“お互いに有利な”ものから“巨大ハズレ”と化したアメリカ-サウジアラビア石油協定
F. William Engdahl
New Eastern Outlook
2015年8月8日
一体誰が、こんなことになると予想しただろう? オバマ政権も、連中の聡明な地政学シンクタンク・ネオコン戦略家連中も、決してそうではない。
9月11日、ジェッダ会談中の昨年9月の、サウジアラビアの病んでいるアブドゥッラー国王と、ジョン・ケリーとの華々しい“お互いに有利な”提案は単純だった。1986年に、ワシントンが、サウジアラビアに、供給過剰の時に、世界で石油価格を崩壊させる為、世界市場をあふれさせる、ある種“逆オイル・ショック”をするよう説得し、大成功した国務省-サウジ合意の再現だ。1986年には、ドル権力掌握を維持する為に、石油輸出収入に大いに依存しているぐらついているソ連を破壊するのに成功した。
だから公表はされなかったが、ケリーとアブドゥッラー国王は、2014年9月11日、サウジアラビアは、その石油の力を、今日、プーチンのロシアを跪かせる為に使うことに同意した。
当時、実に素晴らしい考えに見えたことは疑いようがない。
翌日、2014年9月12日、ぴったりの名前をつけた、アメリカ財務省のデビッド・S・コーエン財務次官率いるテロ・金融インテリジェンス局が、巨大エネルギー企業ガスプロム、ガスプロム・ネフチ、ルクオイル、スルグトネフトガスとロスネフチに対する新たな対ロシア経済制裁を発表した。この制裁は、アメリカの石油会社が、沖合や北極の石油やガスで、ロシア企業とのジョイント・ベンチャーへの参加を禁じている。
当時、ルーブルが急速に下落し、ロシア大企業が、期末決算の為、ドル集めに奔走する中、世界石油価格の崩壊がプーチン支配を終わらせるはずだった。それが明らかに、現在ワシントンでなら、政治家として通じる脱け殻の魂連中が考えていたことだ。ビクトリア・ヌーランドは大喜びで、デビッド・コーエンの財務省金融テロ部隊の新たな金融戦争兵器の正確さを称賛した。
2014年7月、アメリカ国内石油価格の基準価格、ウェスト・テキサス・インターミディエイトWTIは、一バレル、101ドルで取り引きされていた。シェール石油の大当たりがブームで、1970年代以来はじめて、アメリカが、石油の主役となった。
今年1月、WTIが46ドルまで低下すると、事態の様相は一転した。ワシントンは自ら墓穴を掘ったことに気がついたのだ。
債務過剰のアメリカ・シェール石油業界は、下落する石油価格で崩壊寸前であることに連中は気がついた。当時のアメリカ・シェール石油業界の迫り来る破産倒壊連鎖反応を、人為的に安定化させる為に、舞台裏で、ワシントンと、ウオール街は共謀していた。その結果、石油価格はゆっくり上昇を始め、2月には、53ドルになった。ウオール街とワシントンのプロパガンダ機関は、石油価格下落の終わりを語り始めた。5月迄に、価格は、62ドルまでジワジワ上昇し、ほぼ全員が石油価格回復が進行中だと確信していた。いかに彼等が間違っていたことか。
不満なサウジアラビア
9月11日のケリー-アブドゥッラー会談(ブッシュ一家 2001年9月11日の出来事や、それを巡るサウジアラビアの関与を隠蔽しているという疑惑の雰囲気を考えると、実に奇妙な日付を選んだものだ)以来、サウジアラビアでは、絶対君主制の二つの聖なるモスク守護者の新たな老いゆく国王サルマン王が、死去した老アブドゥッラー国王の後継者となった。ところが、石油大臣は、あいかわらず79歳のアリ・ヌアイミだ。ケリー提案を、同時に、型破りなアメリカ・シェール石油産業の産出増加という市場に対する拡大する挑戦を全滅させるのに利用する千載一遇の機会を見いだしたのは、他ならぬアリ・ヌアイミ石油大臣だったと報じられている。サウジの世界石油市場支配に対するアメリカ・シェール石油の“かく乱”を消滅させると固く決意しているとアリ・ヌアイミは繰り返し述べている。
