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2017年8月22日 (火)

戦争の“狂気”が、ぼんやりとしかわからない『ハクソー・リッジ』

Joanne Laurier
2016年11月17日
wsws

『ハクソー・リッジ』

『ハクソー・リッジ』、監督:メル・ギブソン、脚本:アンドリュー・ナイト、ロバート・シェンカン;

メル・ギブソンの『ハクソー・リッジ』は、第二次世界大戦で、1945年の沖縄戦における勇気ある働きで名誉勲章を受章した最初で唯一の良心的兵役拒否者デズモンド・トーマス・ドスの物語だ。沖縄戦、82日間の戦争で、太平洋戦域最大の上陸作戦が行われた。結果的に、100,000人以上の日本軍兵士と、50,000人以上の連合軍兵士が亡くなった。

ドス (1919-2006)は、兵器を持たないという彼の権利を守って、軍幹部や同僚兵士たちと激烈な戦いをしたアメリカ陸軍伍長の衛生兵だ。彼は第77歩兵師団、第307歩兵隊、第1大隊ライフル部隊に配属された後、殴打され、投獄され、無数の報復を受ける。


『ハクソー・リッジ』のアンドリュー・ガーフィールド

『ハクソー・リッジ』は、ほぼ別の二つの映画で構成されている。ギブソンによる、’s initial presentation of デズモンド・ドス (アンドリュー・ガーフィールド) is measured、倫理的に、殺人には反対するが、戦争遂行は支援したい人物に対する共感さえ示している。ドスの物語と並ならぬ状況を説明する部分は、総じて良くできている。だが、映画の戦場場面は、度を超して暴力的で、グロテスクで、膨大な量の血や、内臓や、餌にありつくネズミに満ちており、サド-ポルノ風の趣で構成されている。この挑発的なほど残虐な場面で、観客は忍耐力を試される。

冒頭の短い戦闘場面の後、映画は1929年、ブルー・リッジ山脈のバージニア州、リンチバーグにあるドスの極貧家庭へと戻る。デズモンドの父親、トム・ドス(ヒューゴ・ウィービング)は、どうやら第一次世界時の戦闘のトラウマにさいなまれており、酒に逃避せずにはいられない。彼は良く三人の親友の墓参りをする。トムは今や、妻のバーサ(レイチェル・グリフィス)と息子二人を虐待する冷酷な失意の人だ。

デズモンドは子供時代、野山を駆け回っていた。彼の身体能力は、後に軍務において、重要な役割を果たすこととなる。彼はセブンスデー・アドベンティスト信者でもあり、『十戒』、特に“汝、殺すことなかれ”を深く信じている。デズモンドの非暴力主義は、ばか騒ぎをしていて、すんでのところで兄を殺しそうになり、父親が銃で母親を威嚇するのを見た後、更に深まる。

南カリフォルニア、フォート・ジャクソンでの基礎訓練に出発する前に、ドスは恋人のドロシー(テリーサ・パーマー)に、休暇で帰国した時に結婚して欲しいと頼む。

ブート・キャンプでは、訓練のあらゆる運動能力で秀でているデズモンドは、銃に触れることを断固として拒否する。彼がハウエル軍曹(ビンス・ボーン)とグローバー大尉(サム・ワーシントン)の指揮下に入ると、二人は彼を叱りつけ、同僚の兵士たちから、彼が酷く殴られるのを見て見ぬふりをし、屈辱的で、極めて不快な役務を彼に強い、彼を投獄し、彼が軍隊から追放されることになるはずの裁判にかける。ところが重大な局面で、デズモンドが武器を持つのを拒否するのは憲法で守られた権利であることを証明する彼の元部隊長からの手紙を持って、父親が法廷に押し入る。映画のこの部分は、ある程度の技量と感覚で作られている。

“『ハクソー・リッジ(弓鋸尾根)』と称される前田高地の急峻な断崖”を、敵日本軍と対決すべく、アメリカ軍兵士がよじのぼらなければならなかった1945年の沖縄戦を再現するにあたって、ギブソンは過熱状態となる。ほとんど見るに耐えない大虐殺の中、デズモンドは、i宗教的な動機の熱狂で(“神よ、もう一人助けさせたまえ”)、部隊撤収時、見込みがないと置き去りにされた、75人のぼろぼろになったアメリカ軍兵士を救出する。“臆病な”良心的兵役拒否者による英雄的行為がアメリカ軍小隊の元気を回復させる。


『ハクソー・リッジ』

『ハクソー・リッジ』の後記に、2006年に、87歳で亡くなったデズモンド・ドス本人と、彼が救出した数人の人々のビデオがある。

ギブソンは才能ある俳優で、時に監督として、ある種の才能を見せることがある。残念なことに、彼はかなり素朴な物の見方の持ち主のようだ。残忍で無茶苦茶な野蛮人に過ぎないような日本人描写で、彼の後進性と粗野さが大いに発揮される。こうして彼は、二度目の帝国主義戦争に関する、民主主義と野蛮との間の“良い戦争”という公式説明を無批判に受け入れ、そのまま伝えているのだ。

おそらく暴力の恐怖に襲われながらも魅了され、ギブソンは心を奪われたようで、人間の残虐さを、いかなる社会的、歴史的文脈の中にも、描けずにいる。彼は、監督としての仕事を、ほぼ終始、救い難いほど理解できずにいる。

暴力の信じがたい程の描写が、彼が出会う困難な社会的、心理的問題のお気に入りの解決策のようだ。結果的に、『ブレーブ・ハート』、『パッション』、『アポカリプト』などの映画は、致命的かつ、どうしようもないほど失敗している。

以下、中略

グーグルの検閲と戦おう!

