、国立競技場は満員に近い観衆で埋まってくる。貢献度は高い。
多くの人に観られることで選手たちは成長していくはずである。Jリーグユースに出場する選手にも素晴らしい選手はたくさんそろっている。そろっているのであるから、今後、この大会が発展していくことを願ってやまない。準々決勝は京都サンガユースとFC東京U-18、東京ヴェルディユースと横浜Fマリノスユースの対戦となった。試合は12月23日に長居スタジアムで開催される。
#6 決勝ゴールの星
#7 試合終了後
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