サウジアラビアは、彼らの石油王国に対するアメリカ・シェール石油の侵入だけを不快に思っているわけではない。数カ月のうちに、イラン経済制裁解除を実現させる可能性がある、イランとオバマ政権の最近の合意に、サウジアラビアは激怒している。実際サウジアラビアは、ワシントンへの怒りでわれを忘れるあまり、サウジアラビアは、地域における-シリアで、レバノンで、イラクでの、イラン支配力の増強と見るものと戦う為に、究極の敵、イスラエルとの同盟すらあからさまに、認めている。
こうしたこと全てが相まって、近しい湾岸アラブ同盟諸国の支援を受けたサウジアラビアは、1月、シェール石油会社破産の波が起き、ワシントンとウオール街の操作で止められるまで、石油価格を更に崩壊させ、アメリカ・シェール石油との競争を片付けると堅く決断したのだ。そういう日は間もなくやってくる可能性がある。その様な結果を受け入れる余裕がほとんどない時期に、世界中の金融体制にとって意図しない結果として。
ウオール街の銀行、モルガン・スタンレーの最近のレポートによると、原油市場の主役であるOPEC石油産油諸国は、既に溢れた世界市場に、衰える兆しもなく石油供給を積極的に増やしてきた。報告の中で、モルガン・スタンレーは、あからさまな警戒感を持って述べている。“OPECは、過去四カ月だけでも、世界供給に、150万バレル/日を加え…石油市場は、現在800,000バレル/日の供給過剰だ。これは、石油市場における現在の供給過剰は、もっぱら2月以来のOPEC生産増加によるものであることを示唆している。”
ウオール街銀行報告は、不安にさせるような調子で述べている。“我々は、OPECは削減しないだろうとは予想していたが、そのような急激な増加を予想しなかった。”要するに、ワシントンは、サウジアラビア対する戦略的影響力を完全に失ったのだ、王国は、1945年、アメリカ石油メジャーを、独占的に呼び入れる、フランクリン・ルーズベルトの取り引き以来、ワシントンの属国と見なされてきた。
アメリカ-サウジ対話の断絶が、最近6月18日、サウジアラビア副皇太子、国防大臣、サルマン国王の息子、ムハンマド・ビン・サルマン王子がサンクト・ペテルブルクを訪問し、ウラジーミル・プーチン大統領と会談するという新たな次元をもたらした。会談は、両者によって綿密に準備され、ロシアによる王国での平和な原子力発電所建設と、ロシアの先進的軍事機器提供、ロシアの農業、医薬品、物流、小売りや、不動産部門へのサウジの投資を含む100億ドルの貿易協定が論議された。サウジアラビアは、現在、世界最大の石油産出国で、ロシアがそれに続く二位だ。いかなるレベルのサウジ-ロシア同盟であれ、ワシントン国務省立案者の戦略教科書には全く見当たらない。…ちくしょう!
サウジアラビアが引き起こしたOPEC石油による供給過剰が、石油価格を押し上げようとするアメリカの脆い企みを挫いてしまった。イランとの合意が、供給過剰に輪をかけ、そして、世界第二位の石油輸入国、中国が、中国経済が減速する中、輸入を削減するか、あるいは、少なくとも、増加しない可能性があるという恐怖で、価格下落は更にたきつけられた。石油市場時限爆弾は、6月最後の週に爆発した。アメリカのWTI石油価格は、少なくとも多くのシェール石油生産者が、しばらくは何とかやりくりしていられるレベルの一バレル60ドルから、7月29日の49ドルで、四週で18%以上の下落という下落傾向だ。
モルガン・スタンレーは警鐘を大きく打ち鳴らし、もし、ここ数週間の傾向が続けば“今回の下落は、1986年のものよりも遥かに厳しいものとなろう。それ以前の15年間、急激な下落は無かったので、現在の下落は、過去45年間以上の中で最悪だ。もしそうなれば、このサイクルの次段階の指針になるような我々の経験は皆無で…実際、分析可能な歴史には何もない可能性がある。”と述べている。
‘オクトバー・サプライズ’
10月は、アメリカのシェール企業融資を繰り越すか、あるいは、価格がゆっくりと回復するであろうという(これまでのところ)希望で、返済を繰り延べし続けるという、銀行による決断の次の重要な時期だ。もし強く示唆されている様に、9月に、2007年にアメリカ不動産市場で世界金融危機が勃発して以来、8年間で、はじめて連邦準備金制度理事会が、アメリカの利子率を上げれば、大変な負債があるアメリカのシェール石油生産者は、新たな規模の災厄に直面する。シェール生産者達が、キャッシュフローを最大化しようと、しゃにむに試みているので、過去数週間まで、アメリカ・シェール石油生産量は最大のままで、皮肉なことに、自らの終焉となる、世界的石油供給過剰の種をまいている。
