■ ここ2試合で計4ゴール日本代表として43試合で8ゴールを挙げているDF闘莉王は昨オフに名古屋との契約が満了になってJ2の京都に移籍した。開幕の山形戦(H)はCBの位置でスタメン起用されたがPKを献上するなど守備の部分での脆さを露呈した。2節の徳島戦(H)は後半途中に怪我をしたため、それ以降はフォワードの位置でプレーするようになったが後半の終了間際に決勝ゴールを挙げて今シーズン初勝利の立役者となった。
3節の福岡戦(A)は怪我のため欠場。4節の岡山戦(A)は1対0とリードした後半19分に途中出場。CBの位置でプレーしたが終盤に2ゴールを許して逆転負け。5節の長崎戦(H)、6節の千葉戦(A)、7節の横浜FC戦(A)は怪我のため欠場。7節を終えた時点で京都は1勝5敗1分けで勝ち点「4」。まさかの21位と低迷していたが、8節の愛媛FC戦(H)で3対2で勝利すると、9節の松本山雅戦(H)も1対1のドロー。持ち直して来た。
転機になったのは8節の愛媛FC戦(H)であるが、この試合からDF闘莉王を攻撃的なポジションで起用している。これがものの見事にはまった。8節の愛媛FC戦(H)はハットトリックを達成。9節の松本山雅戦(H)も後半7分に先制ゴールを記録。後半18分にDF飯田真に同点ゴールを許して1対1の引き分けに終わったが、内容的には京都が圧倒。「あれだけ攻め込んでいたのにドローに終わったのは残念」という試合だった。
■ フォワードなのか?トップ下なのか?は微妙ここ2試合はDF闘莉王とFWケヴィン・オリスが攻撃の中心であるが、DF闘莉王のポジションは微妙。「FWケヴィン・オリスとDF闘莉王の2トップ」とも言えるし、「FWケヴィン・オリスの1トップ、DF闘莉王はトップ下」とも表現できる。攻撃のときは最前線に並ぶケースが多いが、守備のときはFWケヴィン・オリスが前、DF闘莉王が下がり目という関係性。『2トップ』とも『1トップ+トップ下』とも言える。
微妙な位置関係と言えるが、DF闘莉王は2試合で4ゴール。通算でも5試合で5ゴール。攻撃的なポジションで起用されたときのDF闘莉王のパフォーマンスは並外れたものがある。しかも、2節の徳島戦(H)は0対0で迎えた後半45分に決勝ゴールを挙げており、8節の愛媛FC戦(H)は後半47分に同じく決勝ゴールを記録。5試合で5ゴールなので数字のインパクトも凄いが、勝負強さが目立ちに目立っている。
当分の間、DF闘莉王は攻撃的なポジションで起用されると思うが、FWケヴィン・オリスとDF闘莉王のコンビは強烈である。FWケヴィン・オリスが戦列に復帰してスタメンでプレーできる状態になったことも京都にとっては非常に大きい話である。京都が急激に持ち直して来た最大の理由が「DF闘莉王の攻撃的な位置での起用」と言えるのは確かであるが、2つ目の理由としてはFWケヴィン・オリスの復帰が挙げられる。
FWケヴィン・オリスという選手は192センチ/91キロという立派な体格をしている。高さがあって強さがあって空中戦では相手の脅威になっているが、意外と献身性もあって守備の面でも頑張ってくれる。FWケヴィン・オリスとDF闘莉王の2トップあるいは1トップ+トップ下になると守備面の不安はあるが、FWケヴィン・オリスが献身的に動いてくれるので大きな問題は生じていない。ハイレベルな選手と言える。
5月3日(水)には「今シーズンのJ2の最大の目玉」と言える名古屋 vs 京都が組まれているが面白い試合になりそうだ。今シーズンの名古屋は伝統の高さが無くなっており、空中戦に強い選手が少ない。DF闘莉王を止めることが出来そうな選手は見当たらないので豊田スタジアムでDF闘莉王が躍動する可能性はある。DF闘莉王にとっては当然のことながら意地を見せたい試合なので絶対に見逃せない試合になる。
■ 世界的に見ても珍しいのではないか?結局、ここまで5試合で5ゴール。一気にJ2の得点王争いに絡んできたが、CBが本職でありながら攻撃的な位置で起用されてここまでゴールを量産できる選手というのは世界的に見ても珍しいのではないか。8節の愛媛FC戦(H)の自身2点目のゴールや9節の松本山雅戦(H)のゴールはフォワードの選手顔負けの素晴らしいボールコントロールからゴールを決めているが、「The ストライカー」と言えるゴールだった。
日本にもDF槙野(浦和)やDF森重(FC東京)やDF塩谷(広島)など「CBでありながら高い攻撃力を持っている。」、「CBでありながら得点力が高い。」と言われるCBが何人かいるが、それでも彼らがフォワードやトップ下の位置で起用されてゴールを量産できそうなイメージは全くない。それは欧州リーグで活躍している「攻撃力のあるCB」や「得点力の高いCB」と言われるワールドクラスのCBも同様である。
DF闘莉王は西野監督がチームを率いていた2015年の終盤に名古屋でもフォワードの位置で起用されている。そのときに
・DF闘莉王をフォワードとして起用したら10点は楽に取れそうなほどCFとしての能力も高い。「そんな甘くないだろう。」と感じる人もいると思うが、この4試合のプレーぶりを見ると「10点」というのはやや控えめな数字に感じるほどマルチな才能を持った選手である。
・個人的には「晩年ではなくて体が動く年齢のときに本格的にフォワードにチャレンジしてほしいな・・・。」という期待もある。
2015/10/27 「フォワードとしても一流」と言える田中マルクス闘莉王のマルチな才能
と記述しているが、密かに期待していたことが実現しつつある。CBが本職のベテラン選手が攻撃的なポジションで起用されてゴールを量産することに関しては「JリーグあるいはJ2のレベル」という視点で考えると複雑に感じるところもあるがそれでも夢のある話である。どこまでゴール数を伸ばすことが出来るだろうか・・・。
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