■ ザックジャパン25名日本代表に就任したザッケローニ監督が初めて選んだ日本代表メンバー25名が選出された。以下、ポジション別に見てみたいと思う。
GK(ゴールキーパー) → 原ジャパンに選ばれていたGK楢崎正剛(名古屋)が代表から引退したため、枠が空いたGKのポジション。大方の予想どおりの3人がメンバーが選ばれた。83年生まれでアテネ世代のGK川島、86年生まれで北京世代のGK西川、89年生まれでロンドン世代のGK権田と年齢バランスも非常にいい。
正GKは南アフリカ大会でポジションをつかんだGK川島となる可能性は高いが、GK川島はベルギーリーグでプレーしているため、今後、召集できない試合が出てくるはずであり、第2GKも非常に大事である。GK楢崎がいれば「GK楢崎で確実」といえたが、GK楢崎が不在になって、ポジション争いはし烈を極める。
期待したいのはロンドン五輪代表の正GKとしても期待されるGK権田。若い世代でGK権田ほど出場機会を得ていて、かつパフォーマンスが安定している選手はいない。
DF(ディフェンダー) → DF中澤が怪我で欠場しており、誰が抜擢されるかが注目されたが、DF伊野波が久々の代表復帰。チームメイトのDF岩政が外れることになった。鹿島ではセンターバックでプレーするDF伊野波であるが、ボランチ、サイドバックでのプレー経験もあって、ポリバレント性の高い選手。アジアカップ2007のメンバーに選ばれるなど、オシム監督の評価も高かったが、ザッケローニ監督も同じようにDF伊野波を評価しているようで、DF茂庭(C大阪)、DF永田(新潟)、DF中澤(G大阪)といった代表に選ばれるのではないか?と思われていた選手を押しのけて代表入りをつかんだ。
ただ、DF栗原とDF槙野が継続して選ばれたもののセンターバックは4人だけ。中盤で登録されているMF今野、MF阿部といった選手がセンターバックで起用される可能性もあるだろう。世代交代の必要性が叫ばれていたが、23歳のDF槙野を除くと中堅以上の年齢の選手ばかり。人材難もあって一気世代交代とはいかなかった。
サイドバックは岡田ジャパン時代から常連のDF長友、DF駒野、DF内田の3人が選出。好調を維持していたDF安田(G大阪)、首位のグランパスを支えるDF阿部(名古屋)といった選手は召集されなかった。CBと同様にMF今野やMF阿部のサイドバックでの起用も十分に考えられる。
MF(ミッドフィールダー)
→ 国内組が4人、海外組が3人。国内組にとっては非常に狭き門になった。南アフリカ組ではMF稲本が落選し、北京世代のMF本田拓、MF細貝が選出されたことで若返りも進んだ。
注目は初代表のMF本田拓(清水)。清水では<4-1-2-3>の「1」のポジションを務めていて、前半戦だけに限定すると、リーグのMVP級の活躍を見せていた。「つぶすタイプ」の選手の中では異例ともいえるほどパスの精度も高く、中盤での組み立ててにも参加することが出来る。それぞれタイプは異なるが、実績のあるMF阿部、MF今野も同じポジション争いのライバル。このタイプの選手は「4人」も必要ないだけに、MF本田拓とすればまずはMF細貝を上回るパフォーマンスを見せないと、代表に生き残ることは出来ないだろう。
また、南アフリカ大会でキャプテンの務めたMF長谷部もメンバー入り。原ジャパンではコンディション不良で出場機会がなかったが、ヴォルフスブルクでのけがから復帰してレギュラーポジションをつかんでいて、調子はまずまず。中盤の軸になりうる選手なだけに、どんなプレーをみせるか楽しみにしたい。
FW(フォワード)
→ MF登録でも不思議ではない、松井、関口、本田圭、金崎、香川がFWで登録されていることが今回のザッケローニ選考の特徴だろうか?MFで登録されるか、FWで登録されるか、プレーしている選手の中にも、「FWで登録されているのでよりゴールを目指してプレーしよう」と意識が高まる選手もいるはずで、そのあたりの心理的な効果を狙ったものだろうか。とにかく8人がフォワードで登録されるという過去に記憶がないほどの大所帯となった。
注目される1番手は、やはりドルトムントでゴールを量産しているFW香川となるだろうが、ポストタイプとしてFW前田が復帰していることも見逃せないところ。岡田ジャパンはポスト役を必要としない戦術で戦うことが多く相性が悪かったが、ザッケローニ監督はポスト役を必要とするサッカーをセリエAで見せてきた。2009年の得点王で、2010年もリーグ2位の12ゴールを挙げているFW前田が代表にフィットすれば心強いが・・・。
新顔はFW関口。仙台では中盤のサイドでプレーすることがほとんどであるが、キレのあるドリブルと豊富な運動量は十分に代表レベルで、岡田ジャパン時代から代表に押す声もあったが、今回、めでたく初代表となった。改めて考えてみると、今の日本には、意外とサイドを本職としていて、サイドから一人でドリブルで打開出来るタレントは少ない。少しプレーが雑になることもあるが、持ち前の気の強さで、物怖じすることなくいつものプレーが出せれば面白いだろう。
その他
→ 落選した選手の中で気になるのはFW玉田。今シーズンは中断明けから絶好調で12試合で8ゴール。24節の清水戦ではハットトリックを記録するなど、リーグ6位タイの10ゴール。公表していないだけで代表を辞退(引退)しているという可能性や、1チームから多くの選手が選出されないような配慮がされている可能性もあるが、キレキレのFW玉田は代表でも見てみたい。
→ 今回、海外組が9人選ばれていて、国内組がほとんどだった状況と変わってきているのは好ましいことではあるが、例えばFW森本のような所属チームで出場機会を完全に失っている選手を召集するのはどうなのかという気もする。海外のチームでプレーすること、ポジションをつかむことは、Jリーグでのそれよりも難しいのは間違いないが、過剰に海外組を評価しすぎるのは好ましくはない。
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