■ 波乱の展開になっているJ3リーグ5年目を迎えるJ3リーグは波乱の展開になっている。鳥取・沼津・G大阪U-23・福島・C大阪U-23の6チームは5節を終了した時点で2つ以上の貯金を持っているが、7位以下のチームは1勝1敗2分けで9位の長野を除くと全て借金持ち。「優勝候補の筆頭」と言われた秋田は2勝3敗で7位、鹿児島は1勝2敗1分けで11位、北九州は1勝2敗1分けで13位、群馬は1勝2敗1分けで14位、富山は1勝4敗で16位と苦しんでいる。
秋田・北九州・長野・富山・群馬など上位候補に挙げられたチームのほとんどがスタートダッシュに失敗しており、鳥取・G大阪U-23・C大阪U-23・福島など開幕前に下位候補と言われていたチームの多くが開幕ダッシュに成功しているのでカオスな状態になっている。2017年に最下位だった鳥取が首位に立っているが「J3の順位表は逆から見たものが本当の順位」と言われたら信じる人が続出するだろう状況である。
上位6チームと下位11チームの差が広がりつつあるが、当然、シーズンは始まったばかりである。上位候補と言われていたチームがこのまま中位以下に沈んだ状態でシーズンを終える可能性はあまり高くない。もちろん、いくつかのチームはこのまま中位以下に低迷したままでシーズンを終えることになると思うが時間が経つにつれてカオスな状態は解消されてきて違和感のない順位表になっていく可能性は高い。
■ 浮上していくチームはどこなのか?「ここから巻き返して浮上していくチームはどこなのか?」を考えてみたいと思うが『高確率で浮上してくる。』と考えられるのはJ3王者の秋田になる。2節から3連敗を喫するなど2勝3敗と低調。秋田の躓きは大きなサプライズだったが、表2のとおり、 枠内シュート率の低さが目立つ。18.3%というのはJ3で16番目。シュート数はJ3最多の15.00本なのでシュートチャンスは作れているが精度に問題を抱えている。
ペナルティエリア進入回数もJ3で最多となる。クロス数とCK獲得本数もJ3最多となる。シュートチャンスならびにゴール前を脅かすシーンは作れている。また、被シュート数は4番目の少なさで、相手の枠内シュート数も2番目の少なさなので、守備に関しても大きな問題があるとは言えない。結局、ちょっとした歯車の狂いが3連敗の理由であり、攻守ともにJ3屈指の力を持ったチームであることは明らかである。
なので、出遅れた秋田が巻き返す可能性は相当に高いと考えられる。他にはペナルティエリア進入回数の±が秋田に次いでJ3で2番目となる鹿児島もここから浮上する可能性が高いチームに挙げられる。4試合で5得点/5失点と平凡な数字が残っているが被シュート数がJ3最少。相手チームに簡単にはシュートチャンスを作らせていない。守備の堅いチームは長丁場のリーグ戦では高確率で上位に来る。
表1. ペナルティエリア進入回数とシュート数に関するスタッツ
| ペナルティエリア進入回数 | シュートに関して |
クラブ名 | 順位 | ± | 自チーム | 相手チーム | 順位 | シュート | 枠内シュート | 枠内シュート率 |
秋田 | 1 | 8.50 | 19.00 | 10.50 | 16 | 15.00 | 2.75 | 18.3% |
鹿児島 | 2 | 7.75 | 16.75 | 9.00 | 5 | 14.75 | 5.00 | 33.9% |
YS横浜 | 3 | 5.48 | 16.48 | 11.00 | 10 | 12.79 | 3.81 | 29.8% |
沼津 | 4 | 3.00 | 15.00 | 12.00 | 4 | 14.00 | 5.00 | 35.7% |
FC琉球 | 5 | 0.75 | 14.50 | 13.75 | 1 | 13.00 | 5.25 | 40.4% |
藤枝 | 5 | 0.75 | 9.00 | 8.25 | 9 | 10.00 | 3.00 | 30.0% |
G大阪U-23 | 7 | 0.50 | 13.25 | 12.75 | 13 | 14.75 | 4.25 | 28.8% |
SC相模原 | 8 | 0.33 | 11.00 | 10.67 | 3 | 10.33 | 4.00 | 38.7% |
