新世界秩序を示唆する最近のカザフスタン・クーデタ未遂
2022年1月9日
ジェームズ・オニール
New Eastern Outlook
最近ジュネーブとブリュッセルで開催されたロシア代表団とアメリカとヨーロッパ代表団間の会談は何の合意もなしに終わった。ロシアは彼らの要求に対するアメリカとNATOの回答に一週間の期限を与えた。NATOが東方向への拡大という野心を終わらせるだけでなく、アメリカはロシア国境から彼らの兵器と軍隊を撤退すべきだというロシアの要求に、アメリカが同意する可能性は事実上皆無だ。
アメリカ人に問わなければならない極めて重要な質問がある。彼らがした約束を実際に守る可能性は、どれだけあるのか?この点、アメリカの実績は、彼らが同意したことを実際に守ると信じるどんな根拠もない。アメリカとのどんな約束も実際守られるというどんな信頼性にも悲観的見解を裏付ける破られたアメリカの誓約の長く情けない実績がある。
アメリカ約束の誠実さについて、まさに本物の手がかりがカザフスタンでの最近のクーデター未遂で見られる。そこで高度に組織された外国人集団がカザフスタン政府に対するクーデターを試みるため、燃料価格大幅値上げによる現地の多少の反乱につけこんだ。
カザフスタン政府の要請を受けてロシアが率いた介入の素早さは、クーデター未遂が、対応したロシアと同盟諸国にとって驚きでなかったことを示唆している。カザフスタン政府のためロシアが率いた動きに対するアメリカの対応も、アメリカがクーデターの企てに深く関係していたことを疑わざるを得ない。
アントニー・ブリンケン国務長官は、ロシアが率いた支援活動に説明を要求した。彼は明らかに1994年の、まさにカザフスタン政府が出くわした類の状況に対処するよう意図された、カザフスタン、ロシアと他の国々間の協定を知らないのだ。皮肉の意図皆無で、ブリンケンはロシア駐留が長期間続き、排除は困難だろうと示唆した。
実際、到着して一週間後、ロシアは彼らの部隊は任務を完了し、来週中に撤退すると発表した。ブリンケンが、この進展に対応していたとすれば、私はそれを見ていない。これはロシアに率いられた作戦成功が、カザフスタン政府の全ての問題を解決したことを示唆しない。特に最近の混乱中、低姿勢を維持した彼の前任者をどうすべきかを含め、ロシア語と中国語両方に流ちょうな大統領には、まだ解決すべき、いくつかの国内問題がある。前大統領派がトカエフの敏速な対応に賛成しなかったことはほとんど疑いがない。特に、政府から大いに必要だった前任者派閥の大掃除をするのにトカエフが不穏状態を利用した方法に恐れを感じているはずだ。前政権の主要メンバーの何人かが逮捕され、彼らの裁判は関心を持って注目されるだろう。
ロシアと中国政府は、明らかに不穏状態の正体を見抜いている。ロシアと中国に友好的な政権を打倒し、旧政権の路線を維持すると誓約する人物に置き換えるためのクーデターを装った企みだ。
カザフスタンは、実際上海協力機構とユーラシア経済連合を含め、近年ロシアと中国が発展させた組織のいくつかの重要なメンバーだ。それはユーロビジョンの中枢の重要な地域を占め、土地面積で世界8番目に大きく、重要な物理的存在感を持っている。
クーデター未遂のタイミングは、犯人の本当の動機についても主要な手がかりを与える。ロシア政府とアメリカとヨーロッパ政府との交渉が、クーデターが組織されていたのと全く同時期に行われていた。それは明らかに、ロシア南東国境で深刻な安全保障問題を起こして、ロシア政府の注意を会談からそらすよう意図されていた。
現時点では、アメリカ外交問題責任者アントニー・ブリンケンとビクトリア・ヌーランドが、クーデタ未遂に関し、どの程度知っていたか不明だ。二人ともロシアのあらゆることへの理屈抜きの嫌悪で知られており、彼らがクーデター未遂を知っていて承認したと分かっても決して驚くべきことではない。もし成功していれば、それはロシアと中国にとって深刻な問題を起こし、この地域で進行中の中国とロシアによる経済開発の下で、ユーラシア統合への着実に増大する動きに悪影響を及ぼしたはずだ。
一帯一路構想は、第二次世界大戦後の長い期間、世界の大部分において、経済的、社会的発展の性質と進路を規定するのに成功したアメリカ覇権に対する最も重要な挑戦だ。一帯一路構想は、その全てを変えつつあり、近年の歴史で初めて、アメリカは、どう適切に対応すべきか分からずにいる。ロシアと中国が国際問題に対処する適切な基礎だと強く主張する国際法体制への、ありうる代替案としての「ルールに基づく国際秩序」に訴える試みのようなそぶりを我々は目にしている。
アメリカは、中国を彼らの世界構想に対する最大の脅威と見なしており、不変の反中国プロパガンダは、止めることのできない中国の台頭と戦うための彼らの主要兵器の一つだ。近年アメリカは次第に、アメリカへの中国製品輸出を困難にしつつある。最近ようやくカナダでの拘留から解放されたファーウェイ副社長に行われたキャンペーンは、この容赦ないアメリカ圧力の一例だ。
アメリカは、最近中国を更に脅迫する手段以外、絶対に他のどんな目的もない、アメリカと/またはイギリス製原子力潜水艦を購入に同意して、アメリカの世界観と、世界支配の企みに服従を示し、忠実に彼らの言いなりになるオーストラリアに依然頼ることができる。モリソン政府が次第に中国とのオーストラリアの重要な経済関係を破壊していることが、オーストラリアでは驚くほど小さな反応しか引き起こしていないように見える。アジアの海における白人の前哨基地としての役割は、アジアでの白人優越論が当然のことと考えられていた以前の時代に先祖返りの反映だ。
オーストラリアが加入を拒否し、ビクトリア州に脱退を強いた一帯一路構想は、オーストラリア近隣諸国と一連の関係を強化し、オーストラリア政府が直面するのを拒否する現実となっている。世界のこの地域は、他の多くの地域と同様、取り返しがつかないほど変わりつつある。オーストラリアは、この新天地から取り残される危険を冒している。最近ではカザフスタンでの、地政学的風景を強制的に変えるアメリカの試みの失敗は、新しい現実を示しており、その力は阻止不可能だ。
ジェームズ・オニールは、オーストラリアを本拠とする元法廷弁護士で地政学専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
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五輪映画宣伝の逆効果。「残念だ。」
デモクラシータイムス 一時間三十七分 元NHKで番組制作をしておられた永田氏の解説は素晴らしい。
五野井郁夫氏、安田浩一氏、永田浩三氏
「救急搬送困難事案は先週4151件! 前週から44%も急増!
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