■ FC岐阜の健闘は「ラモス効果」なのか?上の表1で注目したいのはFC岐阜である。ホーム戦(21試合)の観客動員も2013年の平均4525人から7584人に激増しているが、今シーズンはアウェーの動員のランクの平均値がリーグ5位と大健闘した。日本の真ん中付近に位置するクラブなので、「東にも、西にも、FC岐阜のサポーターが遠征しやすい。」という側面もあると思うが、磐田・松本山雅・横浜FC・湘南に次いで5位というのは立派である。
表3はFC岐阜の過去5年間の動員をまとめたものである。ホーム動員の激増については、超人FWナザリトが加入した効果もあったと思うが、やはり、「ラモス効果」が大きかったと思う。「今度の岐阜戦を観に行かない?」と言って(サッカーにあまり関心のない)友達を誘って成功させる難易度はスーパーハードであるが、「ラモスが監督をやっている岐阜戦を観に行かない?」となると若干は誘いやすくなる。
表3. FC岐阜のホーム戦とアウェー戦の観客動員について (過去5年間)
| ホーム平均(人) | アウェー平均(人) | トータルの順位 | ランクの平均 |
2010 | 3,108 | 5,658 | 211 | 10.05 |
2011 | 4,120 | 5,204 | 247 | 11.76 |
2012 | 4,270 | 5,572 | 243 | 11.57 |
2013 | 4,525 | 5,697 | 280 | 13.33 |
2014 | 7,584 | 6,921 | 193 | 9.19 |
■ 異次元だった2013年シーズンのガンバノミクス次の表4は2013年シーズンのJ2の全22チームのアウェー戦の動員についてまとめたものである。この年のJ2は何と言っても「西の横綱」と言われるG大阪がJ2に降格してきたことが大きな話題となった。「ガンバノミクス」と言われたが、ランクの平均値は驚愕の「1.14」で、アウェー戦の平均動員数13,821人というのは、平均で2位となった横浜FCの平均8,001人を5000人以上も上回っている。
表4. J2の全22チームのアウェー戦の動員について (2013年シーズン)
| クラブ名 | ランクの平均値 | アウェー平均(人) |
1 | ガンバ大阪 | 1.14 | 13,821 |
2 | 横浜FC | 6.81 | 8,001 |
3 | ヴィッセル神戸 | 7.38 | 7,703 |
4 | 東京ヴェルディ | 9.38 | 6,336 |
5 | 京都サンガ | 9.81 | 7,087 |
6 | ジェフ千葉 | 10.10 | 6,818 |
7 | 松本山雅 | 10.57 | 6,655 |
8 | コンサドーレ札幌 | 11.00 | 6,143 |
9 | V・ファーレン長崎 | 11.24 | 6,094 |
10 | ファジアーノ岡山 | 11.29 | 6,223 |
11 | ガイナーレ鳥取 | 11.33 | 6,829 |
12 | モンテディオ山形 | 11.48 | 6,004 |
13 | 徳島ヴォルティス | 11.62 | 6,548 |
14 | アビスパ福岡 | 11.90 | 6,267 |
15 | ロアッソ熊本 | 12.00 | 6,020 |
16 | 栃木SC | 12.67 | 6,033 |
17 | 水戸ホーリーホック | 12.76 | 5,805 |
18 | 愛媛FC | 12.86 | 5,954 |
19 | FC岐阜 | 13.33 | 5,697 |
20 | ギラヴァンツ北九州 | 14.29 | 5,924 |
21 | ザスパクサツ群馬 | 14.33 | 5,459 |
22 | カターレ富山 | 14.71 | 5,205 |
「ガンバノミクス」の異次元さは次の表5を見ると一目瞭然で、1位にならなかったのは4節の熊本戦と6節の札幌戦の2つだけ。「G大阪戦はすぐにチケットが売り切れる。」、「早めにチケットを取った方がいい。」というアナウンス効果もあって、シーズンの中盤以降はG大阪のアウェー戦はあっという間にチケットが売り切れるような状況だった。現役の日本代表のMF遠藤とMF今野の力は大きかった。
