■ 第5節4試合を終えて1敗3分けのファジアーノ岡山がホームでコンサドーレ札幌と対戦。札幌は1勝3敗とスタートダッシュに失敗。苦しい序盤戦となっている。
ホームの岡山は<4-4-2>。GK李彰剛。DF澤口、金廣閔、植田、尾崎。MF小野、保坂、臼井、川原。FW喜山、西野。
アウェーの札幌は<4-2-3-1>。GK佐藤。DF芳賀、趙晟桓、吉弘、西嶋。MF上里、ダニルソン、藤田、西、クライトン。FW宮澤。FWキリノは怪我のため欠場。
■ 待望のホーム初ゴール序盤は地力に優る札幌が優勢。前半21分には岡山がクリアしきれずに自陣でボールを奪われると、最後は新キャプテンのMF上里に得意の左足で豪快に決められて先制を許す。
ビハインドの岡山は後半開始からMF臼井に代えてFW小林を投入。さらに後半18分にドリブラーのMF妹尾を投入。
この交代で流れをつかんだ岡山は、後半23分にそのMF妹尾の右サイドからのクロスをFW西野がヘッドで決めて同点に追い付く。岡山は3試合目にして待望のホーム初ゴール。
その後は追いついた岡山が攻め込むが、札幌も何とか勝ち越しのゴールは許さずに1対1のドロー。岡山は今シーズン4回目の引き分けゲームとなった。
■ 成功したシステムチェンジ過去2試合のホームゲームでゴールのなかった岡山だったが、ようやくホーム初ゴールを記録。昇格候補の1つである札幌から勝ち点を奪うという価値のあるゴールとなった。
前半は札幌に押されてほとんどチャンスを作れなかったが、FW小林とMF妹尾の投入が効果的だった。FW小林の投入でFW喜山が右攻撃的MFにポジションを下げることになったが、FW小林の加入で喜山のパスコースがFW西野とFW小林の2つに広がったのが大きかった。
元鹿島のFW小林は昨シーズンのJFLでチームトップの19ゴールを記録しているエースストライカーでJ2での実績もあるのでゴールゲッターとしての期待もかかるが、それ以上に、この試合で見せたような「前線で起点となってボールを納める仕事」が求められる。
今シーズン、JFL3位の得点力がそのままJ2でも発揮されるかどうかは分からないが、攻撃時において相手DFと格闘して味方にチャンスを呼び込む作業はもともと定評がある部分であり、この試合でもFW小林が入ってチームの流れは良くなった。
■ 妹尾の使い方同点ゴールをアシストしたのが途中出場のMF妹尾。右サイドを主戦場とするMF妹尾のドリブルは評価の高い部分であり、攻撃的なタレントが限られているファジアーノ岡山にとっては重要な武器である。
FW喜山を除くと確実にボールをキープ出来る選手が少ない中、MF妹尾が右サイドでボールを持つとチームにスイッチが入ってゴールが生まれる確率がアップする。
同ポジションにはMF臼井もいて、MF妹尾をスーパーサブとして温存するアイディアも考えられるが、攻撃力不足の中では積極的に先発で起用してサイドを崩していきたいところ。
■ クライトンの逸機スタートで躓いた札幌としてはアウェーとはいえ新加入組の岡山を叩いて巻き返しのきっかけにしたかったが、後半は完全に岡山にペースを握られてドローに終わった。
悔やまれるのは1対0とリードしていた時間帯にMFクライトンに何度か決定的なチャンスが訪れたが追加点に結び付けられなかったことであり、2点差を付けていれば勝利の可能性は限りなく高かった。
■ ストライカーの問題J2で勝ち抜くためには最低でも15ゴール以上はマークするストライカーが必要となるが、今シーズンの札幌にはその役目を担う選手がまだ見つからない。名古屋に移籍したFWダヴィの穴埋めには成功していない。
MFクライトンをボランチではなくトップ下で起用する限り1トップが基本となるが、新外国人FWキリノはフィットしておらずコンディションも上がっていない。また、U-20代表のFW宮澤は現段階では力不足といえる。
■ 藤田征也の復活FWキリノやMFダニルソンがイマひとつの現状で、唯一の明るい材料といえるのが2007年のカナダU-20代表のMF藤田の復活。2007年のJ1昇格の立役者の一人であったが2008年は不振。ほとんどインパクトを残せないままJ1を去ることになったが、今シーズンは抜群の切れ味を見せている。
MFクライトンとのコンビネーションもよく、MF藤田のランとドリブルからチャンスを演出するシーンが非常に多く、J2レベルでは絶対的な武器となりうる。中に入る枚数と動きの質の問題でなかなかゴールには結びついていないのが残念ではある。
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