アメリカのシェール石油会社が、昨年11月以来事業を継続できていて、破産宣告しないでいる理由は、連邦準備金制度理事会が継続しているゼロ金利政策のおかげで、銀行や他の投資家達が、いわゆる“高利回り”債券市場で、より高い金利を求めることがある。
1980年代当時、マイケル・ミルケンと彼の詐欺師仲間が、ドレクセル・バーナム・ランバートで、最初に作り出した際、今、シェール石油企業でそうなっている様に、状況が悪化すると、ジャンク(くず)になるので、ウオール街は、これを適切にも“ジャンク・ボンド”と呼んだ。最近のUBS銀行報告はこう述べている。“全体的な高利回り市場の規模は倍増した。近年、より上り調子に発行されていた部門、エネルギーや金属鉱業等では、負債残高が、三倍から四倍になっている。”
ごく最近のWTI石油価格低下が、10月まで毎週続いたとすると、こうした高利回り、ハイリスクのジャンク・ボンドを何十億ドルも売り出すパニックになりかねない。ある投資専門家はこう語っている。“小口の大衆が、集団脱出へ向かい始めれば、ファンド・マネージャー連中は、非流動性の二次的企業債券市場に直面することを強いられようが、市場に深さがなければ…大安売りの火付け役となる可能性がある。”
問題は、今回は、2008年とは違い、連邦準備金制度理事会には動く余地がないことだ。金利は既にほぼゼロ金利で、連邦準備金制度理事会は、アメリカの銀行パニックの連鎖反応を防ぐ為に、何兆ドルもの銀行の不良債権を購入した。
ワシントンで全く議論されていないオプションの一つは、わが国の資金支配を、民間銀行家集団にまかせた1913年の破滅的な連邦準備金制度理事会法を、議会が廃止し、憲法が意図していた様に、腐敗したウオール街銀行家の仲介無しで、債権を発行し、連邦債務を売ることができるアメリカ合州国政府が完全に所有する国立銀行を創設することだ。同時に“アメリカ合州国の基盤を、そしてその延長として、世界の大半での世界準備通貨としてのドルの役割を破壊する金融混乱の背景にいる大き過ぎて潰せない”銀行の6行なり、7行なりを完全に国有化することも可能だ。
F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事。
記事原文のurl:http://journal-neo.org/2015/08/08/us-s-saudi-oil-deal-from-win-win-to-mega-loose/
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小生も、ずっと同じ疑問を感じている。
官民一体の隠蔽作業ではという疑問を。
櫻井ジャーナル 2015.08.11
日航123便が群馬県に墜落した10年後、米軍の準機関紙に掲載された記事が日本政府に与えた影響
「報道が一斉に同じことを言う場合、とんでもない背景がある」と小生は思い込んでいる。
石油価格下落で、火力発電コストは大きく下がっている。
再稼動を擁護した、ゆゆしき学者氏、「火力発電は、CO2を排出する。原発は排出しない。」といっていた。
「火力発電は、放射性廃棄物を生成しない。原発は放射性廃棄物を生成する。」
CO2とは違い、放射性廃棄物は何万年もお守りをしなければならない。自分達数世代の生活を楽にするため、後世の人々に恩恵皆無のゴミだけ押しつけるという勝手な論理、ゆるされないだろう。
脱原発を決めたドイツ、スゥェーデン企業から訴えられている。
「期待できるはずの利益を、ドイツの法律でそこなわれた」という論理のようだ。これはすなわち、TPPのISDS、企業による国家訴訟調停条項。
日本のマスコミ(小生、大本営広報部と呼んでいる)のTPP報道、一斉に同じことを言っている。素晴らしい!推進せよ!と。
内容が全て秘密にされているものを、素晴らしい!推進せよ!といえる理不尽さ。
もうそれだけで、ジャーナリズムではない。TPP推進600社の洗脳・宣伝機関。かなりの資金が流れ込んでいるのではと疑りたくもなる。