面白かったのは、普段は4000人や5000人しか入らないようなスタジアムが大入り満員に近くなって、そういう環境で普段プレーしていないホーム側の選手がガチガチになってしまったことである。この年のG大阪はスロースタートだったので、前半の立ち上がりは互角の展開になったが、途中でギアチェンジしたG大阪の攻撃陣が爆発してとんでもないスコアで試合が終わることも珍しくなかった。
表5. 2013年シーズンのG大阪のアウェー戦の観客動員について
節 | 日付 | ホーム | アウェイ | スタジアム | 入場者数 | ランク |
第2節 | 3月10日 | V・ファーレン長崎 | ガンバ大阪 | 長崎県立 | 18,153 | 1 |
第4節 | 3月20日 | ロアッソ熊本 | ガンバ大阪 | うまスタ | 11,874 | 2 |
第6節 | 3月31日 | コンサドーレ札幌 | ガンバ大阪 | 札幌ド | 17,020 | 3 |
第8節 | 4月14日 | モンテディオ山形 | ガンバ大阪 | NDスタ | 17,223 | 1 |
第10節 | 4月21日 | カターレ富山 | ガンバ大阪 | 富山 | 13,639 | 1 |
第13節 | 5月6日 | ヴィッセル神戸 | ガンバ大阪 | ノエスタ | 23,012 | 1 |
第14節 | 5月12日 | アビスパ福岡 | ガンバ大阪 | レベスタ | 14,526 | 1 |
第16節 | 5月26日 | 愛媛FC | ガンバ大阪 | ニンスタ | 10,381 | 1 |
第18節 | 6月8日 | ギラヴァンツ北九州 | ガンバ大阪 | 本城 | 7,207 | 1 |
第19節 | 6月15日 | 水戸ホーリーホック | ガンバ大阪 | Ksスタ | 10,025 | 1 |
第22節 | 7月3日 | FC岐阜 | ガンバ大阪 | 長良川 | 11,719 | 1 |
第23節 | 7月7日 | ジェフ千葉 | ガンバ大阪 | フクアリ | 15,982 | 1 |
第26節 | 7月27日 | 東京ヴェルディ | ガンバ大阪 | 味スタ | 18,705 | 1 |
第27節 | 8月4日 | ファジアーノ岡山 | ガンバ大阪 | カンスタ | 18,269 | 1 |
第30節 | 8月21日 | ガイナーレ鳥取 | ガンバ大阪 | とりスタ | 10,096 | 1 |
第31節 | 8月25日 | 横浜FC | ガンバ大阪 | ニッパ球 | 12,490 | 1 |
第34節 | 9月22日 | 松本山雅 | ガンバ大阪 | 松本 | 17,148 | 1 |
第36節 | 10月6日 | 栃木SC | ガンバ大阪 | 栃木グ | 10,687 | 1 |
第38節 | 10月27日 | 徳島ヴォルティス | ガンバ大阪 | 鳴門大塚 | 8,897 | 1 |
第40節 | 11月10日 | 京都サンガ | ガンバ大阪 | 西京極 | 15,380 | 1 |
第42節 | 11月24日 | ザスパクサツ群馬 | ガンバ大阪 | 正田スタ | 7,810 | 1 |
■ 3年連続で上位に入った松本山雅表6は2012年、表7は2011年、表8は2010年のJ2のアウェー動員を示している。2012年の1位は横浜FCで、2位には昇格初年度の松本山雅が入った。ランクの平均値を見ていくと、松本山雅は昇格1年目の2012年が2位で、2年目が7位で、3年目が2位だったが、特に関東近郊のスタジアムで試合が行われたときは緑色でスタンドが染まる試合も珍しくなかった。彼らが大きなパワーになったのは間違いない。
表6. J2の全22チームのアウェー戦の動員について (2012年シーズン)
| クラブ名 | ランクの平均値 | アウェー平均(人) |
1 | 横浜FC | 5.76 | 7,541 |
2 | 松本山雅 | 7.48 | 6,803 |
3 | 東京ヴェルディ | 8.90 | 6,094 |
4 | ヴァンフォーレ甲府 | 9.00 | 6,726 |
5 | ジェフ千葉 | 9.05 | 5,975 |
6 | 京都サンガ | 10.19 | 5,950 |
7 | 湘南ベルマーレ | 10.29 | 6,042 |
