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【コンサドーレ札幌】「全選手の給与減給申し入れ」は美談なのか？そうでないのか？ | | |　

■　総額は約1億円になる。

Jリーグの再開は延期された。これまでは「○○月××日の再開を目指す。」と発表されていたが今回は無期限の延期になった。「5月下旬であれば・・・。」であったり、「6月上旬であれば・・・。」という話も出ているが見通しは明るくない。そして、仮に5月下旬や6月上旬に再開できたとしてもお客さんをフルに入れるのは難しい。今後はスポンサーの減少も予想されるのでJリーグの各クラブは大変な状況になっている。

「いくつかのJリーグのクラブが深刻な経営難に陥っても全く不思議はない状況」と言わざる得ないが、Jリーグやサッカー界は他のほとんどの団体と比べるとかなりマシな状況である。「Jリーグやサッカー界よりも財政面がしっかりしている。」と言い切れる団体は日本に限定すると限られる。いくつかのクラブが窮地に陥ったとしてもJリーグやサッカー界が助け舟を出して救うことは十分に可能である。

数日前には仙台の赤字のニュースが大きく報道されたが、暗いニュースやネガティブなニュースが多い中、「札幌の選手(28名)が自主的に年俸や試合給の減給を申し出た。」というのはいいニュースと言える。「総額は約1億円になる。」と言われているがクラブとしては相当に助かるだろう。「こういう形で選手自らがクラブに対して減給を申し出たのは日本のプロスポーツ団体の中で札幌が初めて」と報じられている。

札幌の2020年の推定の総年俸は7億5,000万円くらいになる。所属する選手の数は28名なので「J1のクラブとしてはやや少なめの人数」になるが全選手が減給に協力したという。あくまでも推定年俸になるが28名のうち19名が2,000万円以上の年俸になる。5,000万円以上の選手はMFアンデルソン・ロペス、GKク・ソンユン、FWジェイ、FWドウグラス・オリベイラ、MFルーカス・フェルナンデスの5人になる。

■　札幌の2018年の人件費は15.02億円

当然、年俸の高い選手はマイナスの額が大きくなるはず。「数百万円程度しか貰っていない若手の負担は出来るだけ減らして高額年俸の選手でカバーする」という形になると思うが、いち早く、減給を申し出たことでクラブ全体のイメージは良くなった。そして、北海道で活動するスポンサーもこういうニュースを聞くと「選手がそういう考えであるならば引き続いて選手やクラブをバックアップしよう。」と思うだろう。

本件については「素晴らしい。」という意見がある一方で、「美談にしてはいけない。」、「他のクラブも追随せざる得ない空気になるのは良くない。」という人もいる。賛否両論あるが他の団体はともかくとしてJリーグはどのクラブも相当に厳しい状況である。「他のクラブも追随せざる得ない空気になるのは良くない。」というのはこういう状態になっている以上、どちらかというとナンセンスな考え方だと思う。

Jリーグのクラブの支出の半分ほどは人件費になる。札幌の場合、2018年の営業費用は32.33億円だったがそのうちの15.02億円が人件費になる。社長やスタッフや監督やコーチなどにも人件費はかかるので結構な額になるが、「収入が減る分、何でカバーできるのか？」を考えた場合、真っ先に挙がるのは人件費になる。どのクラブも上層部は頭を痛めていると思うが真っ先に選手が動いてくれると上層部は助かる。

■　助け合って危機を乗り越えるしかない。

イメージアップのために札幌の選手が減給を申し出たわけではないと思うがこれだけ報道されると、後々、今回の減給でマイナスとなった分以上の見返りが発生する可能性は高い。お金というのは「これくらい持っていれば安心できる。」というものでもないので数千万円の年俸を貰っている選手でさえ、簡単には手放したくないものだと思うが、普通に考えると1,000万円近くの減額になる選手もいると思われる。

単純に1億円を28人で割っても1人あたり357万円になる。先のとおり、400万円や500万円しか貰っていない若手からも同じように357万円を徴収することは無理なので高給取りの選手が若手の分をカバーしないといけない。1,000万円クラスの減額になると高給取りの選手でも大変だと思うが、クラブがなくなってしまったり、クラブの経営が行き詰ってしまったら真っ先に困るのは今いる選手たちである。

ここ最近は新型コロナの問題が収束しないこともあって世界中の人がイライラしている。言い方はあまり良くないが「クレクレ乞食」になっている人が増えている。うんざりしているところがあったが全く逆の動きがサッカー界から出てきたのは嬉しい話である。試合給や勝利給もなくなっている状況なので選手も相当に大変だと思うが世界がこういう状況になっている。お互いに助け合って危機を乗り越えるしかない。