グーグルは、World Socialist Web Siteを検索結果掲載を妨害している。

このブラックリスト工作と戦うため:
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記事原文のurl:https://www.wsws.org/en/articles/2016/11/17/ridg-n17.html
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『ハクソー・リッジ』と『メッセージ』についての評論記事の、『ハクソー・リッジ』部分のみ翻訳したもの。『メッセージ』部分は勝手ながら割愛させていただく。

昼の大本営広報部洗脳番組、例のごとく、見るに耐えない。

昨日のIWJ岩上氏による村上誠一郎議員インタビューとは、月とスッポン。

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<昨日の岩上安身によるインタビュー報告>「安倍さんは武士(もののふ)として自ら進退を決めるべきだ」~「ミスター自民党」がアベ政治をぶった斬る!村上誠一郎議員に岩上安身が訊く!
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 おはようございます。テキスト班の原佑介です。

 昨日は岩上さんが「ミスター自民党」を自認する村上誠一郎議員にインタビューしました。

 村上議員は、秘密保護法や新安保法制、共謀罪法案など、安倍政権が暴走するたびに、ひとり大声で異論を唱え続けてきたことで知られ、安倍一強が続く自民党内にあって、まさに「異色の存在」です(逆に言えば、異論を唱えるだけで「異色の存在」になってしまうほど、今の自民党は「イエスマン」だらけで、それはそれでとても危機的状況だと言えますが…)。

 「安倍政権は、財政、金融、社会保障を立て直すことを真っ先にやらなければならないのに、憲法改正や安全保障関連法、『共謀罪』法などを優先させている。財政、金融、経済政策などが後手に回っている」と考えた村上議員は、今年5月、「脱アベノミクス」を考える勉強会を発足させました。

 会の正式名称は「財政・金融・社会保障制度に関する勉強会」で、会長には消費増税の延期をめぐり、安倍総理と対立した野田毅(たけし)・前自民党税制調査会長が就任。村上議員も野田議員も「一匹狼」タイプの議員ですが、初回の勉強会にはなんと、60人もの自民党議員が参加。安倍政権への不満が自民党内に充満しているということを如実に表わしていました。

 勉強会の講師に招かれた元日本銀行理事の早川英男氏は、日銀のマイナス金利政策を「限界に来ている」と批判。「13年4月の金融緩和は、米軍に対する奇襲に成功した真珠湾攻撃、14年10月の追加緩和は日本軍が敗北したミッドウェー海戦のように思えてならない」などと、語っています。

 自民党内で、これほどまともな勉強会が開かれ、多くの議員が参集していたなど、あまり想像がつきませんが、実際には、まともな議員も息を殺すようにして潜んでいるのかもしれません。

・かすむアベノミクス 企業業績好調 なぜ賃金はそれほどでも…(毎日新聞、2017年7月28日)

https://mainichi.jp/articles/20170728/dde/012/010/009000c

 昨日のインタビューで村上議員は、安倍内閣の支持率急落っぷりについて、「政策面含めて180度転換する時期ではないでしょうか。安倍さんの財政、金融、外交、ほとんどが行き詰まっている」と断言。「社会保障の医療・介護は次世代の『ツケ』でやっているので、次の世代が萎縮してしまっていて、消費に向かわない」と述べるなど、繰り返し「次世代」への懸念を示されました。

 さらに、「まだ借金がいくらでもできるという人がいる。明治時代は、日露戦争でお金がないときで、名目GDPの60%の借金を抱えた。第二次世界大戦はGDPの200%の借金がありました。今は、戦争もしていないのに230%の借金がある。財政がこんな状況だというのに、憲法改正の話をしている場合ではない」と訴え、「大局的な政治判断が必要なのに、ほとんどの国会議員が関心を持っていない。もはやアベノミクスは『ナニモナイミクス』だ」と喝破しました。

 愛媛県今治市を地元とする村上議員には、当然、加計学園問題についてもお話をうかがい、加計学園誘致に奔走した加戸守行(かともりゆき)元愛媛県知事に「(獣医学部新設は)無理です」と何度も伝えていたことなど、「当事者」のひとりとして具体的なお話をお聞きしました。

 インタビューでは、四国に配備されたPAC3がミサイル防衛に役立たないこと、そして稲田朋美・前防衛相が辞任するキッカケとなった、陸自PKO部隊の「日報隠蔽問題」に関連し、官邸による「隠蔽指示」があった可能性が高いことなどについてもお話いただいています。「安倍さんは武士(もののふ)として自ら進退を決めるべきだ」と突きつけた村上議員のインタビュー、本日中に下記URLでアップする予定ですので、お見逃しになった方はぜひアーカイブで御覧ください!

※「安倍さんは武士(もののふ)として自ら進退を決めるべきだ」~ミスター自民党がアベ政治をぶった斬る!「こんな財政状況で改憲の話している場合ではない」村上誠一郎議員に岩上安身が訊く!

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/395998

 では、本日もIWJをよろしくお願いいたします!

IWJ 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル
岩上安身サポーターズクラブ事務局
公式サイト 【 http://iwj.co.jp/

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コメント

まーその、安倍は武士じゃないから恥という概念など皆無。なので何を期待しても無理というものです。

武士どころか、一般的な日本人としての矜持すら持ち合わせてません。

あるのはただ、強い者に媚び諂う卑しさと虚栄心だけ。

そしてグローバリスト特有のサイコパスなだけに、国民を欺き通す信念だけは誰にも負けない自信に満ちているという事。

これにそっくりなのが緑のタヌキ婆さん。
こちらは安倍を上回るカリスマ性を持っているだけに、より危険です。

民進党の代表戦次第では、その恐ろしいシナリオが現実のものとなりましょう。
今はただ、サポーターの方々が正しい判断をしてくれるのを祈るのみであります。

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