8 | モンテディオ山形 | 10.57 | 6,117 |
9 | ロアッソ熊本 | 11.00 | 5,611 |
10 | 徳島ヴォルティス | 11.10 | 5,993 |
11 | アビスパ福岡 | 11.43 | 5,841 |
12 | FC岐阜 | 11.57 | 5,572 |
13 | 愛媛FC | 11.67 | 5,656 |
14 | 大分トリニータ | 11.81 | 5,518 |
15 | ガイナーレ鳥取 | 11.90 | 5,448 |
16 | 栃木SC | 12.05 | 5,408 |
17 | 町田ゼルビア | 12.10 | 5,567 |
18 | ザスパ草津 | 12.81 | 5,450 |
19 | ギラヴァンツ北九州 | 12.86 | 5,229 |
20 | 水戸ホーリーホック | 13.24 | 5,139 |
21 | カターレ富山 | 13.33 | 5,302 |
22 | ファジアーノ岡山 | 13.90 | 4,730 |
表7. J2の全20チームのアウェー戦の動員について (2011年シーズン)
| クラブ名 | ランクの平均値 | アウェー平均(人) |
1 | FC東京 | 3.00 | 11,831 |
2 | 横浜FC | 5.67 | 7,893 |
3 | ジェフ千葉 | 6.43 | 7,218 |
4 | 東京ヴェルディ | 7.14 | 7,877 |
5 | コンサドーレ札幌 | 7.71 | 6,593 |
6 | ファジアーノ岡山 | 8.10 | 6,371 |
7 | 湘南ベルマーレ | 8.19 | 6,348 |
8 | ザスパ草津 | 8.71 | 6,284 |
9 | ギラヴァンツ北九州 | 8.86 | 6,219 |
10 | 大分トリニータ | 8.95 | 5,840 |
11 | サガン鳥栖 | 10.05 | 6,159 |
11 | 徳島ヴォルティス | 10.05 | 5,627 |
13 | ロアッソ熊本 | 10.19 | 6,238 |
13 | 水戸ホーリーホック | 10.19 | 5,789 |
15 | カターレ富山 | 10.38 | 6,614 |
16 | 京都サンガ | 10.81 | 5,186 |
17 | ガイナーレ鳥取 | 11.33 | 5,323 |
18 | 栃木SC | 11.43 | 4,833 |
19 | FC岐阜 | 11.76 | 5,204 |
20 | 愛媛FC | 12.00 | 5,010 |
表8. J2の全19チームのアウェー戦の動員について (2010年シーズン)
| クラブ名 | ランクの平均値 | アウェー平均(人) |
1 | ジェフ千葉 | 3.33 | 9,181 |
2 | 柏レイソル | 4.90 | 8,147 |
3 | 横浜FC | 5.43 | 8,228 |
4 | ヴァンフォーレ甲府 | 5.48 | 7,386 |
4 | コンサドーレ札幌 | 5.48 | 7,774 |
6 | アビスパ福岡 | 7.29 | 7,645 |
7 | 大分トリニータ | 7.38 | 6,681 |
8 | 東京ヴェルディ | 7.43 | 6,702 |
9 | ロアッソ熊本 | 8.00 | 6,774 |
10 | ザスパ草津 | 9.24 | 5,945 |
11 | サガン鳥栖 | 9.57 | 5,885 |
12 | カターレ富山 | 9.71 | 6,111 |
13 | ギラヴァンツ北九州 | 9.81 | 6,142 |
14 | ファジアーノ岡山 | 9.86 | 5,841 |
15 | FC岐阜 | 10.05 | 5,658 |
15 | 愛媛FC | 10.05 | 5,882 |
15 | 水戸ホーリーホック | 10.05 | 6,050 |
18 | 徳島ヴォルティス | 10.71 | 5,670 |
19 | 栃木SC | 10.95 | 5,525 |
→
J2のアウェー動員についてまとめてみた。 (後編) ~絶大なるキングカズ効果~ に続く。
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