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2024年10月20日 (日)

イスラエル批判発言に対する権威主義的取り締まり、益々強化



 木曜朝、イギリスの「対テロ」警察はエレクトロニック・インティファーダ編集者アサ・ウィンスタンリーの自宅を捜索し、ソーシャルメディアでの活動で同記者がイギリスの2006年テロ対策法に違反した疑いで複数の電子機器を押収した。

ケイトリン・ジョンストン
2024年10月18日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 木曜朝、エレクトロニック・インティファーダ編集者アサ・ウィンスタンリーの自宅をイギリス「対テロ」警察が強制捜索し、同記者がソーシャルメディアでの活動でイギリスの2006年テロ対策法に違反した疑いで複数の電子機器を押収した。

 エレクトロニック・インティファーダは、パレスチナ人の権利とアパルトヘイト・イスラエルの権利侵害に焦点を当てる独立メディアだ。この一年、同メディアは批判的ジャーナリズムを掲載してきたが、その内容は後に、主流メディアによる「集団レイプ」捏造や10月7日のイスラエルによるハンニバル指令実施などの問題に関する帝国プロパガンダに疑問を投げかけ、正当性が証明された。このジャーナリズムにウィンスタンリーは大きく貢献してきた。

 エレクトロニック・インティファーダは下記のように報じている。  
「木曜日、イギリスの対テロ警察がエレクトロニック・インティファーダ副編集長アサ・ウィンスタンリーの自宅を捜索し、所有する電子機器数台を押収した。

 「午前6時前に北ロンドンのウィンスタンリー宅に警官約10人が到着し、ジャーナリストに令状と他の書類を渡し、彼の家と車両を捜索し機器と書類を押収した。

 「ロンドン警視庁の『テロ対策本部』からウィンスタンリーに宛てる手紙には、当局はジャーナリストとしてのあなたの職業は認識しているが『それにもかかわらず、警察はテロリズム法(2006年)第1条および第2条に基づく犯罪の可能性を捜査中である』と書かれている。これら条項は『テロの奨励』という犯罪を主張している。」

 「木曜日、捜索を行った警官は、ウィンスタンリー記者に対し、捜査は同記者のソーシャルメディア投稿に関連していると伝えた。この件についてロンドン警視庁にコメントを求めたが返答は得られなかった。」

 「彼の機器は押収されたが、ウィンスタンリーは逮捕されず、いかなる罪でも起訴されていない。」
 この警察強制捜査のニュースについて「イスラエルを守るためにイスラエルに対する批判を検閲し、批判者を処罰する欧米諸国が行っている権威主義と権利侵害の度合いは言い尽くせないほど酷い」とジャーナリストのグレン・グリーンウォルドがツイートし「アメリカでは大量解雇と言論規制法がある。いつものように、イギリスではもっとひどい」と付け加えた。

 イギリスが戦争挑発する相手を「テロリスト」と指定する権利をイギリス政府が自らに与え、更にそれら「テロリスト」の支援は言論犯罪だとした途端、イギリス人ジャーナリストが自国政府の外交政策を批判したため迫害されるのを目にするのは必然となった。

 基本的に、アサ・ウィンスタンレーに対する警察襲撃で我々が目にしているのは、欧米諸国が(A)欧米の戦争挑発を批判する言論を抑圧する必要性と(B)言論の自由に対して表明した支持の両方を、やっと折り合いをつけつつあることだ。欧米諸国がすべきことは「テロ」を支持するとみなされる言論を禁止し、ハマスやヒズボラのような欧米諸国の戦争挑発の標的を「テロリスト」と指定することだけだ。

 テロを奨励する人々を許すわけにはいかないので、この策略で、欧米外交政策に関する批判的発言を合理的にみえる形で欧米帝国は抑圧できる。それは満員の劇場で「火事だ」と叫ぶのと同じことだと、言論の自由が終わる境界線を我々は勝手に決めてしまったようだ

 過去一年、イギリスがこの取り組みの先頭に立っており、ウィンスタンリーやリチャード・メドハーストなどのジャーナリストや、ミック・ネイピア、トニー・グリーンスタインリチャード・バーナードサラ・ウィルキンソンなどの活動家を「対テロ」警察が迫害してきたが、欧米諸国全体で同様な事例が生まれている。FacebookやInstagramなどのソーシャルメディアはハマスやヒズボラなどの「危険な個人や組織」を支持するとみなされる発言の検閲を益々強化しており、ここオーストラリアでは、指定された「テロリスト」団体のシンボルを公共の場で示すことを禁止する新しい法律に基づき、警察がメルボルンでのデモでヒズボラの旗を振った抗議行動参加者を捜査している

 2016年以来、情報化時代に、欧米諸国の表現の自由を支持する法律によって欧米諸国が不利な立場に置かれていることに欧米諸国の帝国経営者たちが公然と頭を悩ませ、悲嘆するのを目にしてきた。その法律により、欧米諸国政府の敵が「プロパガンダ」や「偽情報」を欧米諸国に広めることが可能になっていたのだ。指定テロ組織を支持すると解釈される可能性があるあらゆる発言を益々犯罪化することで、彼らは大きな抜け穴を見つけ、インターネットの普及により享受してきた高度に民主化された表現の自由を欧米諸国が抑制し、欧米諸国の考え方、発言、行動、投票を支配する能力を取り戻し始めている。