森田実氏、郵政選挙の際、5000億円もの金がアメリカから、日本のマスコミ管理に投入されたと指摘しておられる。
2006.10.31(その1)
森田実の言わねばならぬ[457]
内容が全く秘密のものを、一斉に、「良いものだ」と叫ぶ堕落した洗脳業者に、一桁上の資金が流れ込んでいるのであるまいかと、疑ってしまう。ドイツの一流マスコミ編集者が、ドイツの著名ジャーナリストは皆アメリカに買われていると告白したではないか。
“ドイツ政治家はアメリカ傀儡”ドイツ人ジャーナリストはアメリカ支持記事を書くよう強いられている
「STOP TPP!!市民アクション」に、今回の交渉についての報告が掲載された。大本営広報とは全く違う内容。
TPP閣僚会合報告(7月28〜31日)
昨日の午後2時すぎ、このハワイ閣僚会合現場にでかけられた山田正彦元農林水産大臣と、PARCの内田聖子氏のIWJ岩上安身氏によるインタビューをYoutubeで拝見した。
拝見しながら、暑さの中、激怒した。三人の方がおかしなことを言われたからではない。三人の方は、日本政府、自民党、官僚達のとんでもない売国行為を指摘しておられるだけ。戦争法案とTPP。
まっとうなTPP報道、IWJと、日本農業新聞で読める、と思い込んでいた。この番組を見るまでは。
岩上安身氏の爆弾発言に驚いた。彼が日本農業新聞に寄稿した記事が掲載を拒否されたのだという。どこぞの組織は、モンサントの危険な農薬を率先して販売している為、その問題点に触れる記事は掲載しないということのようだ。
そして、今日は、昨日衝撃的質問をした日本共産党・小池晃副委員長インタビュー
【Ch1】17:00頃~「岩上安身による日本共産党・小池晃副委員長インタビュー」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1
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沖縄本島沖で米軍ヘリ墜落、自衛隊員2人含む6人けが
沖縄県の海上で12日、アメリカ軍のヘリコプターが墜落した事故で、乗員17人のうち自衛隊員2人を含む6人がけがをしました。
「艦船の上に少し焦げたような機体が見えます」(記者)
海上保安庁などによりますと、12日午後1時50分ごろ、沖縄県うるま市の伊計島の沖合で、アメリカ陸軍のUH-60ヘリコプターが墜落しました。ヘリ...... [続きを読む]
日本航空123便の墜落に関しては毎年ブログで書いています。急減圧の問題や救援活動の遅れについてはさまざまな人が指摘していますが、墜落から10年後、1995年8月27日付けの「星条旗」紙に掲載された記事も気になっています。
この記事はJAL123が墜落した時に近くを飛行していたアメリカ軍の輸送機C-130の乗組員だった人の証言に基づくもので、墜落の22分後、19時20分に現場を特定、横田基地に報告しています。
その元乗組員によると、報告の直後に厚木基地から海兵隊の救援チームがUH-1ヘリコプター(ヒューイ)で現地に向かい、20時50分には現地へ到着、下に下りようとしたところ、基地からすぐに引き上げるように命令されたとしています。日本の救援機が現地に急行しているので大丈夫だという説明だったようです。実際、21時20分に航空機が現場に到着、日本の救援部隊が到着したと判断して引き上げたようですが、救援活動は行われていません。
こうした証言自体も興味深いのですが、私が気になるのは記事が出たタイミングです。記事が掲載された半年前、日本をアメリカの戦争マシーンに組み込む作業が本格化する始まりとも言える「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」が出されているからです。「星条旗」紙に書かれなかった情報をアメリカ軍が持っていて、それが日本政府を震撼させる内容だった可能性もあると思っています。
【櫻井ジャーナル】
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201508110001/
投稿: 櫻井春彦 | 2015年8月12日 (水) 18時36分