群馬 | 9 | -0.33 | 16.67 | 17.00 | 12 | 10.33 | 3.00 | 29.0% |
北九州 | 10 | -1.33 | 8.67 | 10.00 | 17 | 9.67 | 1.33 | 13.8% |
長野 | 11 | -1.67 | 8.67 | 10.33 | 7 | 11.33 | 3.67 | 32.4% |
盛岡 | 12 | -2.00 | 16.00 | 18.00 | 8 | 14.25 | 4.50 | 31.6% |
福島 | 13 | -2.25 | 10.75 | 13.00 | 15 | 9.50 | 2.25 | 23.7% |
富山 | 14 | -2.75 | 11.50 | 14.25 | 6 | 12.25 | 4.00 | 32.7% |
鳥取 | 15 | -3.25 | 15.25 | 18.50 | 11 | 12.75 | 3.75 | 29.4% |
FC東京U-23 | 16 | -5.50 | 9.00 | 14.50 | 14 | 11.25 | 3.00 | 26.7% |
C大阪U-23 | 17 | -6.67 | 10.00 | 16.67 | 2 | 12.67 | 5.00 | 39.5% |
■ 攻撃が課題となる長野パルセイロ「悲願のJ2昇格」を目指す長野は攻撃力アップが課題となる。30mライン進入回数は41.33回でJ3で3番目。ある程度のところまでボールを運ぶことは出来ているが、もっと先のペナルティエリア進入回数は8.67回。これは北九州と並んでJ3最少となる。2つの数字の比率は21.0%でJ3最低となる。「ある程度のエリアまではボールを運ぶことが出来ているがなかなかエリア内には侵入できていない。」ということが分かる。
今シーズンも長野はアタッキングサードでのアイディアや技術が不足している。ここまでは4試合で4得点。この部分を改善できないとJ3昇格は見えてこない。北九州は30mライン進入回数も33.33回でJ3で15位。シュート数は9.33本でJ3で16位、枠内シュート数は1.33本でJ3で最少、枠内シュート率も13.8%でJ3最低。ドリブル数やクロス数もJ3で真ん中以下なのでいきなり得点力がアップすることは考えにくい。
初降格となる群馬も現時点では浮上しそうな雰囲気はない。190センチのFW大久保の高さが最大の武器になっているがドリブル数は7.00回でJ3最少。ワースト2位のC大阪U-23でも11.00回なので群馬のドリブル数は極端に少ない。ボール支配率も42.2%でJ3最低なので攻撃に関してはかなり物足りない。先日の試合はMF永藤やMF岡庭といった若手を積極的に起用したが若手の台頭は浮上のための最低条件となる。
表2. 30mライン進入回数とペナルティエリア進入回数
クラブ名 | 30mライン進入回数 | ペナルティエリア進入回数 | (%) |
秋田 | 39.25 | 19.00 | 48.4% |
群馬 | 38.00 | 16.67 | 43.9% |
鹿児島 | 38.50 | 16.75 | 43.5% |
盛岡 | 37.25 | 16.00 | 43.0% |
YS横浜 | 39.85 | 16.48 | 41.3% |
沼津 | 37.00 | 15.00 | 40.5% |
鳥取 | 41.50 | 15.25 | 36.7% |
SC相模原 | 30.33 | 11.00 | 36.3% |
FC琉球 | 40.25 | 14.50 | 36.0% |
富山 | 33.00 | 11.50 | 34.8% |
G大阪U-23 | 45.25 | 13.25 | 29.3% |
福島 | 37.25 | 10.75 | 28.9% |
C大阪U-23 | 36.33 | 10.00 | 27.5% |
北九州 | 33.33 | 8.67 | 26.0% |
藤枝 | 36.75 | 9.00 | 24.5% |
FC東京U-23 | 40.00 | 9.00 | 22.5% |
長野 | 41.33 | 8.67 | 21.0% |
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