 もし公の議論で欧米諸国の反ジェノサイド活動家たちが勝利すれば、欧米諸国は戦争を行う能力を失うとパランティアのCEOアレックス・カープが今年初めに明言した。

 「特に大学キャンパスで起きているこうした出来事は単なる余興のようなものだと我々は思っているが、違う。それこそが大事なのだ」とカープは5月の会議で語った。「もし我々が知的議論に負ければ、軍隊を西に派遣することが永遠にできなくなるからだ」

 ご存じない方のために説明すると、パランティアはCIAが支援する監視・データ・マイニング技術企業で、アメリカ情報カルテルイスラエルの両方と密接な関係があり、アメリカ帝国の広大な監視ネットワークとパレスチナ人に対するイスラエルの残虐行為の両方で重要な役割を果たしている。カープは億万長者で、ビルダーバーグ・グループ運営委員会に所属し、世界経済フォーラムや他の金権政治帝国経営集会に頻繁に登場している

 今年5月、マケイン研究所で行われたミット・ロムニー上院議員とアントニー・ブリンケン国務長官の対談でも、帝国の苦悩が再び示された。会話の中で、帝国経営者たちが通常は明言しない、いくつかの事実を二人は認めた。

 イスラエルのガザ攻撃に関する「広報」がうまくいっていないと嘆いた後、だからこそ「TikTokやその種の他組織を閉鎖すべきだという我々の意見が圧倒的に支持された」のだとロムニーははっきり言った。ここで言う「我々」とは彼と連邦議会議員連中を指す。

 「この物語がどのように発展するのか、それは素晴らしい質問だ」とブリンケンは答え、ワシントンでの職歴初めの頃は誰もがテレビやニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、ワシントン・ポストなど紙の新聞から情報を得ていたと語った。

 「もちろん、今、我々は1ミリ秒ごとに新しい刺激や情報入力を静脈注射で受けている」とブリンケンは続けた。「そしてもちろん、ソーシャルメディア上でのこの展開が物語を支配してきた。そして、ソーシャルメディアの生態環境では、文脈や歴史や事実が失われ、感情、画像の影響力が支配的になっている。そして、我々はそれを無視することはできないまが、それは物語に非常に非常に非常に困難な影響も与えていると思う。」

 「物語」という単語を彼が三回言っているのにお気づきだろうか。帝国経営者連中は、お互い、このように話す。あらゆることを、連中がこのように考えているからだ。

 これは、普通の人間が気づいていないあることを、帝国経営者が常に鋭く認識しているためだ。つまり、本当の権力は、人々が自分たちの現実について語る物語、つまりナラティブを操作することから生まれることだ。

 人間は物語を語る動物で、その内面生活は典型的には、起きていることについての精神的物語によって支配されているのを彼らは理解しており、その物語を支配できれば、人間を支配できるのだ。

 彼らは、権力は起きることを支配するものだと理解しているが、本当の権力は起きることについて人々がどう考えるかを支配するのだ。

 物語を支配する者が世界を支配することを彼らは、理解している。

 マスメディアのプロパガンダや、シリコンバレーのアルゴリズム操作や、金権政治家が資金提供するシンクタンクや、ニューヨークやハリウッドの主流文化製造組織などで起きていることはまさにこれで、イギリスでジャーナリストや活動家に対する警察の取り締まりで起きているのもこれだ。社会を支配する物語を支配することで社会を支配できることを巧妙な人を操る少数の連中は理解しており、それに従って行動している。

 支配者連中は普通の人々が考えるような考え方をしない。正しいことをしたり、皆の利益になるような行動をとったりすることは考えない。真実や誠実さや、その欠如について考えることもない。人々が互いにどんな話をしているかや、自分たちが管理する帝国の権益を増進する方法で、その物語を、どう変えられるかということだけを考えている。

 帝国管理者、そして一般的に高度に人を操る連中は、普通の人々が遣う方法では言語を遣わない。普通の人は、つながりやコミュニケーションのために言語を使うが、人を操つる連中は人々から欲しいものを引き出し、人々を支配するためにのみ言語を使う。彼らは、人々が物質的現実について持っている物語を支配して、これをする。

 だからこそ、イスラエルに対して人々がこれほど怒っているかについて、ロムニーやブリンケンなどの連中が話し合う際に、イスラエルの社会的イメージが自らの行動によって、いかに傷つけられるかを議論したり、残忍な振る舞いをやめるだけでイスラエルがイメージを改善できると示唆したりすることは連中には思い浮かばない。イスラエルが何をしているかという「物語」と、人々がオンラインで互いに考えや情報を共有できるため、物語を支配するのがいかに困難になっているか、しか連中は話さない。

 だからガザとレバノンの流血や惨劇を、普通の人々が見て、声を振り絞ってそれを止める必要があると叫ぶ中、支配者連中は我々の声を聞き「連中にその物語を信じさせるのをやめさせ、別の物語を信じさせる方法を見つける必要がある」と考えるのだ。

 デモやネット上での言論の自由を抑圧しようとする試みは、まさにそれだ。言論の統制を失えば軍隊を展開できなくなるのを連中は理解している。

 だから、連中の言論統制を阻止しようとする、あなたの試みがうまくいっていないなどと誤解しないで頂きたい。あなたの抗議活動が何も変化をもたらさないとか、あなたの反体制的発言は権力者にとって脅威ではないなどと誰かに言われても信じないで頂きたい。我々がしていることに効果がなければ、我々を止めようとして帝国経営者連中が怒り狂ってなどいないはずだ。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/10/18/more-authoritarian-crackdowns-on-speech-thats-critical-of-israel/

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