ボランチ編 → ベテランの活躍が目立っており、期待の若手が多くないCBとは違って、ボランチのポジションは人材が豊富である。その中でも、今シーズン、目立っているのは、湘南のMF永木、東京VのMF梶川、山形のMF宮阪、岡山のMF仙石とMF千明、水戸のMFロメロ・フランクといった選手たちで、20歳そこそこの年齢でチームの中心になっている選手もいる。
湘南のMF永木は大卒2年目のシーズンであるが、攻守の軸となってチームを引っ張っている。プレーメーカータイプで、判断の正確さとパス精度に特徴のある選手であるが、運動量も豊富で、湘南のアグレッシブで攻撃的なサッカーの中心となった。38試合で2ゴールということでゴール数は物足りないが、アシスト数は多くて、ゴールシーンに絡む活躍ができている。
一方、東京VのMF梶川は大卒ルーキーであるが、ポジションを確保して、重要な存在になっている。164センチの身長で、ピッチ上では、ひときわ、小さく見える選手であるが、ポジショニングが的確で、気の利いたプレーができる。キックの精度も高いので、彼のところにボールが渡ると、攻撃の流れがスムーズになる。
同じく大卒ルーキーのMF宮阪の活躍は、今シーズンのJ2のサプライズの1つと言える。J2降格初年度の山形は、それほど前評判は高くなかったが、開幕からMF宮阪が中盤の要になって、チームを引っ張った。ここ最近は、パフォーマンスが落ちているように感じるが、3月・4月・5月・6月あたりのプレーは見事で、直接FKから5ゴールを挙げている。守備も粘り強くて、実戦的な選手である。
39節を終えた段階で10位とクラブ史上最高位に付けている岡山は、MF仙石とMF千明のダブルボランチの活躍が光っている。ともにゲームメーカータイプなので、守備の部分で不安を感じさせるボランチコンビだったが、MF仙石も、MF千明も、守備力が向上して、絶対的な存在となった。プレーオフ進出の可能性を残す岡山の生命線であり、チームの飛躍に大きく貢献している。
異色の存在と言えるのは、松本山雅のMF喜山である。東京Vの下部組織出身で、2007年途中から2010年までは岡山でプレーして、JFL時代の2008年は32試合で18ゴールを挙げて、岡山のJ2昇格に大きく貢献したが、J2昇格後は低迷して、力を発揮できなかった。フォワードとして期待されながら苦労してきた選手であるが、今シーズン、松本山雅に移籍すると、ボランチのポジションで中心的な存在となった。精度の高い左足のキックが魅力で、一発で局面を変えることができる。
ベテランでは、甲府のJ2優勝に大きく貢献した32歳のMF山本英、FC岐阜でフルタイム出場を続けている39歳のMF服部、大分のかじ取り役を任されている34歳のMF宮沢が頑張っており、外国人選手では、京都のMFチョン・ウヨン、栃木SCのFWパウリーニョ、湘南のMFハン・グギョンの活躍も目立っている。他にも、昇格初年度の町田のMF太田もチームへの貢献度は高くて、チームは最下位ではあるが、個人としては健闘している。
よって、質の高い選手が揃っているが、「ベストプレーヤー」を選ぶと、湘南のMF永木が最有力だと思われる。運動量があって、ゲームをコントロールする力があって、ゴールに絡むプレーもできるので、万能型のボランチで、J1でも活躍できるポテンシャルを秘めた選手であり、海外クラブに狙われてもおかしくないレベルに到達しているように思う。
それ以外の選手で注目しているのは、栃木SCのMFチャ・ヨンファン、愛媛FCのMF村上、富山のMF森である。MFチャ・ヨンファンは怪我で長期離脱した時期があったので、日本のサッカーに慣れていないところもあるが、攻守とも高いポテンシャルを持った選手である。大卒ルーキーのMF村上は守備能力の高い選手で、日本のボランチでは少ないタイプである。富山の高卒3年目のMF森も、今シーズン、力を付けたので、来シーズン以降の活躍に期待したい。
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